ストレスなく職務を全うするには、年間休日が非常に重要になります。そのため介護士を目指している方の中には、介護士の年間休日はどれくらいなのか気になっている方が多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、介護士の年間休日数について紹介します。また、介護士の有給取得率や「施設形態別」と「雇用形態別」の休日についてもまとめました。さらに現役介護士で休みを取れずに悩んでいる方に向けて、休めないときの対処法についても紹介します。
ここでは、「介護士は休みをどれくらい取れるのか」について3つご紹介いたします。
それでは詳しく紹介していきます。
介護士の年間休日はどれくらいあるのでしょうか。厚生労働省の資料によると、医療・福祉業界の平均年間休日は111. 5日でした。
介護士の年間休日数は、他の産業に比較しても極端に少ない数字ではありません。
1ヵ月に9日程度休みがあり、週休2日制が守られています。以下の表は、他の産業との比較です。
産業 | 労働者1人平均年間休日総数 |
建設業 | 112.2日 |
製造業 | 117.6日 |
情報通信業 | 119.8日 |
運輸業・郵送業 | 106.6日 |
金融業・保険業 | 119.1日 |
宿泊業・飲食サービス業 | 102.9日 |
教育・学習支援業 | 113.3日 |
医療・福祉 | 111.5日 |
【参考】平成 30 年就労条件総合調査の概況(P.5)
介護士の休日日数は、情報通信業や金融業より少ないものの、運輸業や宿泊業などよりも多いことが分かります。
ただし上記の日数は、あくまでも平均であり施設によって異なるのが現状です。面接時などに施設へ確認されることをおすすめします。
介護士の有給取得率は平均で58.0%であり、年間9.6日取得しています。有給取得率とは、与えられた有給を実際にどれくらい取得したかを示す数字です。
全産業の有給取得率は56.6%なので、介護士は全体平均よりも有給が取得しやすいことになります。
以下に厚生労働省の資料を紹介します。
産業 | 労働者1人の平均取得率 |
建設業 | 53.2 |
製造業 | 61.6 |
情報通信業 | 65.1 |
運輸業・郵送業 | 55.1 |
金融業・保険業 | 57.3 |
宿泊業・飲食サービス業 | 45.0 |
教育・学習支援業 | 48.6 |
医療・福祉 | 58.0 |
【参考】令和3年就労条件総合調査の概況(P.6)
有給を取りやすいかどうかは、施設の雰囲気や人手が足りているかなどで大きく異なります。有給取得率や年間の休日数を公表している施設もありますので、面接時などに確認してみましょう。
休日に関する法律「労働基準法35条」では、「使用者は労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない」または「4週間を通して4日以上の休日を与えなければならない」と定められています。
以上の休日は、法定休日と呼ばれています。
次に、休憩時間に関する法律「労働基準法第34条第1項」の内容は以下の通りです。
休憩時間は分割して取得できます。例えば45分の休憩なら「20分と25分」で分割取得できる仕組みです。
休憩中に利用者さんの対応をしなければならないときもあります。そんなときには分割して休憩できます。
ここでは介護士の休日について、施設形態別にご紹介します。
特別養護老人ホームやグループホームなどの入所施設では、一年を通じて利用者さんへケアを提供します。そのため基本的には施設としての休日はありません。
土日や祝日も施設は稼働するので、スタッフは交代で休みを取得します。4交代制で勤務するのが一般的なスタイルです。
多くの施設において、常勤スタッフが週に2日程度の休みを取れるように調整しています。以下はシフトの一例です。
パートスタッフは、日中だけ勤務することが多いです。また夜勤のみを行う「夜勤専従スタッフ」がいる施設もあります。
通所施設とは日中に営業して、利用者に食事や入浴サービス、リハビリを提供する施設のことです。通所施設は、デイサービスやリハビリを中心に行うデイケアとも呼ばれます。
日曜日を定休日にしている場合が多く、スタッフは「日曜日+一日」で週休2日制としています。
土・日曜日が休みの施設は、スタッフも土日休みであることが多いようです。施設によっては、一時間程度出勤時間をずらして、早番と日勤のシフト制を採用している場合もあります。
訪問介護では、介護士が利用者の自宅を訪問し、身体介護や生活援助などのサービスを提供します。
多くの訪問介護事業所は日中のみサービスを提供するので、スタッフも日中の勤務です。休日は週休2日制であることが大半です。なかには、年中無休や夜間対応を行っている訪問事業所もあります。その場合には、シフト制で休みを取得します。
ここでは介護士の休日について、雇用形態別でご紹介します。
正社員の介護士は、基本的にシフト制で勤務します。土日や祝日であっても、施設の営業日であれば出勤することが多いようです。
また特別養護老人ホームやグループホームなどの入所施設、夜間対応がある訪問介護では、夜勤をすることもあります。大半の施設は週休2日制を導入しています。4週8休がベースですが、人員不足の日には休日出勤を求められることもあるかもしれません。
シフトの人員が足りていれば、休日の他にも有給休暇や特別休暇で休むことも可能です。
契約社員の介護士も、基本的には正社員と同じ待遇です。シフト制で勤務し、土日祝は原則として出勤します。「週休2日制・4週8休」が基本です。しかし、正社員と同じく休日出勤を求められることもあるようです。
有給休暇や特別休暇についても受けられますが、施設によっては正社員と異なる日数のこともあるので就業規則での確認が必要です。
派遣社員の休日数は、施設と交わした契約内容によって異なります。派遣社員のメリットは、自分のライフスタイルに合わせて勤務日数を決められる点です。週5日のフルタイムや週2〜4日など、自分が希望する働き方を選べます。ただし施設からの有給休暇などは受けられません。
派遣会社の就業規則により、有給休暇や特別休暇を取得します。
パート・アルバイトは以上の勤務形態の中で、最も柔軟に勤務することが可能です。自分のプライベートを優先した上で、月に何日勤務するかを決められます。
また土日祝日についても、休みを取得しやすいです。子育て世代や、他に仕事を持っている人には最適な働き方といえます。ただし正社員ほど手厚い福利厚生を受けられることは少ないようです。
介護施設では人手不足が深刻化しています。希望日に休みが取れなかったり、場合によっては休日出勤を求められたりするかもしれません。
ここでは介護士が希望どおりに休めないときの対処法についてご紹介します。
パートや派遣社員として勤務すれば、希望どおりに休みやすくなります。自分のスケジュールに合わせて働けるので、ストレスは少ないでしょう。
子育て世代の方は、土日祝日や夏休み、冬休みにも休みを取得しやすいです。ただしデメリットとしては、正社員ほど手厚い給与や福利厚生を受けられないことです。
自身の体調やライフステージを考慮して、勤務形態を検討してみましょう。
「休みやすいかどうか」は、施設次第です。
休みにくい職場であれば、思い切って退職や転職するのも一つの手段です。ストレスを抱えながら仕事をしても、よい結果は得られません。最悪の場合には、精神的に落ち込んでしまい体調を崩してしまうこともあります。
次章では、「休みやすい施設を見分けるコツ」を紹介します。
ここでは、介護士が休みやすい施設を見分けるコツ3つを紹介します。
休みやすい環境の施設は「どの程度休みを取得できるか」を公表しています。
などを公表している施設であれば、比較的休みやすい環境です。施設を探す際の参考にしてください。
職員の入れ替わりが多い施設は雰囲気が悪く、休みを取得しにくい可能性があります。休日出勤が続き、肉体的にも精神的にも疲れている状態です。反対に休みが十分に取れている施設は、スタッフが生き生きと勤務しています。
いい施設かどうかを見分けるには、見学するのが一番です。スタッフが笑顔で利用者さんと接していれば、休みも取れていると考えてよいでしょう。施設に興味を持ったら見学をして、スタッフの表情を見ることをおすすめします。
デイサービスや日中のみ営業している訪問介護など、在宅系のサービスは比較的休みやすい環境です。多くの在宅系の施設には定休日があり、スタッフも休めるからです。
特にデイサービスは、日曜日を定休日にしている施設が多くあります。反対に入所施設は24時間365日営業しています。
正社員の場合は、土日出勤や夜勤も珍しくありません。「日曜日は絶対に休みたい」人は、デイサービスへの応募をおすすめします。ただし、特別養護老人ホームやグループホームを併設している法人は、異動があるかもしれないので注意が必要です。
介護士の休日数について解説しました。介護業界の休日数や有給取得率は、他産業に比較しても決して低くはありません。
ただし「休みやすいかどうか」は施設次第です。どうしても希望どおりに休めない場合は、転職や勤務形態の変更を検討するのもよいでしょう。
この記事を参考に、自分のライフスタイルや体調に応じた働き方を見つけましょう。
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