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    食事介助の方法を解説。食事前の声かけや正しい姿勢が重要?

    仕事を知る コラム 2021/06/21

    食事介助は、自分で食事を摂るのが難しい高齢者の方のための介助です。高齢者の食事には「誤嚥(ごえん)」のリスクがあるため、正しい食事介助の方法を理解しておく必要があります。こちらでは、食事介助の正しい方法をわかりやすく解説していきます。食事前の声かけから流れで説明しますので、現場の動きをシミュレーションしてみましょう。

    食事における高齢者の身体特徴

    高齢になると、さまざまな身体機能に変化があり、食事に影響します。食事介助では食事の内容にも気を配ることを忘れないようにしましょう。食事における、高齢者の主な身体特徴は以下の3点です。

    • 噛む力が弱くやわらかいものを好む
    • だ液の分泌量が減りむせやすくなる
    • 消化器官が衰え胃もたれしやすくなる

    高齢者は噛む力が弱いため、やわらかいものを好む傾向にあります。自力で噛み砕けないものを与えると、むせや詰まりの原因となるため注意が必要です。また、むせの原因は、だ液の分泌量の変化も影響しています。高齢者の口内は、だ液の分泌量が少なく乾きやすい状態です。そのため、食べ物がスムーズに飲み込めず、むせてしまう恐れがあります。むせを予防するためには、食事にとろみを付けるのが効果的です。ものを噛む力や飲み込む力に合わせ、食事形態を検討するのも食事介助の大切なポイントといえます。

    さらに、消化器官が衰え、胃もたれしやすいというのも高齢者の身体特徴のひとつです。そのため油っこい食べ物は、消化器官が受け付けない場合もあります。下痢や胃もたれを起こすと、食欲不振の原因となり得ます。食事をおいしく健康的に楽しむためにも、日々の献立には配慮が必要です。

    食事前の6つの準備ポイント

    よりスムーズに、そして安全に食事介助するためには、食事前の準備も重要です。利用者の方が食事の時間を楽しめるよう、食事前は以下のポイントに注意しましょう。

    1.声かけで食事の時間であることを伝える

    食事介助に限らず、介助をする前には声かけを忘れないよう心がけます。利用者の方の同意を得た上で、介助を行う必要があるからです。

    また声かけには、高齢者の方に「食事の時間になりましたよ」と伝える合図の役割もあります。声かけにより脳と身体が食事の準備をするので、誤嚥防止にもつながります。特に寝たきりの利用者の方の場合、声かけは大切なポイントです。

    2.排泄を済ませておく

    入浴前や就寝前など、介護では利用者の方をトイレへ誘導する場面が多々あります。同様に、食事前のトイレ誘導もタイミングのひとつです。食事の途中にトイレへ行くと、その都度介助をしたり、手を洗ったりといった時間を要します。室内にポータブルトイレがある場合には、においが気にならないよう事前に片付けておきましょう。

    3.手洗いやおしぼりで手を清潔にする

    介助者はもちろん、利用者の方の手を清潔にすることも大切な準備ポイントです。利用者の方が洗面所へ移動できない場合は、おしぼりを使って手のひらや指先を拭きましょう。衣服が汚れないよう、必要に応じてエプロンも用意します。

    ベッド上で食事をする場合は、可能であれば窓を開け、部屋の換気をしましょう。生活臭と食事の臭いが部屋に充満するのを防ぐことができます。

    4.身体状況に応じた正しい姿勢を保つ

    誤嚥防止のためには、正しい姿勢で食事を摂る必要があります。理想とされるのは、上体を90度に起こした姿勢です。重力により、食べ物がスムーズに食道へ運ばれるためです。

    ベッド上で食事をする場合は、本人が苦しくない角度を意識しながらリクライニングを起こしましょう。「椅子」、「リクライニング車椅子」、「ベッド」とそれぞれの正しい姿勢は、この後の項で詳しく解説します。

    5.口内を清潔にし口腔体操を行う

    食事の前は、口腔ケアや口腔体操を行います。だ液の分泌量が減った高齢者の口内は、雑菌が繁殖しやすい状態です。そのまま食事をすると、雑菌も一緒に体内へ入る恐れがあります。食事の前はうがいをしたり、口腔ケア用のスポンジなどで口内を清潔にしておきましょう。

    また、口や頬を動かす口腔体操には、誤嚥防止の役割があります。だ液の分泌を促す効果があるので、食べ物が飲み込みやすくなるからです。

    口腔体操では、首や肩、表情筋や舌などを動かします。「パ・タ・カ・ラ」など、唇や舌を使いながら発声する運動と合わせ、食事前に取り入れてみましょう。

    6.献立を伝える

    テーブルの上に料理を用意したら「今日のおかずは大好きな魚の煮つけですよ」「おいしそうな和え物ですね」など、その日の献立を伝えます。メニューを詳しく伝えることで、食欲を刺激する効果を期待できます。

    ただ食べ物を口に運ぶだけでなく、本人の食べたい意欲を引き出すことも食事介助の役割のひとつです。同じ目線で料理を眺め、ともに食事を楽しむ意識を持ちましょう。

    誤嚥を防ぐ食事介助の正しい姿勢

    誤嚥を防ぐためには、1人ひとりの身体状況を見極め、正しい姿勢を意識します。高齢者が食事を摂る姿勢は、身体状況に応じて次の3つのパターンが考えられます。

    • テーブルに向って椅子に座る
    • リクライニング車椅子を使用する
    • ベッド上で食事をする

    歩行が可能な場合は、なるべく食卓へ移動し椅子に座って食事を摂ります。生活にメリハリができ、食事への意欲も高まるからです。

    椅子は深く腰掛けた状態で、足が床にしっかりつく高さが理想的です。なおかつ、膝が90度に曲がるくらいの座り方を意識すると、姿勢が安定します。前かがみになったときに椅子から落ちないよう、背もたれにクッションを当てるのもおすすめです。

    リクライニング車椅子の角度は、無理をしないように本人の希望を確認しながら調整します。理想は90度ですが、難しければ45~80度くらいを保つように意識しましょう。足元を安定させるため、膝を曲げた状態でステップに足をしっかりと乗せます。姿勢が不安定なときは、背中や頭の後ろにクッションをはさみます。

    ベッド上も同様に、本人の希望を聞きながらリクライニングを調整します。リクライニング部分に腰がしっかりと沿い、隙間がないように姿勢を整えましょう。膝は軽く曲げ、ひざ下にクッションを挟みます。首が安定しないときには、首下から後頭部辺りにクッションや枕を挟みましょう。

    食事介助の流れと注意点

    ここからは、具体的な食事介助の流れと注意点を解説します。一連の手順をふまえ、スムーズかつ安全に利用者の方の食事を介助しましょう。

    1.介護者は利用者の方の横に座る

    食事介助は、利用者の方の正面ではなく横に座るのが基本です。対面で座ると、利用者の方は介護者の視線を気にしてしまいます。また、介護者が立っていると、利用者の方は顔を持ち上げなくてはいけません。顎が上がることによって、誤嚥のリスクが高まってしまいます。必ず横に座り、同じ目線で料理を見るように心がけましょう。

    2.水分補給をし、口のなかを潤す

    まずは水分補給をし、口内を潤してから食事を始めます。口内を潤った状態にしておくと、嚥下がよりスムーズになります。

    3.水分の多いものからスタートする

    高齢者の食事介助は、お味噌汁やスープのような汁物から先に進めましょう。胃酸が分泌され、食事前のウォーミングアップの効果を期待できます。熱すぎないか温度に配慮しながら、少しずつスプーンで口へと運びましょう。

    4.スプーンは下から差し出す

    利用者の方の口元へ運ぶスプーンは、上からではなく下から差し出すように心がけます。スプーンの位置が高いと、利用者の方は顎を上げた状態になります。そのまま物を飲み込むと、誤嚥につながる恐れがあるからです。スプーンは口の奥まで入れないことも、覚えておきましょう。

    5.ご飯やおかず、汁物は交互に提供する

    主食であるご飯やおかず、汁物は交互に提供します。主食だけ、副菜だけのように同じものを続けて食べると、食事が味気ないものになってしまいます。ただ「食べる」のではなく、食事そのものを楽しめるように意識することも大切です。お茶や水による水分補給も忘れないようにしましょう。

    6.利用者の方のペースに合わせる

    食事は急かさないよう、本人のペースに合わせて提供します。高齢者の食事は、概ねゆっくりと時間のかかるものです。時間がないからと、慌てて急かさないようにしましょう。

    次のひと口を進めるときは、口の中の食べ物がきちんと飲み込まれたことを確認します。次々と運ぶと、誤嚥やのどの詰まりの原因となるため注意が必要です。

    「おいしいですね」「次はどれにしますか?」と声をかけることも大切です。ともに食事を楽しむつもりで、利用者の方の希望を聞きながら介助を進めましょう。

    7.摂取量を確認し口腔ケアを行う

    食後は摂取量を確認し、口腔ケアを行います。食事量は健康状態の目安であり、極端に食べる量が少ない場合は、体調不良の可能性も考えられます。ほかのスタッフと情報共有し、対応を検討しましょう。

    食事を片付けたあとは、口腔ケアで口内を清潔にします。洗面所まで歩行できる場合は、利用者の方本人に歯磨きをしてもらいましょう。介助が必要な場合は、できない部分をサポートします。入れ歯は外し、傷がつかないようにやさしく洗います。しっかりとうがいをしてもらい、口の中に食物残渣が残らないようにすることが大切です。

    うがいが難しい場合は、口腔ケア用のスポンジで口内の汚れを拭き取ります。水分でむせないように注意しながら、奥から手前へとスポンジを動かします。口内が乾燥している場合は、スポンジに保湿剤を付け、全体にまんべんなく塗布しましょう。

    正しい食事介助で楽しい食事時間を提供しよう

    安全かつスムーズに食事介助を行うためには、事前の準備が大切です。また、正しい姿勢を保つことも誤嚥の防止になります。食事は健康維持に欠かせないものであるとともに、日々の楽しみのひとつでもあります。食事介助の正しい方法を理解し、利用者の方に楽しい食事時間を提供していきましょう。

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