施設型の介護施設で働いていると、一定周期で夜勤のシフトがまわってきます。夜勤明けで帰宅した後は半日くらい自由な時間がありますが、人によって過ごし方はさまざまです。しかし、夜勤明けをどう過ごしていいか分からないまま、気付いた時には日付が変わっていたという経験はないでしょうか。
次の出勤日までに疲労を残さないためにも、夜勤明けをどう過ごすかがとても重要です。この記事では、夜勤をしながら介護職を続けている人のために夜勤明けの過ごし方のポイントについて解説します。夜勤がつらいと考えている介護職の方はぜひ参考にしてください。
介護職の夜勤明けの過ごし方は大きく2つのパターンに分類されます。
ひとつ目は帰宅後、自宅でゆっくり体を休めるパターンです。夜勤明けの日は心身の疲れと眠気が残ったまま、帰路につくことがほとんどです。寄り道せずに一刻も早く横になりたいと思うのが本音だと思います。
勤続年数が長くなると、このパターンに当てはまる介護職の方が増える傾向にあります。仮眠のつもりが夜まで寝てしまったという経験は少なくないのではないでしょうか。
2つ目は、仕事の解放感から夜勤明けに好きなことをして過ごすパターンです。このパターンの人は帰宅してシャワーで汗を流して服を着替えた後、すぐに出かけます。行動から夜勤明けの残りの時間は好きなことをして過ごしたいという考えを読み取ることができます。比較的若い世代の介護職がこのパターンに当てはまります。
それでは本題の介護職の夜勤明けの過ごし方のポイントを解説します。結論から言うと睡眠と食事の取り方がカギになります。
人間の体内時計はおよそ25時間でリセットされると言われています。夜勤明けの日は、昼間に活動して夜間は眠るという本来の生活リズムが崩れて体内時計にズレが生じた状態にあるため、元に戻す必要があります。
体内時計のリセットに関係するもののひとつに光があります。一時的に夜の環境をつくるために、遮光カーテンで部屋を暗くします。そして2~3時間程度の仮眠を取ります。ここで注意が必要なのは寝過ぎないことです。
仮眠ではなく睡眠をとってしまうと夜間に眠れなくなり、元の生活リズムに戻せなくなってしまうためです。日光を避ける方法としては、遮光カーテンのほかにアイマスクをかけるのも効果があります。
体内時計のリセットには光のほかに食事も関係しています。とりわけ朝食はもっとも関係が深く、朝食を摂ることで体内時計がリセットされます。とは言え、夜勤明けの朝は起床介助や食事の準備で忙しく、食べそびれることが多いと思います。そんな場合は帰宅して仮眠した後に食事を摂るようにしてください。
長時間勤務で疲労した状態で食事を摂ると、胃腸に過度な負担をかけてしまうためです。もしお腹が空いて我慢できない場合はスープやみそ汁など軽めのものにとどめましょう。夜勤明けの日は夕食を早めに済ませ、ドカ食いを避けることも夜勤で乱れた生活リズムを立て直すために必要です。
夜勤明けは長時間勤務から解放され、高揚した気分になっていると思います。しかし、それとは裏腹に体内に疲労は蓄積されています。食事の時間と同じくらい重要なのが食事内容です。
胃腸に負担の大きい脂っこいものや香辛料やスナック類、カフェイン飲料、アルコール類は控えて消化の良いものを摂ると良いでしょう。消化の良い食べ物の例を挙げるとしたら、乳製品や豆類、果物(バナナやフルーツ缶)がおすすめです。
夜勤明けは体を休めるのと同時に消化器官を休ませることも忘れないようにしてください。
睡眠の質を上げるために入浴はとても効果的です。人間の体は深部体温を低下させることで自然な睡眠に移るようにできています。入浴して体を温めると深部体温が急激に上がります。深部体温は上がった分だけ下げようとする働きがあるため、深部体温を引き下げることができます。
深部体温をしっかり上げるには、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることが大切です。もし時間が無くて今すぐ寝たい場合は、シャワーだけで済ませるのもOKです。入浴した場合よりも眠りは浅くなりますが、深部体温がそれほど上昇しないため短時間で眠気が訪れます。
夜勤明けの日も普段と同じ時間に就寝することが大切です。夜勤明けの日は睡眠時間が不足している分、夜間は十分な睡眠時間を確保する必要があります。
夜勤専従の場合を除いて、夜勤と日勤を繰り返す勤務体制をとる人がほとんどであるためです。次の勤務に支障が出ないように普段と同じ時間に寝て睡眠時間を確保することが重要です。夜勤明けで帰宅して仮眠した後、起きて過ごすのは夜間にしっかり睡眠時間をとることにつながります。
長時間労働でつらい夜勤をする一番の理由は夜勤手当がもらえることでしょう。夜勤手当の金額は事業所や勤務時間によってまちまちですが、一般的に1回あたり平均4,000円から8,000円が支給されます。
正社員の2交替の夜勤手当の平均は6,632円との調査結果もあります。
【参考】日本医療労働組合連合会「2020年介護施設夜勤実態調査結果」
夜勤の主な業務には定時巡回と必要に応じた排泄介助や体位変換、ナースコール対応があります。日中のように入浴や移乗の介助といった力仕事がないため、業務量は少なく日中のように慌ただしく動き回ることはあまりありません。
そういった理由で夜勤のほうが働きやすいという考えかたもできます。
労働基準法によって夜勤明けの翌日は法定休日と定められています。夜勤明けに仮眠を取った後は連休のように扱えるため、自分の時間が増えた気分を味わうことができます。旅行を楽しんだり、泊りで遊びに行ったりして夜勤明けの疲れをリフレッシュするために時間を過ごすことができます。
さらに夜勤入りの日は朝から夕方まで自由な時間があり、平日の日中しか開いていない銀行や役所の窓口で手続きを行なうこともできます。日勤ではなかなか取るのが難しい連休をコンスタントに取れることは間違いなく夜勤のメリットといえるでしょう。
夜勤明けの過ごし方を変えてみたけれど、やっぱり夜勤がつらいと感じる方がおられるかもしれません。そんな方のために段階的に対処法を紹介します。
最初に上司に勤務変更の相談をしてみることです。申し出が受け入れられるかどうかは事業所内の夜勤職員の人数が大きく影響します。
場合によっては部署異動を命じられるかもしれませんが、夜勤ができないからといってすぐに転職するのではなく、今の会社で仕事を続けられる方法がないか探すことを最優先に考えてみてください。
その次に少しハードルを下げて夜勤回数を減らしてもらえないか相談してみましょう。減った分の夜勤は、ほかの職員でカバーする必要があるため夜勤職員との兼ね合いになります。もしも、夜勤回数を増やしたい職員がいればお互いの利害関係が一致するので、上手くいく可能性があります。
ただし今の会社に残るのであれば、ギブアンドテイクの関係で誰かが助けを必要とする時に自ら手を差し伸べる姿勢を見せることが大切です。
夜勤がつらいので辞めたいけれど、社内で勤務変更が難しい場合は思い切って夜勤がない職場へ転職を検討してみると良いでしょう。夜勤手当がなくなる分だけ収入は減ってしまいますが、体を壊してしまっては元も子もありません。
介護職には夜勤がつきものといったイメージがありますが、介護施設の形態によって夜勤のない職場もあります。たとえば在宅型の訪問介護や通所型のデイサービスやデイケアなどは、もともと夜勤はありません。
日勤であれば働けるという人は、転職をひとつの選択肢に入れてみると良いでしょう。
最後に夜勤明けの過ごし方のポイントをおさらいします。
以上のことを日常生活に取り入れてください。夜勤明けの日は生活リズムを整える日であることを意識して過ごしましょう。事業所も利用者の方も夜勤を担当してくれる職員を必要としています。
今後も夜勤を続けられる方は自分の夜勤明けの過ごし方を一度見直して、疲れやストレスを溜め込まないようにしてくださいね。
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