多様な働き方が選択できるようになってきた昨今、副業を検討する介護職の方も多いのではないでしょうか。本記事では、介護職の方が副業・ダブルワークをするメリットやデメリットについて解説します。副業の注意点も紹介するので「介護職は副業をしても大丈夫?」と迷っている方はぜひ参考にしてください。
「副業」とは空いた時間で本業とは別の仕事をすることです。近年は、働き方改革で「副業OK」を打ち出す企業も増えています。介護職も同様に、就業規則で禁止されていなければ副業をしても問題ありません。とはいえ「実際に副業している介護士はいるの?」と気になることもあるのではないでしょうか。まずは、介護職の副業の実態について確認していきましょう。
厚生労働省の調査によると、全就業者のうち副業をしている人の割合は9.7%です。本業の就業形態は「自由業・フリーランス(独立)・個人請負」が29.8%と最も高く、次いで自営業や会社役員、臨時社員と続きます。
副業している人の割合(就業形態別)単位:% | |
自由業・フリーランス(独立・個人請負) | 29.8 |
自営業 | 19.4 |
会社役員 | 15.3 |
臨時・日雇社員 | 14.6 |
派遣社員 | 14.2 |
業種別でみると「農林業・鉱業」が16.6%と最も高く、「医療・福祉」も9.9%と全体と比べ高い割合を示しています。
「医療・福祉」を本業とする人のうち、59.5%と半数以上の人が「収入を増やしたいから」との理由で副業を選んでいます。「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから」と答えた人は34.5%にのぼるなど、収入の少なさが副業の理由の大半を占めているのが現実です。
その一方で「自分が活躍できる場を広げたいから(21.6%)」、「時間のゆとりがあるから(17.4%)」といったポジティブな理由も見受けられます。「現在の仕事で必要な能力を活用・向上させるため(14.0%)」など、スキルアップのために副業を選ぶ人もいるようです。
副業をしている理由(医療・福祉)単位:% | |
収入を増やしたいから | 59.5 |
1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから | 34.5 |
自分が活躍できる場を広げたいから | 21.6 |
時間のゆとりがあるから | 17.4 |
様々な分野の人とつながりができるから | 15.0 |
現在の仕事で必要な能力を活用・向上させるため | 14.0 |
介護職が副業をする場合、同業種である「介護職」で働くか、「他業種」で全く違う仕事をするパターンが考えられます。「介護スキルを活かして副収入を得たい」という考え方もあれば、全く異なる業種にチャレンジしたいという方もいるでしょう。
事業所によっては、副業は許可していても「同業他社で働くのはNG」というケースもあります。副業先を選ぶときには、まずは本業の就業規則を確認することから始めてみましょう。
【参考】厚生労働省「副業・兼業に係る実態把握の内容等について」
介護職員の副業5つの注意点
介護職員が副業する場合は、次の5つの注意点を把握しておくことが大切です。
就業規則を確認するのはもちろんのこと、収入額によっては確定申告が必要になります。また、「副業を始めたことで本業がおろそかになった」ということのないように自己管理をしっかりしなくてはなりません。
事業所によっては副業を禁止している場合があります。職場によっては「パートやアルバイトであればOK」「他業種であればOK」という規則もあるでしょう。後ろめたい思いをしないためにも、まずはきちんと就業規則を確認しておくことが大切です。
副業の収入額が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。申告をしなかった場合、延滞税や加算税などの対象となるため、必ず申告しましょう。
正社員で働いている場合は会社が手続きをおこなうため、確定申告についてピンとこない方もいるかもしれません。その場合は、副業先や税務署に問い合わせてみるのがおすすめです。
確定申告をすると、年間の住民税額が決定します。副業を知られたくないときは、住民税の支払い方法に注意してください。住民税は基本的には「特別徴収」といって、月々の給料から天引きされるからです。副業分で稼いだ収入にも住民税はかかるため、本業の給料から天引きされる額が不自然に多いと「副業をしているのでは?」と疑われてしまいます。
本業先に副業を知られたくないときは、確定申告書にある「住民税の徴収方法の選択」欄の「自分で納付」にチェックを入れましょう。本業の給料からの天引きではなく、自分で支払うことで副業の金額を本業先に知られずに済みます。詳細は自治体によっても異なるため、税金に関する疑問がある場合は必ず住民票のある税務課などに相談してみてください。
副業をするときは、本業とシフトがかぶらないようスケジュール管理に気を付けましょう。また、オーバーワークで体を壊してしまわないよう、体調管理も大切です。特に、介護職はわずかな気の緩みが事故へとつながりかねません。利用者の方のためにも、自分のためにも無理をしないように心がけましょう。
副業をしていることは、むやみに人に話さないのがおすすめです。万が一、本業で問題が発生した場合「副業をしているから」とさらなるトラブルに発展しかねません。むやみに副業を他言しないようにしたほうがよいでしょう。
介護職の副業は、次のような2つのメリットが得られます。
注目すべきは、収入アップだけが副業のメリットではないことです。それぞれについてくわしく確認していきましょう。
多くの人が収入アップを目的に副業をするように、副収入が得られるのは副業の大きなメリットです。正社員だけではなく、パートやアルバイトの方であれば、さらに重要視したいメリットとなるでしょう。
本業以外に働く場を得ることで、業務経験が増えるというメリットがあります。同業種の介護職であれば、スキルアップにつながるでしょう。利用者の暮らしを支える介護職は、多様な視点が求められる仕事です。他業種で働くことで、新たな気づきが得られるようになるでしょう。
副業を検討する際はデメリットを理解しておくことも大切です。考えておきたいのは、「身体的負担」と「本業との調整」の2つのポイント。副業前に働き始めたときのことをきちんとイメージしておきましょう。
介護職は体力が求められる場面が多い仕事です。副業をするとなると、身体的な負担が大きくなります。副業を始めるときは、本業に影響しない職種を検討するのがおすすめです。
本業の合間に副業をしようと思っても、思い通りにシフトに入れるとは限りません。介護職のシフトが不定期な場合は、副業のシフトも組みづらくなるでしょう。本業に支障が出ないよう、副業との調整が必要です。
さまざまなメリットやデメリットを踏まえ、介護職におすすめの副業を4つほどご紹介いたします。
夜勤のみ働く夜勤専従のパートは、時給が高いことがメリットのひとつです。本業の知識と経験を活かしながら収入アップが期待できます。
訪問介護のヘルパーは短時間の求人が多い仕事です。生活支援のひとつである調理や掃除のスキルは、他職種の家事代行サービスにも活かせます。
本業が忙しく、決まったシフトに入りづらいときは24時間シフトがあるコンビニや飲食店もおすすめです。
副業を検討する前に、まずは本業の就業規則を確認しましょう。上手に両立できれば、収入アップやスキルアップが期待できます。
本業に支障をきたすことがないよう、確定申告の準備やシフト調整を検討するなど、副業は計画的にスタートしましょう。
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