近年、さまざまな形態の介護施設が急速に増えています。そのため、どんな就職先を選べばよいか悩む方も多いでしょう。中にはブラックと呼ばれる施設も存在しています。誰でもブラックな職場で働きたくないと思っているはずです。今回はブラックな介護施設の特徴と見分け方について解説していきます。
また、ブラックな介護施設に勤めてしまったときの対処法も解説しているので、最後まで読んで参考にしてください。
「ブラック」と言われる介護施設の特徴や見分け方について具体的に解説していきます。実際、働いてみないとわからないことも多いですが、見学や面接でも判断できるポイントがあります。これから就職先を探す方は、以下のポイントをチェックしてください。また現在勤めている方は、自分の職場に当てはまる項目がないかを確認してみましょう。
介護士は検温などの一部を除く医療行為を行なってはいけません。万が一、事故が起きた場合、施設が問題になることはもちろんですが、個人も責任を問われる可能性が高いです。介護職の医療行為は違法ですので、間違ってもおこなわないようにしましょう。
人員基準は介護保険法で、利用者3人に対して介護職員1人を配置すると決まっています。介護職員や看護職員といったいわゆる現場の職員は、勤務の変更やヘルプによって補填できることが多いです。
しかし、ケアマネジャーなど、複数人いないポジションは急な退職などにより欠員することが考えられます。たとえば、ケアマネジャーが補填できず欠員のまま、運営し現場の職員にケアプランを作成させ、名前だけごまかすといった対応をする施設があるのです。業務を強制させることはもちろん、運営する基準に準拠していないというのは大きな問題となります。
会社は人を雇用するとき、労働基準法を遵守しないといけません。「過度な残業」「休憩時間の搾取」「休日の返上」「サービス残業」などが労働基準法違反に該当します。
介護施設の特性上、一時的に残業や連続勤務が発生しますが、これらが常習化している施設は危険と言えるでしょう。
虐待は殴る・蹴るといった「身体的虐待」だけでなく、「介護の放棄(ネグレクト)」や暴言などの「心理的虐待」、他にも「性的虐待」「経済的虐待」があります。
虐待の判断は難しいですが、「利用者の方の理由のわからない怪我」「利用者の方に対しての叱咤」「プライバシー保護の逸脱」などが疑われる場合は注意しましょう。虐待は犯罪です。施設で問題となった時は、自分にもリスクが発生するかもしれませんので、十分に配慮しましょう。
パワハラ・セクハラ・モラハラなど、さまざまなハラスメントがあります。ハラスメントが横行している状況があれば、施設の人間関係のバランスが崩壊している可能性があります。すぐに判断できないかもしれませんが、ハラスメントは心身を消耗し、行き過ぎるとうつ病などを発症してしまうので注意しましょう。
また最近では、「逆○○ハラスメント」があり、部下から上司に対するハラスメントも問題になっているようです。
サービス残業が多い施設はやはりブラックの可能性が高いです。サービス残業が多い理由に「職員が少ない」「仕事が多い」「仕事をこなせる職員が少ない」ことが想像できます。いずれにしても人材が足りないことに変わりないので、継続した就業が難しい可能性が考えられます。
面接の時によい条件ばかり聞いていたのに、実際就業してみたら、聞いていた条件と違うということがあります。たとえば、短時間勤務を希望して、同意の上で就業したのに「残業が多い」「勤務日を増やされる」といったことも考えられます。パートやアルバイトを選んで働いている方は、時間の都合を優先していることもあるでしょう。給料や待遇が違ってくると、生活に影響するので我慢することはないでしょう。
正社員なのに有給休暇をとらせてもらえない場合があります。業務に必要な人員をそろえる必要はありますが、労働者の権利として有給休暇がとれないのは問題です。
年間の有給休暇の取得は義務なので、有給休暇がとれないことは違法行為ともとれます。他の業界に比べて有給休暇や連休がとりにくい職種ではありますが、自分を犠牲にせず、冷静に見直してみましょう。
職員間でいじめが発生している施設があります。当事者はいじめと感じていないこともありますが、チームプレーが重要な職場で、いじめがあるというのは大きな問題です。また、そのような現状が放置されている場合は、管理体制にも問題があるといえるでしょう。
給与が低すぎることは問題ですが、逆に高すぎる場合も注意が必要です。介護施設では定員数があるため、売上の上限があります。
また、配置すべき人員が決まっているので、人件費が削減しづらい業界です。そのため、給与を高く設定することが難しく、これが介護職の離職が多い理由の一つとして考えられます。もし高待遇の条件が掲げられていた場合には、何かしら問題があるのではないかと冷静に判断するべきでしょう。
たとえば、「職員数が極端に少ないため、無理に高待遇にしている」というような場合、給料が良くても何時間も残業しないといけない状況かもしれません。
介護というと優しいイメージを持っている方も多いですが、面接で意外に多いのが高圧的な面接官です。どのような職種の方が面接されているかは、会社によっても違うと思いますが、高圧的な面接官がいる場合は注意が必要です。
あえて高圧的な面接をして、忍耐力や精神力を判断するという考え方の会社もあります。しかし、面接で高圧的と感じたのなら、就職は見送ったほうが賢明かもしれません。その後、高圧的に感じた人と一緒に仕事をすることを考えると、あまりよい職場とは言えません。
ブラックな介護施設に就職してしまった場合は、さまざまな危険が伴います。精神疾患を患ったり、体調を大きく崩したりすることもありますので、早めの対処が必要です。ブラックな介護施設に勤めてしまった時の対処法を以下にまとめました。
【ブラックな介護施設に勤めてしまった時の対処法】
働きやすい介護施設で働くためにも、1つずつ確認していきましょう。
介護の経験やスキルを積んでいれば、転職のチャンスは広がります。しかし、再びブラックな職場に転職してしまっては意味がありません。前述した注意点をふまえ、働きやすい介護施設への転職を目指しましょう。
現在は、転職エージェントサービスがたくさんあります。転職エージェントを活用して、施設の内部事情や職員の様子などを教えてもらうと安心です。また、雇用前に質問するのは気が引けるといった方も、転職エージェントに頼めば確認してもらうことができます。
残業代が未払いになっている場合は、きちんと請求し受け取るようにしましょう。この場合、タイムカードなど出退勤の確認ができるものがあると良いです。可能であれば、残業代が貰えない理由を聞いてみましょう。
残業の申請が必要なのに、申請をせず自己判断で残業している場合は、残業が認めてもらえないことも考えられます。残業代を申請するのであれば、就業規則は確認しておきましょう。
「ブラックな労働環境の改善」「残業代請求」「退職支援」などをお考えなら、労働組合(ユニオン)を利用する方法もおすすめです。労働組合は、労働者と会社の労働環境を改善するように働きかけてくれます。労働者の味方として、会社との交渉を進めてくれるでしょう。しかし、労働組合に加入しなければいけないことが、デメリットと考えられる場合もあるので確認しておきましょう。
介護施設の中には残念ながらブラックと呼ばれるような職場が存在します。ブラックな介護施設で働いていると、心身ともに疲弊し、身体を壊してしまう可能性があり危険です。早めに対処することをおすすめします。
どこの施設も一緒と思わずに、転職エージェントなどを活用して、内情の把握や条件交渉をしていくことで、ブラックな職場にあたることを回避できるでしょう。この記事を参考に、長く働くことができる介護施設を探してみてください。
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