介護職で夜勤をしていると「しんどい」「つらい」と感じることも多いのではないでしょうか。これから介護職を始めようという方は「自分に夜勤はできる?」と不安に感じることもあるかもしれません。
今回は、しんどいと言われることの多い夜勤のメリット、デメリットについて解説します。夜勤の負担を軽減する3つのポイントもあわせて参考にしてください。
夜間から早朝にかけて働く夜勤は、しんどいと言われがちです。利用者の方をサポートする介護職は、多くの施設で夜勤が求められます。介護職の夜勤がしんどいと言われる理由はどこにあるのでしょうか?まずは、夜勤の回数や勤務体制について確認していきましょう。
利用者の方が入所する介護施設では、スタッフが24時間体制で勤務する必要があります。勤務体制は主に2交代制と3交代制があり、夜勤の勤務時間もそれぞれ異なることが特徴です。
2交代制 | 日勤9:00~18:00 | 夜勤17:00~翌10:00 | |
3交代制 | 日勤7:00~15:00 | 遅番14:00~22:00 | 夜勤21:00~翌6:00 |
3交代制に比べ、2交代制は夜勤の勤務時間が長くなります。2019年の介護施設夜勤実態調査結果によると、2交代制を採用している施設は調査対象施設全体の9割近く。人手不足が理由で、多くの施設で長時間の夜勤体制がとられているのが現状です。
一般的には2時間程度の休憩時間があるものの、2交代制夜勤の拘束時間はおよそ日勤2日分。必然的に身体的な負担が大きくなってしまうことが、夜勤がしんどい理由のひとつといえるでしょう。
前述した調査によると、1ケ月あたりの夜勤の平均回数は2交代制で4.4回、3交代制で5.9回です。法的な規定はないため、夜勤の回数は施設によって異なります。
夜勤明けは日勤ではなく、休日になるのが一般的です。しかし、夜勤の負担の大きさから「夜勤明けの休日は、体を休めるので精いっぱい」といったケースも考えられます。
夜勤は日勤に比べ、勤務スタッフの数が少ないという特徴があります。特別養護老人ホームの夜勤時の職員配置基準は、入居者25名以下に対し1名以上と定められています。一方、日勤の場合は、入居者3名に対して1名以上と大きな違いがあります。
必然的に夜勤の職員数は少なくなり、1人または2人体制を取る施設も多く見受けられます。そのため、職員1人あたりの負担が大きくなることも、夜勤がしんどいと言われる理由のひとつです。
【参考】日本医療労働組合連合会「2019年介護施設夜勤実態調査結果」
夜勤は日勤のように入浴介助やレクリエーションなどがなく、食事介助や見守り、排せつ介助などが業務の中心です。施設によって細かな対応は異なるものの、ここでは一般的な夜勤の勤務スケジュールと過ごし方をご紹介します。
17:00~ | 出勤、申し送り | 日勤スタッフから当日の異変、注意事項などを引き継ぐ |
17:30~ | 夕食準備
食事介助 服薬介助 下膳 口腔ケア |
利用者の方の身体状況に応じ、食事介助や服薬介助をおこなう
食事後は下膳のほか、口腔ケアをおこなう |
20:00~ | 排せつ介助 | 就寝前にトイレに誘導、排せつ介助、オムツ交換などをおこなう |
22:00 | 消灯 | |
23:00~ | 見回り | 異変がないか居室を巡回する
必要に応じトイレ誘導やオムツ交換をおこなう |
24:00~ | カルテ記入 | カルテ記入をしつつ、異変があればそのつど対応する |
1:00~ | 休憩 | 仮眠室や休憩室でおよそ2時間休憩をとる |
3:00~ | 見回り | 異変がないか居室を巡回する
必要に応じトイレ誘導やオムツ交換をおこなう |
5:30~ | 見回り、起床
更衣介助 トイレ誘導、介助 オムツ交換 移乗介助 |
見回りをしつつ、起床をうながしながら排せつ介助、更衣介助などをおこなう
ベッドから車いすへの移乗介助も必要 利用者の方が一度に起き出すこともあり、夜勤の中でも慌ただしい時間帯 |
7:00~ | 朝食準備
食事介助 服薬介助 下膳 口腔ケア |
利用者の方の身体状況に応じ、食事介助や服薬介助をおこなう
食事後は下膳のほか、口腔ケアをおこなう 早番のスタッフが出勤している場合は、30分間の休憩時間中に朝食をとる |
9:00~ | カルテ記入
申し送り |
夜勤時の様子をカルテ記入するほか、日勤者に異変や注意事項などを報告する |
10:00 | 退勤 |
夜勤がしんどいといわれる背景には、次のような3つのデメリットがあると考えられます。
夜勤を検討している場合は、勤務後のギャップを解消するためにもデメリットについてきちんと理解しておきましょう。
夜勤はスタッフの数が少なく、緊急対応時のプレッシャーが大きいというデメリットがあります。利用者の方の体調不良や徘徊、転倒など思わぬトラブルが考えられるのが夜勤の現状です。夜勤時のプレッシャーを払拭するためには、施設で用意されている対応マニュアルなどの内容をしっかりと頭に入れておきましょう。
夜勤は勤務時間が長いことが日勤との大きな違いです。2交代制の場合は、休憩時間を含めると拘束時間はおよそ16時間。日勤と夜勤を繰り返すことで生活リズムが乱れ、疲れがたまりやすくなるデメリットが考えられます。
夜間帯に働く夜勤は、友人や家族とすれ違いの生活になりやすいというデメリットがあります。特に家事や育児などと両立させたい場合は、必ず勤務後のライフスタイルをイメージしておきましょう。
夜勤はしんどいだけでなく、以下のような4つのメリットがあります。
特に給与アップは夜勤の大きなメリットです。これから夜勤で働こうという方は、ぜひメリット、デメリットを踏まえたうえで検討してみてください。
夜勤の給料には一定の手当がプラスされます。夜勤手当の金額は、施設や保有資格によって異なるものの1回あたり4,000円~8,000円。パート勤務でも日勤より高い時給が期待できます。
夜勤業務は、夕食と翌朝の朝食の準備や介助のほかは、見回りや排せつ介助などが中心です。日勤のように入浴介助やレクリエーション、リハビリなどはなく、業務量が少ないというメリットがあります。
施設の勤務体制や利用者の方の身体状況によって異なるものの、ときには「今日の夜勤は落ち着いて過ごせた」という日もあるでしょう。
人材不足の介護施設では、多くの施設で夜勤可能なスタッフが求められています。そのため、正職員として就職したい場合は、夜勤に入れることが有利に働くでしょう。これから介護職を始める方も、まずは日勤で仕事を覚え、慣れてきたら夜勤に入ることが施設から望まれるでしょう。
シフトによっては、日勤よりも連休が取りやすいことも夜勤のメリットです。夜勤明けの翌日が休日のシフトであれば、プライベートの時間が確保しやすくなります。夕方から勤務に入る場合は、それまでの時間を有効活用できることもポイントです。
「夜勤がしんどく、なんとか負担を減らしたい!」と考えている方は、次の3つのポイントを心がけてみてください。
ひとつめは、夜勤明けの過ごし方に気を付けること。夜勤明けだからといって長時間眠るのではなく、なるべく普通に過ごすように心がけましょう。また、夜勤の負担を減らすためには、日ごろから規則正しい生活を意識することが大切です。普段から睡眠不足が続いていると、基礎体力も低下してしまいます。
そのほか、夜勤中の食事は軽めに済ませることもポイントです。規則的な食事は体内時計を保つ効果があるため、夜勤中はなるべく消化に良いものを選び、日中にしっかりと食事の時間を設けましょう。
夜勤をしやすい介護の職場は、休憩室や仮眠室がきちんと設けられています。また、しっかりと休憩時間を確保していることも特徴のひとつです。
人手不足の施設では、休憩時間になっても業務がやめられなかったり、夜勤明けに残業が必要になったりといったケースが考えられます。夜勤をしやすい職場への転職や就職を考える場合は、面接時に夜勤体制をしっかりと確認しておきましょう。
介護職の夜勤は、しんどいと言われる一方でさまざまなメリットが得られる働き方です。日勤だけの勤務に比べ、給与アップも期待できます。
とはいえ、夜間帯に働く夜勤は、生活リズムの乱れから身体的な負担が大きくなりがちです。夜勤がしんどいと感じる場合は、負担を上手に軽減したり、転職を検討したりと自分に合った働き方を検討してみましょう。
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