コミュニケーションが苦手な介護職の方の中には、高齢者の方との会話に悩む場面も多いのではないでしょうか?
そこで、本記事では高齢者の方との会話が上手くいく方法やおすすめの話題についてご紹介していきます。さらに、高齢者との会話の注意点についても解説していきます。
介護の現場では高齢者との会話は重要な要素です。こちらの対応によっては「盛り上がりに欠ける」「テンポよく会話できない」「怒らせてしまった」などの失敗になってしまうこともあるでしょう。
高齢者は日々、体調や不安から心細く感じて生活している人も多いです。介護職員からの声掛けや会話ひとつで、気持ちが晴れ、ストレス発散につながるケースもあります。
高齢者には喜ばれる話題はどんなものでしょうか。会話に盛り上がりを感じなかった場合は、次の点を意識して会話してみるのがおすすめです。
認知症の方でも、過去の輝いていた時期や頑張っていた時期は、記憶も鮮明で話がはずみます。
出身地を誇りに感じている人もいます。また、同郷だと親近感も湧き、話も盛り上がるでしょう。
高齢者は苦労話をしがちです。自分がいかに大変だったか聞いてほしい時もあるので、しっかりと傾聴してあげるとよいでしょう。
高齢者と会話をしようとしても、話題が思い浮かばず悩む方は、以下を参考に話を考えてみてはどうでしょうか?それぞれの話題の頭文字を取って「木戸に立てかけし衣食住」と覚えてください。
「だんだん寒くなってきましたね。寝るとき寒くないですか?」など、身体を気づかった声掛けも可能です。
趣味や趣向について聞いてみてはどうでしょうか?将棋や手芸など、一緒にできるレクリエーションが見つかる可能性も高いです。
暗いニュースを取り上げがちですが、できるだけ明るいニュースを取り上げましょう。「戦争」「自然災害」「介護職員の事件」などは取り上げると不安を増大させてしまう可能性があります。
旅行や地域のネタで、話をしてみるとよいでしょう。相手の地元や出身地だったり、思い出の場所だったりした場合、話が盛り上がるでしょう。
「今日は天気がよいですね」と簡単な挨拶からはじめてみるとよいでしょう。きっかけさえあれば、話が進んでいくことも多いです。
子どもや孫、夫婦関係のことなどで話をしてみるとよいでしょう。家族関係が良好ではない場合や、家に帰りたいという気持ちが強い人には注意が必要です。家族の話題を出すことで、不安にさせてしまう場合があるので注意しましょう。
リハビリやスキンケア・ハンドケアなどは話をきり出しやすく、実施もしやすいのでおすすめのです。
前章で記述したように、仕事など活力があった時期の話は、高齢者も自信を持って話してくれます。イキイキと話していると活気が生まれ表情も変わってくるでしょう。
「今日の服かわいいですね」「すごく似合っていますよ」など、話すきっかけは毎日あります。女性の方は、服を褒めると喜んでくれる人が多いでしょう。
「好きな食べ物」「嫌いな食べ物」だけでも話の幅は広がります。料理の話につなげてもおもしろいかもしれません。
「どちらにお住まいですか?」からつながる話は多いです。住まいがある地域の特徴などの話ができると盛り上がりそうですね。
高齢者と話すときは、いろいろな点で注意が必要です。以下6つのポイントに注意しましょう。
低い声でゆっくり話しましょう。高齢者は早口では聞き取れない場合があります。聞き取れないまま、話が進むと高齢者はストレスを強く感じてしまいます。
また聞き取れなかったことを気にして、会話を億劫に感じてしまう場合もあるので、注意が必要です。女性はとくに声が高い傾向にあるので、注意しましょう。
高齢者でもわかる言葉を選ぶことが重要です。大きく世代が違うことを意識しておきましょう。流行語や新しいお店の名前などは、高齢者を混乱させてしまいます。
笑顔を見せることを意識しましょう。笑顔から高齢者は安心感を得ることができます。安心感があると、話の内容も受け入れやすくなり、理解や共感を得やすいです。そのため、話の内容よりも重要なポイントといえます。
高齢者は猫背だったり、車椅子に座っていたりすると、目線が低くなってしまいます。会話の際は、目線をあわせることを意識しましょう。
膝をついて話す介護職員もいますが、できれば横に椅子を並べて、横に座って会話するとよいでしょう。膝をつくことは、衛生面の問題もありますし、高齢者に気を使わせてしまう場合もあります。横に座ったほうが、高齢者も話しやすく、親しみを持って会話できるでしょう。
不安な気持ちを感じて過ごしている高齢者の方もいます。不安な気持ちでいる状況で、ハイテンションで話しかけると戸惑ってしまうでしょう。「家に帰りたい」「身体の調子が悪い」「楽しくない」などの心境で生活しているかもしれないといった心配りが大切です。
認知症の方や高齢者との会話では否定したくなる場面があるかもしれません。しかし、思い込みが強く意見が変わらない場合も多いので、注意が必要です。むやみに否定してしまうと自尊心を傷つけてしまう可能性があります。一旦、話を受け入れる気持ちをもって接しましょう。
会話をスムーズにすすめるには、聞き手の技量が重要です。習得しておくとさまざまな場面で活用できます。
話をするときは適度に相づちを入れると、話している側はリズムができて会話しやすくなります。会話が弾めば、日頃のケアのヒントになるような情報を引き出すことができるかもしれません。たくさん話してもらうためには、相づちを増やして、リズムを作ることを意識してみましょう。もちろん笑顔も忘れないように。
相手の言った言葉をそのまま返す方法です。言葉を返すことで、しっかりと聞いてくれているという印象を与えます。また、会話の返答に困ったときにオウム返しを使うと、話が進んでいく場合もあるので、うまく返答できない場合は意識してみるとよいでしょう。
高齢者との会話中に沈黙が訪れることがしばしばあります。会話が苦手な人ほど、沈黙に焦ってしまい、不自然な会話をはじめてしまう場合もあります。沈黙が怖くて無理に話を引き出そうとすると、気を使わせてしまうので注意しましょう。
会話には共感が大切です。共感は表現しないとなかなか相手には伝わらない場合も多いので、大げさなぐらい表現してみるとよいでしょう。以下に共感の表現のコツをご紹介するので、毎日の会話のヒントにしてみてください。
「さすがですね」「知らなかったです」「すごいですね」「センスありますね」「そうなんですね」といった活用方法です。驚きなどと一緒に表現すると効果的です。
「はー(はいはい)」「ひえー」「ふーん(ふんふん)」「へー」「ほー」といった活用方法です。「さしすせそ」と合わせて使うと大きく表現できます。たとえば「へーすごいですね。知らなかったです。さすがですね」などと共感を表現すると相手の気持ちがよくなり会話が弾むことが多いです。
高齢者との会話が苦手で悩んでいる介護職員は意外に多いです。高齢者との会話をスムーズに行うためには、話題をたくさん持っているのが理想です。しかし、利用間もない方との会話ではそうもいきません。
さまざまな会話時のテクニックを使うことで、相手の言葉を引き出すことができます。紹介したテクニックを活用していくとよいでしょう。
しかし、一番大切にしたいのは相手に対する興味を持つことです。テクニックを使っても「相手を知りたい」という気持ちがなければ、あまり意味のない会話になってしまいます。反対にテクニックがなくても、「相手を知りたい」という気持ちがあれば、自然と高齢者側がリードしてくれる場合もあります。
そんなときは人生の先輩に甘えて、リードしてもらいましょう。会話を続けていくうちに、相手の人となりを知ることができ、自然と会話できるようになっていきます。会話を避けずに積極的に高齢者と会話する機会を持ちましょう。
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