介護職の夜勤専従とは、夜間勤務を専門にした働き方のことです。
こちらでは、夜勤専従の仕事内容や勤務時間を紹介していきます。
介護職で夜勤専門で働くメリットやデメリットについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
高齢者の方が入居している施設では、24時間体制の介護サービスが必要です。
入居型の介護施設では、職員を2交代制、または3~4交代制でまわすシフト勤務が主流となっています。まずは、介護職の夜勤専従の働き方について確認していきましょう。
日本医療労働組合連合会の調査によると、夜間勤務をとる介護施設は全体の87%です。1回あたりの勤務時間が6時間を超える2交代制勤務をとっている施設は、61.8%にものぼります。3交代制勤務が少ない理由には、介護業界の人手不足の現状が影響していると言えるでしょう。
また夜勤明けの日に、再び勤務に入るスタッフは全体の40.9%です。少ない人数で現場を回している職場ほど、夜勤専従のスタッフは求められていると考えられます。
労働基準法では、原則として勤務時間は1日8時間までと定められています。しかし、夜勤は「変形労働時間制」が適用されます。そのため、夜勤は夕方から翌朝までが一般的な勤務時間となります。
「変形労働時間制」とは、「1週間の労働時間が法定労働時間(40時間)以内であれば、1日あたり8時間以上勤務してもかまわない」という制度のことです。拘束時間が1日8時間以上になる夜勤は、そのぶん休日数が多くなります。1日16時間の勤務であれば、月の勤務日数は10日ほどが基準となるでしょう。
さらに、深夜上乗せ賃金や夜勤手当がつき、日中に働くよりも高収入になるのも、夜勤専従の働き方の大きな特徴です。
夜間のみの勤務というと、派遣やパートの働き方をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、夜間専従は正社員の求人もあります。日勤の求人と異なるのは、介護資格や経験を求められるケースが多いことです。なかには無資格未経験からチャレンジできる求人もありますが、日勤のシフトで一連のスキルを身につけ、徐々に夜勤に移行する流れとなるでしょう。
夜勤専従の勤務時間は、16時~翌朝10時、または21時~翌朝8時が一般的です。夕方から早朝にかけて働く夜勤は、入居者の方の見守りが仕事の中心です。また、食事や更衣、排泄介助も必要です。
家庭では主に夜に入浴しますが、介護施設ではスタッフが多い日中に行うのが基本です。リハビリや人との交流を目的としたレクリエーションも、夜間帯はほぼありません。細かな仕事内容や勤務時間は施設によって異なりますが、以下はその一例となります。
16:00 | 出勤 | ・日勤者から業務を引き継ぐ
・日中の利用者の方の体調変化、その日あった出来事を確認する |
17:30 | 夕食準備 | ・トイレ誘導
・配膳 |
18:00 | 夕食 | ・食事介助、見守り
・食事前後の服薬介助、服薬チェック |
19:00 | 口腔ケア | ・食事量の確認および口腔ケア |
20:00 | 就寝介助 | ・ベッド誘導、移乗の介助
・更衣、排泄介助 |
21:00 | 消灯 | ・入居者の方に就寝の声かけを行う |
23:00~
5:00 |
介護記録
および巡回 |
・カルテ記入
・1~2時間おきに居室を訪問し異常がないか確認する ・コールがあればそのつど対応し、体位変換や排泄介助を行う |
※5:00までの間に1時間半ほど休憩をとる | ||
6:00 | 起床 | ・体調確認
・バイタルチェック(体温・血圧測定) ・更衣、洗顔、排せつ介助 |
7:00 | 朝食準備 | ・食事への誘導
・配膳 |
8:00 | 朝食 | ・食事介助や見守り
・食事前後の服薬介助、口腔ケアなど |
9:00 | 申し送り | ・日勤の職員に引き継ぎ |
10:00 | 退勤 |
夜勤の配置人数は厚生労働省の基準によって以下のように定められています。
【参考】厚生労働省「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」
夜勤の人員配置は日中と比べ少ないため、更衣や排泄介助が重なる起床時には忙しくなります。トラブルが発生した際も、少ない人数で対応する必要があるのが夜勤の仕事の大きな特徴です。
夜勤専従には、以下のような4つのメリットがあります。夜勤ならではの、給料や時間に関するものが多いこともポイントです。
介護職に限らず、夜間帯の仕事には「深夜割増賃金」が定められています。これは、22時~翌朝5時の間は、基本給の25%増しの賃金を支給しなければいけないという規定です。そのため夜勤専従は、日勤と同じ時間働いたとしても、高い賃金が得られます。
また、法律で定められてはいませんが、夜勤には「夜間手当」が追加されます。事業所によって夜勤手当の有無は異なるものの、3,000円~8,000円が目安となるでしょう。求人票には、夜勤手当込みの基本給が提示されている場合もあります。
前述したように、1日あたりの勤務時間が長い夜勤専従には、休日が多く与えられます。そのため、空いた時間を活用し、ほかの仕事と掛け持ちすることも可能です。上手に時間を使えば、さらに高収入を得られるというメリットもあります。正社員で勤務する場合は、副業不可のケースもあるため、事前に就業規程を確認しておきましょう。
パートやアルバイトなどの求人も多い夜勤専従は、自分のペースで働きたい方にとって大きなメリットです。勤務日数を選べる場合も多く、学業や趣味などを重視する方にも適しています。日中の勤務が難しいという方も、時間を有効活用しながら収入を得ることができるでしょう。
多くの介護現場では人手不足が常態化しています。令和元年度の調査結果によると、介護職の採用率は18.2%。全産業の15.4%と比較しても高い水準です。人手が足りないのは夜間帯も変わらず、夜間のみの求人も多数見られます。資格を持ち夜間勤務が可能な人ほど、転職の幅も広がってくると言えるでしょう。
夜勤専従を考える方のなかには、「夜勤はきつい」「大変」というイメージもあるのではないでしょうか。夜勤専従にはどのようなデメリットがあるのかも確認しておきましょう。
夜勤には、日中に比べ職員配置が少ないというデメリットがあります。そのため、スタッフにとって不安要素となるのが、緊急時の対応です。
夜間帯は入居者の方の移動が少ないと思われがちです。しかし、実際には徘徊や自分でトイレへ移動しようしたときなどに転倒するリスクがあると考えられます。また、体調に異変が起こったときには、関係機関と連携を図らなくてはいけません。夜勤は1人での勤務も多く、スタッフにとってプレッシャーとなることもあるでしょう。
夜勤専従は、体力的にきつい一面もある働き方です。介護度の高い方がいる施設ほど、排泄や更衣の介助には体力が求められます。床ずれを防ぐため、就寝時に体位変換が必要な場合もあるでしょう。起床時の排泄介助はタイミングが重なることも多く、ひとりで複数の介助に対応しなくてはいけません。「夜勤明けの休みは、体力回復で1日使ってしまう」という話もよくある話です。
家庭がある人にとって、夜勤専従は働きにくい一面もあります。特に子どもがいる方にとって、夜間に家を空けることは不安です。介護が必要な方が家庭にいる場合も、夜勤は難しいでしょう。
そのため家庭のある人には、利用者の方が日中通う通所施設の方が向いていると考えられます。また、託児所を設けている入居施設の求人情報を集めるのもひとつの方法です。
夜勤専従は、効率的に高収入を得たい人におすすめの仕事です。1回あたりの基本給が高いため、効率的に収入を得ることができます。「昼間は別の仕事と掛け持ちをしたい」「日中は学校に通いたい」という方にとって、ぴったりな働き方であると言えるでしょう。
また介護士として勤務経験のある人や、有資格者にも夜勤専従はおすすめです。少ないスタッフで入居者の方を見守る必要があるため、これまでのスキルを仕事に活かすことができます。
現在の職場から転職を考える人にとっても、夜勤専従を選択肢に考えてもいいでしょう。日中の勤務とは違い、夜勤にはレクリエーションはありません。そのため、自分に合った仕事内容を求める人にも選択肢のひとつとなります。夕方から早朝に必要な介護を提供し、入居者の方の生活を支援していくことができるでしょう。
介護職未経験で夜勤専従で働きたいという方は、日中勤務から経験を積み重ね、夜勤専従を目指す道も考えられます。夜勤が必要な職場は多いため、介護職として働く道を広げることが可能です。
夜勤専従の働き方は、高収入が得られることが大きなメリットです。休日も多いため、仕事以外で時間を有効活用したい人にもおすすめです。ダブルワークやプライベートの時間を大切にしたい人には、メリットの大きな働き方となるでしょう。
多くの人材を求める介護職では、夜勤のみの求人が多いこともポイント。経験者や有資格者であるほどニーズは高いため、働き方のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
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