好きな仕事でも思うようにいかないときは、誰でも「辞めたい」と思ってしまいます。辞めたい理由で多いのは、人間関係や職場への不満などがあげられます。本記事では、辞めたい理由とそれを解決するための対処法を説明し、また転職するときに気をつけたいポイントを紹介します。
介護労働安定センターで行われた「介護労働実態調査(平成30年度)」でわかる、介護職の退職理由を上位からみていきます。
介護職に限らず、どの職場でも上位にあげられるのが「人間関係」です。人間関係の悩みは、「同僚や上司などの職場の人間関係」と「利用者とその家族との関係」の大きく2つに分かれます。
介護職は中途採用が多いため、職員の年齢層の幅が広いのが特徴です。
職場で働く人みんなが同じ考えのもと仕事をしているわけではありません。仕事に対する考え方によっては、利用者への接し方が変わってくるでしょう。また人によって仕事のスピード、丁寧さ、得意不得意が異なります。
上司も同様です。指示ばかりで威圧的な人もいれば、何でも一緒にやってくれる、仕事につまずいたときに寄り添ってくれる人もいます。
介護はチームワークの仕事が多いので、職員同士の相性は無視することができません。気が合わない同僚や上司とともにするのは苦痛であり、耐えきれず辞めてしまう人が多くいるのです。
利用者様や家族によっては、認知症や疾患による障害、老化による機能低下を受け入れることができない人もいます。症状を正しく理解できていないと、ケアの方針でスタッフと衝突してしまう原因になるでしょう。
介護は人相手の仕事であり、相手の気持ちを尊重しつつ、仕事がスムーズに運ぶように介護士はいつも心を砕いています。今できる精いっぱいの関わりを持つことが悩みの解決方法といえるでしょう。
介護士は女性が多い職種で、結婚・出産などの人生の節目が退職のきっかけになる人もたくさんいます。
結婚で住居が変わり、通勤が困難になることもあります。また妊娠中ともなれば体力を使う介護の仕事に制限があるでしょう。出産・育児では、子どもの預け先を探す必要があります。保育園の空き状況などによっては、なかなか職場復帰できないこともあるでしょう。
介護職のすべての女性が退職に至るわけではないですが、多くの女性が悩み、働き方を変えざるを得ない状況になることも事実です。
仕事を続ける中で、ステップアップを考える場合があります。介護支援専門員の資格が取得できれば、資格が活かせる仕事への転職を希望します。また高齢化により、新しい施設や事業所が増えているので、経験が活かせる良い条件の職場を探すことも多いです。
実際に働いてみると、施設の理念や運営と自分の考えが違っていたと気づくことがあります。「利用者様一人ひとりの生活を大切にする」という理念を掲げながら、慢性的に職員の人手不足だと働く職員の士気は下がります。利用者様の利益ばかり優先して、働く職員をないがしろにされてしまうと、不満が募り退職に至るケースは多いです。
国税庁の行った「平成30年民間給与実態統計調査」によると、全体の平均給与432万円に対して医療・福祉は399万円となっています。介護職員処遇改善加算や令和元年10月より始まった介護職員等特定処遇改善加算が加わりましたが、統計結果から一般企業に比べるとまだまだ収入の少ないことがわかります。
仕事内容への不満や体力的に負担が大きいことがあげられます。
施設の運営によっては、やりたくない仕事があったり、スキルに偏りができてしまうこともあるでしょう。そんなとき他の施設に転職することを考えます。
また介護士は体力的な負担が大きい上、施設によっては職員不足による休憩時間の短縮や長時間残業もあります。なかなか職場環境がよくならず、体調を崩して退職する人も多いです。
辞めたいと思っても、すぐに辞めてしまうのはもったいないです。辞めてしまう前に解決方法を模索してみましょう。
体調を崩してまで仕事を続けることは困難なため、働き方の見直しを行いましょう。働いている介護職の人数で仕事のキャパシティーを超えていて、全体の残業が多いのであれば、自分の仕事を見直すだけでは解決に至りません。職場内で働きかけをすることが大切です。
介護は1人で行うものではなく、チームで行います。落ち着かない利用者様がいれば、事前に確認し、お互いに声を掛け合いましょう。医療的な処置の多い人は看護職員と時間を調整すれば、連携がよくなるでしょう。
困ったことがあれば自分たちだけで抱え込まず、管理者へ相談しましょう。ただし、相談と告げ口は異なります。「●●さんだけやってくれない」「▲▲さんはいつもさぼる」など特定の人の働き方の苦情は相談ではありません。業務の中でどうしても介護職の手が足りない、認知症利用者の対応に困っているなど、業務に関する相談をするようにしましょう。
利用者様やその家族と仲良くなり過ぎず、適度な距離を保つようにしましょう。何十人の利用者様がいる中で1人だけ特別扱いはできません。また自分が特別扱いをしているつもりはなくても、勘違いされてしまうこともあります。利用者様に必要な介護はきちんと行いますが、適度な距離は保ちましょう。
長時間労働は冷静な判断が難しくなるため、適度に休息を取りましょう。仕事とプライベートで気持ちを切り替えて、充実した休日を過ごすことも大切です。スポーツクラブで汗を流す、映画鑑賞、カラオケなど自分なりの休日の楽しみ方を見つけましょう。
仕事に真摯に取り組むことはすばらしいのですが、仕事が生活の中心になり過ぎるとワークバランスが崩れてしまいます。仕事とプライベートできちんと切り替えができないと、心身のバランスを崩してしまい危険です。自分の働き方を見直し、どちらも大切にできる働き方を見つけましょう。
現状に満足せず、3年後、5年後、10年後を視野に入れて資格取得を目指しましょう。介護の資格は、講習会を受けるだけで取得できる資格から実務経験が必要なものまでさまざまです。キャリアアップに資格は欠かせないため、ぜひ取得を目指したいところです。
介護職は人手不足のため、求人は常に多くあります。しかし、度重なる転職はよい印象を与えません。十分に下調べをして、自分に合う就職先を探しましょう。
「百聞は一見に如かず」というように、写真や文章ではわからないことがたくさんあります。自分の目で見れば、施設の雰囲気を感じることができるでしょう。長く働ける職場を探しているなら施設見学をして自分の目で確かめましょう。
自分はどのような条件のところで働きたいのか、仕事において何を一番大切に考えるのかを整理しておくと、職場を選ぶ基準が見えてきます。
転職するとき最も気になるのは給与でしょう。これまでの経験をアピールして、給与交渉できるようにしましょう。
また勤務形態も確認する必要があります。特に出産がきっかけで退職した女性は、育児を中心に考えなくてはいけません。土日の休みや夜勤の有無は家庭に影響します。24時間365日子どもを見てくれる保育園はありません。無理をしても周りを振り回すことになるので、どの時間帯で働くか、きちんと伝えられるようにしましょう。
施設の方針に共感できなければ、いずれ失望することになるでしょう。パンフレットやホームページをチェックしてから、見学するようにしてください。
理念は企業の軸となるものです。こんなはずではなかったと思うことがないように、全体の雰囲気も含めて自分が働きたいと思える施設なのかを考えましょう。
自分の条件にぴったり合う職場を探すことは大変です。特に退職前から求職する場合、使える時間は限られています。そんなときは転職サイトの利用がおすすめです。
転職サイトでは、専任のコーディネーターが付き、転職の相談に乗ってくれます。また気になる事業所の福利厚生や給与など、確認しづらいこともコーディネーターが間に入って調べてくれます。効率よく情報収集することができるでしょう。ぜひ転職サイトへの登録をお勧めします。
職場探しには時間が必要です。介護職の求人は数多くありますが、よく確認もせず、条件だけで次の転職先を決めてしまうと、再び「こんなはずではなかった」という思いを抱くことにもなりかねません。長く働けるような自分に合う職場を焦らないで探すことが大切です。
また、次のあてがなく収入が途絶えると、生活がたちゆかなくなる恐れがあるので、次の就職先が決まってから現職場を退職するのがベストです。現職場と退職時期の交渉はありますが、残るスタッフのことを考え、きちんと引き継ぎをするのが社会人としてのマナーです。
嫌になったからといって勢いで退職してしまわないようにしましょう。
自分に合う職場で働けるのは幸せなことです。ほとんどの人が、一度は仕事を辞めたいと思ったことがあるはずです。その後、退職に至る人、職場にとどまって解決した人など、さまざまですが、それが人生の転機になることは確かです。辞めるも、続けるも、自分の選択を後悔しないよう、焦って判断しないことが大切です。
一時の感情で辞めてしまうと、何がしたかったのか見失ってしまいます。また仕事に就いても同じことを繰り返してしまうかもしれません。仕事を辞めたいと思ったとき、自分で解決できる方法を得られれば、その仕事で成長できるチャンスにもなりえるのです。
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