介護職への転職を考える方の中には、経験や資格の有無に不安を持つ方もいるのではないでしょうか。
こちらの記事では、無資格・未経験でも介護職へ転職できるのか、必要な資格などについて解説していきます。
また、介護職へ転職するメリットやデメリット、注意点も合わせてご紹介。
未経験から介護職への転職をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
厚生労働省の調査によると、介護職は全体の約4割を30代〜40代の職員が占めています。
利用者の方の居宅を訪問する訪問介護員にいたっては、全体の約3割が60代の職員です。
利用者の方や家族と接する機会の多い介護士は、専門的なスキルはもちろん、コミュニケーションスキルや人生経験が大きく役立つ仕事です。
また、介護職の有効求人倍率は毎年高い水準で推移し、平成29年は全産業1.5に対し介護職は2倍以上の3.5。
2025年には253万人の介護人材が必要だと推計されています。介護人材の確保と定着のために処遇改善の取り組みがなされ、平均給与は年々増加。平成30年には介護士の平均月給が30万円を超えました。
現在、介護の世界は人材確保のため、就業していない女性や他業種の若者、中高齢者といった多様な人材の参入促進を図っています。
そのため、年齢や資格、経験にこだわることなくチャレンジしやすい職種なのです。
【参考】厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」
介護職は無資格・未経験であってもチャレンジしやすい仕事ですが、基礎知識があれば現場で大いに役立ちます。
実務経験を重ねれば、将来的に介護福祉士を目指すことも可能です。
介護資格の入門編となる資格です。介護の仕事は掃除や洗濯、調理といった「生活援助」と利用者の方の身体に直接触れる「身体介護」の2種類に分かれますが、初任者研修を修了すると「身体介護」の仕事が可能になります。
受講料は研修実施校によっても異なりますが、ハローワークでは求職者を対象にした無料の研修を実施している場合もあります。
受験資格 | 特になし |
試験内容 | 講習(130時間) |
受講料 | 6万円~15万円 |
介護初任者研修の講義内容に、より専門的な科目を加えた資格です。
介護福祉士を取得するため、修了が義務付けられている資格でもあります。
受験資格 | 特になし |
試験内容 | 講習(450時間) ※保有資格によって一部免除となります |
受講料 | 10万円~15万円 |
介護系資格の中で唯一の国家資格です。]
介護福祉士資格を有していれば、給与の大幅アップが期待できます。
現場では、チームリーダーとしてのポジションが任されることもあるでしょう。介護福祉士資格を取得するためには「実務経験ルート」「福祉系高校ルート」「養成施設ルート」の3つの方法があります。
受験資格 | ・実務経験ルート
実務経験3年以上かつ実務者研修修了 実務経験3年以上かつ介護職員基礎研修と喀痰吸引研修を修了 ・福祉系高校ルート 福祉系高校を平成21年度以降に入学し、新カリキュラムを履修し卒業 福祉系高校を平成20年度以前に入学し、旧カリキュラムを履修し卒業 特例高校を卒業後9ヶ月以上介護業務に従事 ・養成施設ルート 介護福祉士養成施設を卒業 |
試験内容 | 筆記試験(11科目)
※福祉系高校ルートの場合には実技試験が必要な場合もあります |
受講料 | 15,300円 |
介護士が活躍する場は、高齢者が入居する老人ホームだけではありません。
利用者の方が日中に通う通所型の施設や、利用者の方の居宅でサービスを提供する訪問介護など、働く場は多岐に渡ります。
それぞれの特徴を知っておけば、自分にあった介護現場でキャリアを重ねることができます。
入居している利用者の方に対し、24時間体制で介護サービスを提供する施設です。
主に特別養護老人ホームや、介護老人保健施設があげられます。
比較的利用される方の介護度が高く、夜勤があるのが特徴です。
入居施設の平均給与(平成30年度:単位円) | ||
介護老人福祉施設 | 常勤 | 332,260 |
非常勤 | 239,290 | |
介護老人保健施設 | 常勤 | 317,350 |
非常勤 | 260,710 | |
介護療養型医療施設 | 常勤 | 285,360 |
非常勤 | – |
利用者の方が日中に通い、食事や入浴といったサービスを利用する施設です。
身体機能の維持回復を目的にリハビリを実施する施設は通所リハビリテーションと呼ばれます。
利用者の方の送迎が必要で、レクリエーション業務の多い職場です。
通所型施設の平均給与(平成30年度:単位円) | ||
通所介護事業所 | 常勤 | 262,900 |
非常勤 | 201,870 |
介護士が利用者の方の居宅を訪問し、生活援助や身体介助を行う仕事です。
ライフスタイルに合わせた勤務時間を設定しやすく、40代以上のパート職員が多数活躍する現場でもあります。
訪問介護員の平均月給(平成30年:単位円) | ||
訪問介護事業所 | 常勤 | 291,930 |
非常勤 | 208,210 |
【参考】厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」
「大変な仕事」と言われることが多い介護職ですが、実際には多くのメリットがあります。
特に近年は、人材不足解消に向けたさまざまな取り組みが、介護職の処遇改善につながっています。
前述したように、介護職は働きながら資格を取得できる仕事です。
経験を重ねスキルを得れば、将来的に給与アップも期待できます。
働く場も老人介護施設だけにとどまらず、病院や福祉施設、地域の介護予防サービスなど多岐にわたるでしょう。
今後高い需要が見込まれる介護職は、雇用が安定している仕事です。
また、近年は介護職員の賃金や環境をより改善するための取り組みが実施されています。
特に、インターネット技術を利用したカルテ管理や夜間の見守りシステムは、若年層の人材定着に向け高い注目を集めています。
介護職は多様な働き方ができる仕事です。
日中だけ勤務したい場合には通所施設、短時間勤務であれば訪問介護、給与アップを期待するなら入居型など、ライフスタイルに合わせた職場を選ぶことができます。
「ありがとう」「助かります」など介護の仕事は声をかけられることが多いです。
利用者の方の笑顔は、大きな喜びとなります。
他業種とチームワークを組み利用者の方の自立を支援することは、仕事のやりがいにもつながるでしょう。
介護職が未経験の場合、メリット以上にデメリットが気になる方も多いのではないでしょうか。
実状を知っておけば、転職前にあらかじめ対策を立てることもできます。
こちらでは、介護職のデメリットとして多い意見をご紹介いたします。
身体介助のある介護職は、身体的負担が大きいと言われる仕事です。
利用者の方の体を支えたり、中腰で行ったりする介助は腰痛の大きな原因にもなります。
長期的に介護の仕事をするためにも、適切な介護技術を身につけ、普段から体をケアすることが大切です。
利用者の方が入居している施設では「夜勤」があります。
早出・日勤・準夜・夜勤の4交代制の施設では、夜勤明けの夕方から、準夜の仕事に向かう場合もあるでしょう。
その分、夜勤のある仕事は平均給与が高い傾向にあります。
利用者の方に切れ目のない介護サービスを提供するため、土日祝日休みが少ないのも介護職の特徴です。
平日勤務を希望する場合には、平日のみ運営する通所型の施設がおすすめです。
無資格未経験から介護職へ転職する際には、以下の2つが大切なポイント。
介護職で長く活躍するためにも、ぜひ重点的にチェックしてくださいね。
キャリアップ支援制度を設けている職場では、資格取得に向けた研修を実施したり、必要な費用の一部が支給される場合があります。
働きながら資格を取得したいという方は、転職時によく確認しておきましょう。
さまざまな働き方ができる介護職こそ、転職時はライフスタイルに合った職場を選びましょう。
家庭との両立を考える方であれば、日中の短時間勤務からキャリアを重ね、将来的に入居施設に勤務するという道も考えられるでしょう。
頻繁に求人を出している職場は、職員が定着しない何かしらの原因があると考えられます。
厚生労働省の調査によると、相談窓口を設けている職場ほど、悩みを抱える職員が少ないという結果が出てきます。
転職先を考える際には、相談窓口の有無も条件として考えてみると良いでしょう。
面接準備で頭を悩ませるのが「志望動機」。
介護職未経験の場合には「きっかけ」「理由」「目標」を盛り込むのが、志望動機作成のポイントです。
ここでは、介護の転職に向けた志望動機の一例をご紹介いたします。
「私が介護に興味を持つようになったきっかけは、昨年実母が要介護度2に認定されたことです。
実際に介護士の仕事を目の当たりにすることで、介護職の必要性とやりがいを強く感じました。
販売職で培ったコミュニケーションスキルを活かしキャリアを重ね、将来は介護福祉士として働きたいと思っています」
「掃除や調理で利用者の方を支援できる訪問介護を知り、自分のこれまでの経験を活かし働きたいと考えました。
より活躍できるよう、今後は初任者研修、実務者研修を受講し、介護スキルを高めていきたいです」
「私は介護福祉士に大きな将来性を感じています。
介護士の友人から人材不足の現状を聞き、介護士が日本の将来にとって重要だと考えたからです。
将来的には介護福祉士資格を取得し、リーダーとして現場で働ける人材を目指します」
介護職は無資格未経験からでもチャレンジしやすい仕事です。
雇用形態も幅広く、ライフスタイルに沿った働き方を選択できます。
働きながら資格を取得すれば、将来的に収入アップが期待できるのも大きなポイント。
自分に合った職場を選択し、介護士としての一歩を踏み出しましょう。
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