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    【更衣介助】スムーズに介助するために必要な手順や注意点を解説

    仕事を知る コラム 2021/05/17

    更衣介助は朝晩の着替えや入浴時に必要なケアです。利用者の方の負担を軽減するためにはスムーズな更衣介助が求められます。こちらでは、介護現場で必要な更衣介助の手順を解説していきます。注意点や衣服選びのポイントも、あわせて参考にしてください。

    更衣介助とは

    更衣介助とは、着替えが困難な方の更衣を介助するケアです。腕を上げるのが難しい方や麻痺のある方にとって、衣類の着脱は難しいものです。健康な方が思うより、時間や体力が必要なのです。

    よりスムーズに介助するためには、更衣介助は手順を追って行うことが大切です。基本をしっかりと理解しておけば、利用者の方の身体状況に応じた介助を行えます。自立支援を促すためにも、利用者の方が自分でできる部分を活かしたケアが必要です。

    また更衣介助には、以下のような3つのメリットが考えられます。

    1. 清潔保持につながる
    2. 生活にメリハリが生まれる
    3. 生活の質(QOL)が向上する

    衣服を新しいものに取り換えることは、清潔保持につながります。皮膚を清潔な状態に保てるので、皮膚疾患の予防効果も高まります。

    また朝晩決まった時間に着替えをすることで、生活にメリハリが生まれる効果も期待できるでしょう。

    さらに介助を受けながら自分で更衣する動作は、生活リハビリの一環でもあります。日常生活に必要な動作を自分で行うことができれば、QOLと呼ばれる生活の質も向上するのです。

    寝たきりの方や麻痺のある方など、利用者の方の身体状況によって介助法は異なります。高齢者の自立した生活を支援するためにも、1人ひとりに合った介助法をマスターしておきましょう。

    スムーズな更衣介助のための5つの注意点

    スムーズに更衣介助するためには5つの注意点があります。介助にあたる前に、それぞれの内容をしっかりとおさえておきましょう。

    1.基本は「脱健着患」(だっけんちゃっかん)

    利用者の方の衣服を代えるときは、脱健着患」が基本です。これは「健康な部位から脱ぎ」、「患うところから着る」という介助の基本を意味します。特に、身体の片側に麻痺のある方の更衣介助をするときには、忘れてはいけない注意点です。

    麻痺のある側から上着を脱ごうとすると、腕が持ち上がらず身体に負担がかかってしまいます。腕が自分で上下できる側から袖を脱ぎ、麻痺のある側は動かさないよう衣服を抜き取ればスムーズに服を脱ぐことができます。服を着るときも同様に、麻痺のある側は無理に動かさないように意識します。腕ではなく、衣服を動かしながら袖を通すのが基本です。

    介助に慣れないうちは、脱健着患どちらが先か戸惑ってしまうこともあるかもしれません。そのときは、どちらが利用者の方に負担がかからないか、落ち着いて振り返るように心がけましょう。

    2.室温をチェックしプライバシーに配慮する

    更衣の前には、服を脱いだときに寒くないよう室温をチェックします。理想の室温は、22~25度です。

    特に温度差が大きくなりがちな脱衣所では注意が必要です。暖かい部屋から寒い脱衣所へと移動すると、ヒートショック現象を起こす恐れがあります。

    ヒートショック現象とは、急激な温度差で血圧が変動し心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすことです。冬場に入浴介助をするときは、更衣の前に脱衣所の室温もチェックするようにしましょう。

    またほかの人がいる場所では、プライバシーに配慮しながら介助にあたります。大部屋のベッド上で更衣介助をするときは、カーテンで他者の視線を遮りましょう。複数の利用者の方を入浴介助するときには、更衣の途中に肌が露出しないよう、タオルなどで隠す配慮も必要です。

    3.利用者の方の残存機能を活かす

    更衣介助は、流れのすべてを手伝えば良いわけではありません。利用者の方のできない部分を中心にサポートすることが大切です。残存機能を活かしながら介助することは、利用者の方の自立支援につながります。介助中は声をかけながら、利用者の方の動きを促しましょう。

    自立を促しながら介助するためには、利用者の方の身体状況を把握しておく必要があります。ご家族やケアマネジャーなどと相談しながら、介助法を検討しましょう。身の回りのことを自分でできれば、利用者の方も自信を得られます。ズボンの上げ下ろしができるようになれば、トイレの介助負担を軽減することも可能です。

    4.麻痺のある部分は下から支える

    脱健着患とともに心がけたいのが、麻痺のある部分は下から支えるということです。着脱時に上からつかむように持ち上げると、思わぬ事故につながる恐れもあります。

    特に、衣類に袖を通すときには注意が必要です。拘縮(こうしゅく)と呼ばれる、関節の可動域が悪い症状がある場合は、無理に引っ張ってはいけません。利用者の方の身体状況を確認しながら、慎重に介助しましょう。

    5.皮膚常態を観察する

    更衣介助は、利用者の方の皮膚状態を観察するタイミングでもあります。高齢者の肌は、汗や皮脂の分泌量が減少し、バリア機能が低下しています。そのため、少しの刺激でも肌に傷がついてしまいます。かゆみも生じやすく、本人も気付かない間に掻き傷ができてしまうこともあるでしょう。

    また、寝たきりの利用者の方の更衣介助で確認したいのが「褥瘡(じょくそう)」の有無です。褥瘡は床ずれとも呼ばれ、皮膚の血流が滞ることで起こる皮膚疾患を指します。圧迫を受けやすいお尻やかかと、肘に生じることが多く、ひどくなると皮膚の深層部位まで患部が広がってしまいます。

    褥瘡の初期は、皮膚が赤みを帯びた状態です。更衣介助中に褥瘡を発見したときは速やかに他職種と情報共有し、必要に応じた治療にあたりましょう。

    更衣介助の衣服選びのポイント3つ

    スムーズな更衣介助には、衣服選びも大切です。家族の介助にあたるときには、次のポイントをふまえながら衣服を選んでみましょう。

    1.サイズは少し大きめを選ぶ

    更衣介助には、ゆとりのあるサイズの衣服がおすすめです。特に麻痺のある場合は、ゆったりした衣服のほうが負担なく着脱できます。ズボンのウエスト部分も、締め付けの少ないものを選びましょう。

    2.硬い素材の衣服は避ける

    スムーズに着脱するには、硬い素材の衣服は避けたほうが無難です。硬い生地や、お尻にポケットやボタンがついたズボンは褥瘡の原因になります。座ったり寝たりといった同じ姿勢が続く場合は、衣服のデザインも注意しましょう。

    3.利用者の方の身体状況に合わせたものを選ぶ

    更衣の負担を軽減するためにも、衣服は身体状況に合わせたものを選ぶことが大切です。体の片側に麻痺があると、かぶるタイプの衣服は着脱しづらい場合もあります。着心地だけでなく、自分で脱ぎ着できるかという点も服選びの大切なポイントです。

    寝たきりの方の更衣介助の手順

    基本をふまえたうえで、寝たきりの方の更衣介助の手順を紹介していきます。更衣介助の前には、まずは以下の3つの準備をします。

    1. これから更衣することを利用者の方に伝える
    2. 介助者の腰の位置にベッドの高さを合わせる
    3. 上着は介助者から見て利用者の方の奥に、ズボンは足元に準備する

    これらの準備を終え、利用者の方の右側に介助者が立っていることをイメージしながら手順を追っていきましょう。

    前開きタイプの上着の更衣介助

    利用者の方が寝ている状態で、左腕から着替えていく場合の手順は以下のとおりです。

    1. 前ボタンをはずして両肩を脱ぐ
    2. 利用者の方に胸前で腕を組んでもらい、両膝を立てる
    3. 左肩とひざを支えながら、ゆっくりと手前に寝返りを打ってもらう
    4. 左ひじを支えながら、袖をゆっくりと抜く
    5. 脱いだ服は背中の下に入れ、新しい上着の袖を通す
    6. 肩は出した状態で、上着の中心線を背中の中心に合わせる
    7. 脱いだ衣服を巻き込むように、新しい衣服を身体の下に入れる
    8. 左肩とひざを支えながら、身体をゆっくりとあおむけの状態に戻す
    9. 枕を奥にずらし、反対側へと寝返り介助をする
    10. 身体を支えながら上着を引き出す
    11. ゆっくりと仰向けの状態にもどし、右腕の袖を通す
    12. 上着の肩部分を持ち上げる
    13. ボタンをとめ、しわがないよう衣服を整える

    ズボンの更衣介助

    ズボンの更衣介助は、利用者の方に両膝を立ててもらいながら行うのがポイントです。

    1. 両膝を下から抱え、片手で足裏を支えながら両膝を立てた状態にする
    2. ひざを支えながらズボンを下ろしていく
    3. ひざ下までズボンが下りたら、ひざをゆっくりと伸ばす
    4. 足先からズボンを抜く
    5. かかとからふくらはぎまで下から支えながら、新しいズボンを片方ずつ通す
    6. 両膝を下から抱えながら立てる
    7. ズボンをももの下まで上げ、ゆっくりとひざを伸ばした状態に戻す
    8. 上着を着るときに寝返りを打つタイミングで、ウエストまでズボンを引き上げる

    かぶりの上着を更衣介助するときの手順

    ここからは、座った状態でかぶりの上着を更衣介助する手順を追っていきます。左側に麻痺のある方を更衣介助するケースです。

    1. 右側の裾部分をたくし上げ、右袖を抜く
    2. 服をたくし上げるようにしながら、首部分を脱ぐ
    3. 左腕を手のひら全体で支えながら、左袖を抜く
    4. 左腕を無理に動かさないように気を付けながら、新しい衣服の袖を通す
    5. 肩まで上着を上げたら、頭を通す
    6. 左腕が引っ張られていないか確認しながら袖を整える
    7. 右腕も通し、しわがないよう全体を整える

    利用者の方に負担のない更衣介助をマスターしよう

    スムーズに更衣介助するためには、注意点とともに手順を把握しておくことが大切です。麻痺のある方の場合、無理な介助が思わぬケガにつながるケースもあります。ベッド上での更衣介助では、無理の少ない姿勢を心がけなくてはいけません。

    衣服を新しいものへ変えることは、清潔を維持するだけでなくリフレッシュ効果ももたらします。ひとつひとつの手順を丁寧に行い、利用者の方に負担のない更衣介助をマスターしましょう。

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