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    【介護のリスクマネジメント】ありがちな介護事故の事例・防止対策を解説

    仕事を知る コラム 2022/03/14

    介護のリスクマネジメントは、介護現場で働くうえで非常に大切なことです。そこで、本記事では介護のリスクマネジメントとは何なのか、その目的を解説し、ありがちな介護事故の事例をみていきます。さらに、介護事故の防止対策や、万が一介護事故が起こった場合の対応についても紹介していきます。

    介護現場のリスクマネジメントとは

    リスクマネジメントは事故を検証し、対策や予防をおこない、事故を未然に防ぐことを目的とします。介護の現場で起こる事故を100%防ぐのは不可能といっても過言ではありません。しかし「仕方がない」で終わらせず、しっかりと対策をしていく必要があります。リスクマネジメントは、定期的に勉強会や研修を実施し、全職員が周知・徹底するのが大切です。

    介護のリスクマネジメントの目的

    介護現場で発生する事故にはさまざまなものがあり、予測できないケースも数多くあります。また高齢者の事故には、大きな後遺症や生命に関わる可能性もあります。まずは、介護のリスクマネジメントの目的についてひとつずつ確認していきましょう。

    利用者の安全

    やはり最初に考えられるものは、利用者の方の安全を確保するというものです。転倒・転落・薬の飲み忘れ・感染症など、気をつけるべきものはたくさんあります。しかし、気をつけていても100%防ぐのは不可能です。

    自分で歩くことができる利用者の方では、事故が起きる可能性は絶対にあります。ただ、諦めずにデータ分析や状況の検証をしていく必要があります。

    訴訟を防ぐ

    最近では、家族によるパワハラやモラハラなどが問題となっています。事故後の状況や対応によっては、訴訟問題につながる可能性も考えられるので、家族に対しても誠意ある対応が必要です。

    訴訟にばかり集中するあまり、利用者の方の安全を疎かにしないように注意しましょう。事故が起こってしまった場合は、家族の不安やその後のトラブルに繋がらないように努めます。また、日頃の人間関係がとても重要なので、日頃から良好な関わりを意識しておくとよいでしょう。

    働きやすい環境を作る

    直接関係ないと感じる方もいるかもしれませんが、職員が働きやすい環境では事故が起こりにくくなります。職員がのびのび働けて、ストレスがない状態だと、ゆとりが生まれさまざま課題に気づけるでしょう。

    また課題に対し、カンファレンスや検証も欠かせません。職員間のコミュニケーションが良好だと、その分、情報交換もスムーズにおこなえます

    介護事故の事例

    以下、介護現場で実際に起こった出来事です。

    1. 認知症で普段車椅子を使用している方が、夜間に目覚めてトイレに行こうと起き上がる。
    2. 車椅子に乗らずに歩いた結果、ベッドサイドで転倒し骨折。
    3. 夜間帯は職員が少ないが、家族は夜間帯も利用者3人に対して、職員1人を配置している対応(いわゆる3対1の人員配置)をしていると思っていた。
    4. 「自分の親が雑な介護を受けた」と訴訟を起こし、脅迫じみた連絡や嫌がらせを始める。
    5. 1年ほど費やして、最終的には和解する。
    6. しかし、1カ月に10時間程の対応時間を割くことに。

    近年、このような事例は珍しいことではないでしょう。事例のようなケースを円滑に対応するためには、リスクマネジメント能力の向上が必要です。

    介護リスクマネジメント能力の高め方

    では、介護現場のリスクマネジメント能力を高めるにはどのような方法があるでしょうか?

    「よく気がつく職員を教育する」といった抽象的な方法では、いつまでも向上されないでしょう。介護現場でよく用いられる手段は以下の2つです。

    【介護現場で用いられる手法】

    • ヒヤリハット
    • KYT

    ひとつずつみていきましょう。

    ヒヤリハット

    ヒヤリハットは「ヒヤリとしたこと」「ハッとしたこと」を記録し、情報共有する方法です。ハインリッヒの法則によると、ひとつの重大事故には、29件の中等度事故があり、さらに300件のヒヤリハットが存在しているといいます。

    つまり300件のヒヤリハットを予防できると、大きな1件の事故を防げるという考え方です。ありがちなのはヒヤリハットを記録し、情報共有するだけで終わってしまうことです。ヒヤリハットひとつひとつに対して、しっかりと情報共有し、対策を徹底することで、大きな事故の予防につながります。

    KYT

    KYTという言葉をご存じでしょうか?

    K・・・危険

    Y・・・予知

    T・・・トレーニング

    KYTとは危険予知トレーニング、その名の通り事故などが起こり得る状況を予知して、対策を立てるトレーニングです。定期的にグループカンファレンスや勉強会に取り入れることで、普段からの注意や視野が広がり、事故の予防につながります。積極的に取り入れていくとよいでしょう。

    介護事故を防止するために大切なポイント

    介護事故は大きく分けると「防げる事故」と「防げない事故」に分けられます。たとえば「普段は介護を必要とせず、自分のことは自分でできる方が、たまたまつまずいて転倒してしまった」という場合は、防げない事故と考えられます。

    しかし「認知症があり、普段から介助が必要で、トイレに誘導したあとに15分後にトイレ内で転倒した」という場合は、防げる事故であったと考えられるでしょう。

    このように事故を分析していけば、次に起こる事故の可能性を減らせるので、以下の点を意識して対応していきましょう。

    防げる事故を対策する

    防げる事故と防げない事故を仕分けし、防げる事故は徹底的に対策を施しましょう。防げない事故にも、もちろん対策は必要ですが、防げる事故に対して時間を割いていくべきです。防げる事故の多くは、うっかりや注意不足が原因の場合が多いです。その場合、対策が抽象的になりやすいので、どのスタッフでも自然と行動できるような仕組みを考えていくとよいでしょう。

    情報を収集する

    事故を分析し、対策するには、まず情報を収集しなければいけません。事故の原因のヒントになることもあるので、日頃から利用者の方の言動・活動量・性格などさまざまな点において、記録を残し共有します。また、転倒などの事故が起きたときは、周囲の環境を把握しておきましょう。

    たとえば転倒事故の場合は、以下の部分が観察ポイントとなります。

    • 車いすのブレーキはかかっていたか?
    • 靴は履けていたか?
    • 車いすの向きは?
    • 体調は悪くなかったか?
    • ナースコールの位置は?

    上記はあくまでも観察ポイントの一部です。これらを踏まえたうえで対策を考えていきましょう。

    対策を考える

    防げる事故については、具体的で誰でも実施できるような対策を考えましょう。事故の報告書には「今後の対策」といった項目があると思います。対策の部分に「見守りの徹底」や「注意して観察する」といった抽象的な対策ではなんの意味もありません必ず具体的で、見れば誰でも実践できる内容にしましょう。

    対策はいわば「本人や家族との約束ごと」と捉え、実践できないものは書かないようにしましょう。書いておいて「実はやっていません」「できていません」となった場合は、更なる苦情につながる可能性があると理解してください。

    利用者の方の尊厳を守ることを忘れずに

    事故を防ごうとするあまり、事故を起こさない=動かさないという考えに至ってしまうと、最終的に身体拘束につながる場合があります。事故を防ぐことも大事ですが、利用者の方の尊厳を傷つけてしまわないようにしてください。家族との信頼関係が築けていることも非常に大切です。

    行政へ連絡をする

    事故や対策がある程度落ち着いたら、管轄の市区町村へ報告をおこないましょう。大きな事故の報告は義務があります。後々、トラブルに発展した場合も報告をしているかどうかで、フォローしてもらえる可能性があります。

    介護のリスクマネジメントは事故だけではない

    近年では、感染症対策が非常に重要になっています。施設内の集団感染も大きな事故と考えられます。前述しましたが、家族対応や風評被害も重大な影響を及ぼします。とくに家族との関係性は良好に越したことはないでしょう。契約時に、トラブルになりそうな部分は丁寧に説明して理解を得ましょう。

    もちろんそれだけで、理解を得られるケースは稀だと認識し、利用中のこまめな連絡や挨拶など、誠意ある対応を心掛ける必要があります。

    介護現場のリスクマネジメントは利用者・職員に欠かせない

    介護現場のリスクマネジメントは、転倒や転落といった身体的事故がイメージされる場合が多いですが、他にも薬の管理や感染症などさまざまな事故があるでしょう。

    近年では、家族の主張も増えてきてトラブルに繋がりやすいという側面もあります。起こり得るリスクを予防し、利用者の方が安全に生活できる環境を整えましょう。

    また、リスクマネジメントを通して、職員や家族にとっても納得のできる環境を目指しましょう。

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