介護職の「3K」って本当なの?実際に働いていた人の意見が知りたい。
介護の仕事では、「きつい」「汚い」「危険」をまとめて3Kと言われることがあります。
確かに介護の仕事は排泄介助や認知症の方の介護など、イメージ的にかなり大変な仕事だという印象を持つ方も多いでしょう。
しかし、近年その3Kと言われる環境に少しずつ変化が出てきているのをご存じですか?
・介護者の苦労を減らす徹底した配慮
・高級ホテルのような清潔感
・危険な作業の軽減措置
など、今や従来の介護施設イメージは古いものとなってきています。
今回はそんな実態を元に、「介護職に就きたいけど、3Kが気になって…」と迷う方が少しでも安心できるよう3Kについてまとめていきます。
「3K」とは、「きつい、汚い、危険の頭文字を取った職業イメージを表す造語」です。介護職以外にも土木業やごみ収集などが含まれます。ちなみに、3Kはテレビなどのメディアによって広まった言葉となっています。
そして介護職は、そんな3Kに1つ追加した『4K』だと言われることもあります。これは「給料が安い」を追加した言い方で、賃金の低い介護職を揶揄する言葉です。
このような悪いイメージばかりが広まってしまい、介護職へ就くことを足踏みする人が増え、人材不足になって益々きつくなる…という悪循環が生まれているのです。
ここからは3Kを表す「きつい・汚い・危険」の実態を詳しく解説していきます。
まず介護職できついところは、「体力仕事」だという点。男性利用者を持ち上げて移動したり、目線を利用者に合わせる家事の介助やレクリエーションで腰を酷使したりと、体力的にきついことが多々あります。
他にも「夜勤」といった慣れない勤務形態に体力が奪われることも多いです。生活習慣が仕事によってコロコロ変化するため、精神的に消耗することも多々あります。
さらにはこういった厳しい体力仕事なのに「給料が安い」ため、割に合わないと感じて徒労感が増す…というパターンは多いようです。
これは「排泄介助」「おむつ交換」「入浴介助」といった介護職の業務がもたらすイメージです。
やはり他者の排泄物や裸身を見ることに嫌悪感を持つ人は多いです。これは介護職でなければ機会のない仕事ですし、当然のことだと思います。
ただ排泄介助やおむつ交換といった仕事は、介護職に就くのであれば避けて通れません。その結果、臭いなどに慣れることが出来ず、辞めてしまう介護職員も一定数います。
これは「転倒などの介護事故」や「病気の感染リスク」からくるイメージです。
症状の重い要介護者を介助し、狭い施設の中を歩き回る場合は「転倒」などの介護事故リスクが高くなります。たとえ注意していたとしても思わぬ形で事故が発生してしまうケースも多く、死に直結する危険な仕事だと言えるのです。
また、狭い施設の中で身体に触れたり、近い距離で会話したりすることから、「集団感染」といった病気リスクも高い仕事だと言えます。
さらに言えば「暴言・暴力」など精神的な危険も発生するリスクがある仕事であり、こういったイメージが合わさって危険とされているのです。
ただ実は近年、介護職の「3K」が大きく改善されてきているのです。これを『脱3K』だと表す人も出てきています。
ここではそんな『脱3K』について…
・介護業界の働き方改革
・充実した設備ときれいな施設
・徹底した衛生管理
・危険作業の軽減措置
…といった4つの観点から解説していこうと思います。
深刻な人手不足に悩まされていた介護職では、「残業」「有給休暇がとれない」など休めないことが多くありました。
しかし、2019年4月に施行された働き方改革によって残業時間には上限が設けられ、有給休暇の消費も義務付けられています。
これにより経営者はこれまで以上に人材確保へ力を入れる必要が出てきたため、給料アップや労働環境の改善などが急ピッチで行われています。
具体例を挙げると、「介護記録のデジタル化」「明確なキャリアパスの導入」など、従来のきつい働き方を改善する施策が多数出てきているのです。
また、狭くて汚い…というイメージを払拭するような「清潔感と高級感に溢れる介護施設」も多くなっています。
具体例を挙げると…
・開放的なロビーやラウンジがある
・ホテルのような清潔感ある家具
・シェフが振る舞う豪華な料理付き
…など、充実した設備とサービスが付いている施設も多いのです。
そしてこういった施設はトイレやお風呂も広くて綺麗な場合がほとんどなので、心身ともにきつく感じることは減ると考えられます。
近年は排泄介助や入浴介助の際に、「簡易手袋の使用」が義務付けられている施設がほとんどです。
これは業界全体で衛生管理の重要度が増したため、介護資格の講座や施設マニュアルの充実が進んだ結果だと言えます。
またその他にも「アルコール消毒」が義務付けられるなど、感染症への対策もマニュアル化して徹底する施設が多いです。このように衛生面の管理はかなり進んでいるため、従来よりも「汚い」といったイメージは軽減していると言えます。
転倒など介護事故の多い「移動介助」などでは、リスクを減らす対策が行われています。
具体例を挙げると…
・施設内に介助バーを導入
・移動用の福祉用具を用意
・職員配置への配慮
…などがあります。
「介助バー」とは、移動時に利用者が使える手すりのこと。これによりバランスを崩さずトイレや食事場まで移動することができます。他にも転倒しづらくなる杖や歩行器などの「福祉用具」の普及も進んでいます。
また、出来るだけ職員の視野を広く確保できるような職員配置もマニュアルとして配慮される場合が増えているようです。
なかなか表には出てこない事実ですが、近年はこういった「基盤から介護事故のリスクを軽減する措置」が行われており、「危険」という事態はかなり改善されているのです。
近年はこういった改善策の充実から、介護業界のイメージをもっと良くしていこう!という流れが起きています。
この筆頭として挙げられるのが「新3K」です。
「きつい、汚い、危険」という悪いイメージとは真逆である、「感謝、感動、感激」や、「かっこいい、クリエイティブ、稼げる」などを表す言葉です。
それではそんな新3Kからわかる『介護業界のやりがい』についてご紹介していきたいと思います。
介護職は利用者から「ありがとう」と感謝される機会が非常に多いです。
福祉というサービス業だからこそのやりがいですが、食事を提供した際、移動介助をした際など、1日で何十回もありがとう…という感謝の言葉を受け取ることができます。
そのため、人と人とのつながりを感じたい方は強くやりがいを感じることができるでしょう。
介護職は高齢者と関わる機会が多いため、人生訓などを学ぶことができます。
過去どのような成功をし、逆に失敗をしてきたのか…。現代では起こりづらい苦労を重ねてきた高齢者も多いので、人生について深く考えることができるのは大きなメリットとなっています。
介護職はケアプランという介護計画に沿って、利用者の生活の質を向上させる仕事です。そのため、利用者の生活レベルが改善していったり、できることが増えていったりする過程を見ることはやりがいになります。
例えば1人で移動できなかった方が歩けるようになった時などは、利用者はもちろん、そのご家族や周りのスタッフも笑顔になります。
こういった「幸せ」に対してダイレクトに貢献できるのは、介護職ならではのやりがいだと言えますね。
介護職は利用者との一対一の仕事だと捉えがちですが、実際は「日本全体への社会貢献」となる仕事です。
その理由は、「超高齢化社会という社会課題に貢献しているから」です。
今後日本は高齢者が人口の30%を超えるとされており、介護や認知症ケアといった仕事は日本全体で需要が増していきます。
その仕事にいち早く就き、知識や経験を積んでいる…という時点で実はかなりの社会貢献となっているのです。
最後に本記事の内容を簡単にまとめます。
・3Kとは「きつい、汚い、危険」という職業イメージを表す言葉
・介護職は体力仕事なところがきつい
・排泄介助などが汚いイメージを生んでいる
・転倒などの介護事故が危険
・働き方改革によってきつさは軽減している
・清潔で広い介護施設が増えている
・衛生管理、危険措置が徹底されてきている
・「感謝」などのやりがいに重きを置いた「新3K」が広まっている
介護業界はこれまで「3K」がふさわしい一面もある仕事でした。しかし、近年はそういった悪いイメージを払拭すべく、業界全体で改善が進んでいます。
そのため3Kのイメージから就職・転職に踏み切れないという方は良くなっているという実態を理解した上で、今一度考えてみて欲しいと思います。
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