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    介護職必見の高齢者虐待防止法とは?虐待の種類や実際にあった事例を紹介

    仕事を知る コラム 2022/04/18

    「高齢者虐待」は高齢化が進む現代社会が抱える大きな問題です。本記事では、介護職が知っておきたい高齢者虐待防止法についてご紹介します。5つの虐待の種類や事例、介護施設で高齢者虐待が起こる理由などに注目しながら、高齢者虐待への理解を深めていきましょう。

    「高齢者虐待防止法」とは

    「高齢者虐待防止法」とは、高齢者を虐待から守るだけでなく、養護者を支援するために策定された法律です。平成17年に国会で可決、成立し平成18年4月1日から施行されました。高齢者虐待防止法では、高齢者を65歳以上の者と定義しています。また、虐待は「養護者によるもの」「要介護施設従事者によるもの」にわかれているのが特徴です。

    つまり高齢者虐待は介護に関わる多くの人に関係する問題だといえます。介護スタッフは自分が虐待をおこなわないことはもちろん、多職種と連携を取りながら高齢者虐待と向き合う必要があるといえるでしょう。

    増加をみせる「高齢者虐待」

    超高齢化が進む現代社会では、介護保険制度の拡充が進む一方で家庭や介護施設での虐待が問題となっています。高齢者虐待防止法が施行された平成18年度以降も、虐待の相談・通報件数は年々増加しています。令和元年度の養介護施設従事者による虐待件数は644件、養護者による虐待件数は16,928件にのぼります。

    要介護従事者等によるもの 養護者によるもの
    虐待判断件数 相談・通報件数 虐待判断件数 相談・通報件数
    平成18年 54 273 12,569 18,390
    令和元年 644 2267 16,298 34,057

    家庭内で増加する高齢者虐待の相談、通報

    高齢者虐待の多くは養護者と呼ばれる家族や親族、同居人などによるものです。虐待件数は令和元年度に若干減少しているものの、通報・相談件数は依然として増加傾向にあります。

    平成18年 平成24年 平成30年 令和元年
    通報・相談件数 18,390 23,843 32,231 34,057
    虐待件数 12,569 15,202 17,249 16,928

    厚生労働省の調査によると、虐待が発生した原因は「虐待者の性格や人格(に基づく言動)」(54.2%)に続き、被虐待者の「認知症の症状」(53.4%)が続きます。また、注目すべきは「介護疲れ・介護ストレス」(48.3%)も原因の多くを占めていることです。

    高齢者数の増加に伴い、在宅介護のニーズは今後ますます高まっていくでしょう。高齢者虐待を防ぐためにも、地域全体で在宅介護をサポートする取り組みが必要です。

    要介護施設による高齢者虐待の現状

    令和元年度の要介護施設従事者による高齢者虐待は、虐待件数、相談・通報件数ともに、平成18年度と比較すると約10倍に増加しています。

    平成18年 平成24年 平成30年 令和元年
    通報・相談件数 273 736 2187 2267
    虐待件数 54 155 621 644

    虐待があった施設は「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」(29.5%)がもっとも多く、次いで「有料老人ホーム」(27.6%)、「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」(14.8%)です。

    これは、要介護度の高さ認知症の症状の有無が虐待要因に関係していると考えられます。

    【参考】厚生労働省「Ⅰ高齢者虐待防止の基本

    5種類の高齢者虐待と事例

    高齢者虐待は、養護者がおこなうもの、介護従事者がおこなうもの共に以下の5種類に分類されます。

    1. 身体的虐待
    2. 心理的虐待
    3. 性的虐待
    4. 経済的虐待
    5. 介護・世話の放棄・放任

    また、虐待の程度は高齢者の生命にかかわる「緊急事態」から、専門職による介入が必要な「要介入」、介護サービスの見直しが求められる「要見守り・支援」にわかれます。高齢者虐待に適切に対応するために、ここでは虐待の種類を正しく理解していきましょう。

    1.身体的虐待

    身体的虐待とは高齢者に直接暴力をふるう行為のことです。また外部との接触を意図的に遮断することも意味しています。

    (事例)

    認知症の母を自宅で介護する男性。日ごろの介護疲れやストレスから、母親を殴りケガを負わせた。

    2.心理的虐待

    心理的虐待は高齢者に精神的苦痛を与える行為です。脅しや侮辱にあたる言葉を浴びせるほか、高齢者を無視することも心理的虐待にあたります。

    (事例)

    要介護度4の母を介護する女性は、食事を与えず介護放棄をしていた。また、「トイレに行きたい」という母の訴えも無視し続けた。

    3.性的虐待

    性的虐待とは本人が同意していないにもかかわらず、性的な行為をしたり強要したりすることです。入所系施設では要介護度2の高齢者が性的虐待を受ける割合が2.4%であるのに比べ、要介護5の場合は10.4%まで虐待を受ける割合が高まります。

    (事例)

    要介護度が高く、寝たきりの高齢女性。排せつ介助時に男性介護職員が性的な嫌がらせをおこなった。また、排せつ介助をおこなわず放置していたケースも発覚した。

    4.経済的虐待

    経済的虐待とは高齢者の意思に反する形で財産や金銭を使用することです。また、高齢者が使う金銭の使用を理由なく制限することも経済的虐待にあたります。

    (事例)

    要介護状態にある母と暮らす男性は、母の通帳から勝手に金銭を引き出し自由に使っていた。

    5.介護・世話の放棄・放任

    介護・世話の放棄・放任により高齢者の生活環境を悪化させることも虐待にあたります。虐待内容によっては、身体的・精神的状態を悪化させることもあります。

    (事例)

    要介護4の母と暮らす息子は、日常的な介護を放棄している。母は脱水状態にあるほか、衛生的にも問題がある環境で暮らしている。

    介護施設で虐待がおこる3つの理由

    前述したように、家族や親族がおこなう虐待には介護疲れやストレスが関係しています。一方で、介護施設で虐待がおこる理由は以下の3点が挙げられます。

    1. 介護職の知識、技術不足
    2. 人手不足
    3. 高齢者の身体状況

    介護現場では多くの介護従事者が真摯に利用者の方と向き合っています。そのなかでなぜ虐待が発生するのか、あらためて理由を確認していきましょう。

    1.介護職の知識、技術不足

    厚生労働省の調査によると、介護施設での虐待の発生要因として「教育・知識・介護技術等に関する問題」(56.8%)がもっとも高い割合を示しています。

    介護職は未経験からでも始められる仕事です。一方で、認知症患者への対応や、要介護度の高い方の介護は専門的なスキルや経験が求められます。

    そのため利用者の方にうまく対応できず、暴力や暴言などにつながってしまうと考えられます。

    2.人手不足

    ほとんどの介護現場では人手不足が慢性化しています。そのため、十分な休憩が取れなかったり、連日の残業といった状態が続き、精神的・身体的なストレスを生み出します。職員1人にかかる業務負担が増えれば、新人スタッフの指導にあたることもできません。過剰なストレスが虐待につながってしまうという問題があります。

    3.高齢者の身体状況

    入所施設では認知症の程度や介護度が高い方ほど、身体的虐待を受ける割合が高い傾向にあります。利用者の方の介護度が高ければ、食事介助や排せつ介助など、1つひとつの介護に時間が必要です。職員の身体的な負担も大きくなるでしょう。

    人手不足などでさらに介護負担が増せば、虐待を招く状況が生まれやすくなると考えられます。

    【参考】厚生労働省「Ⅰ高齢者虐待防止の基本

    介護現場で禁止されている「身体拘束」

    介護施設では高齢者の生命や身体を保護するやむを得ない場合を除き「身体拘束」が禁止されています。具体的には徘徊しないようにベッドに体を縛り付けたり、点滴を抜かないようにミトン型の手袋を着用させたりといった行為です。

    また、介護職員の「スピーチロック」言葉の拘束ともいわれています。スピーチロックは、高齢者の要望に対し「待ってて」や「ダメ」など、命令によって行動を制限することです。

    特に人手の足りない介護現場では、何気なくこれらの言葉を発してしまいがちです。すぐに対応できない状況にある場合は、「~していただけますか」と利用者の方に判断を促すような口調を心がけましょう。

    正しい知識を身に付けて高齢者やご家族を支援しよう

    高齢者虐待の多くは身近な介護者によっておこなわれています。一方で、近年は介護施設でも高齢者虐待が増加しており、介護士1人ひとりが虐待防止の意識を持つことが大切です。

    特に、今後は在宅介護を必要とする高齢者がさらに増加すると考えられます。介護士は行政やケアマネジャーなど多職種と連携をはかり、ご家族にも気を配りながら利用者の方をサポートしていきましょう。

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