介護士は女性が多い傾向があるため、男性の中には介護士として働くことに抵抗を感じている方もいるかもれません。それと同時に、男性介護士として働くことにどのようなメリット・デメリットがあるのかも気になる方は多いはずです。
そこで本記事では、男性介護士のメリット・デメリットについてご紹介いたします。また、男女比率や年収などの基本情報を解説しつつ、介護士に向いている人の特徴についてもご紹介いたします。
結論から言うと、男性介護士のニーズはあります。介護現場は深刻な人手不足です。未経験の男性であっても、「介護の仕事をしたい」気持ちがあれば現場で活躍できます。女性スタッフが多い介護現場で、男性介護士だからこそ「頼られる」ことも多いのです。男性介護士のニーズは非常に高いと言えます。
ここでは、介護士の男女比率と給与事情についてご紹介いたします。
それでは詳しく説明していきます。
平成30年に実施された調査では、介護スタッフの男女比率は以下のとおりです。全体の比率で見ると、男性スタッフの割合は20.6%です。
職種によって男女比率は異なり、「生活相談員」やリハビリ職「PT・OT・ST」の職種では、男性の割合は比較的高くなっています。
職種 | 男性(%) | 女性(%) |
全体 | 20.6 | 72.0 |
介護職員 | 23.3 | 70.0 |
生活相談員 | 35.4 | 57.8 |
PT・OT・ST等 | 53.2 | 43.3 |
※PT:理学療法士、OT:作業療法士、ST:言語聴覚士
【参考】公益財団法人介護労働安定センター平成30年度「事業所における介護労働実態調査」(p.9)
平成30年の調査によると、男性介護士の給与は以下のとおりです。介護士の給与は年齢や勤続年数によって異なります。あくまでも調査対象の平均数値であることを、ご承知おきください。
平均年齢 | 勤続年数 | 1ヶ月の所定内賃金 | 賞与 | |
全体 | 47.7歳 | 5.7年 | 231,553円 | 579,770円 |
男性 | 41.4歳 | 5.6年 | 240,681円 | 606,544円 |
女性 | 49.3歳 | 5.8年 | 227,581円 | 568,825円 |
上記の表は、男性介護士の平均給与が女性介護士よりも高いことを示しています。理由の1つとして、男性介護士は女性よりも多く残業や夜勤をする傾向にあることが挙げられます。
また男性介護士の平均年収は、約349万円です。(1ヶ月の所定内賃金×12ヶ月+賞与)
【参考】公益財団法人介護労働安定センター「平成30年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査結果報告書」(p.122)
ここでは、男性介護士として働くメリットについてご紹介いたします。
それでは詳しく説明していきます。
一般的に男性は女性よりも力が強いため、力仕事で頼りにされます。以下は、介護現場である程度の力を必要とする仕事です。
介護士は研修などを通じ、少ない力で効果的に介助を行う技術を学びます。力任せで介助を行うと、利用者の方・介護者ともにケガをしてしまうからです。
しかし、大柄の利用者の方を介助する際など、ある程度の力を必要とする場面もあります。そんなときに男性介護士のサポートがあれば、より安全な介助が可能になるのです。
男性介護士は長期的に活躍できるため、出世しやすい傾向にあります。介護業界は、深刻な人手不足です。高齢者は今後も増加する見込みであり、介護士の需要はますます高くなると予想されています。
職場に長期的に関わるため、やる気次第では現場リーダーや管理職に抜擢される機会も多く、出世を目指せます。
男性介護士は、男性の利用者の方をケアしやすいのもメリットです。利用者の方の中には、「同性のスタッフに介助してほしい」と思っている人もいます。
介護業界では女性スタッフが多いため、男性介護士の存在は貴重と言えるでしょう。施設によっては、「同性介助」を徹底している場合もあります。応募前に確認し、応募の参考にするのもよいでしょう。
ここでは、男性介護士として働くデメリットについてご紹介いたします。
それでは詳しく説明していきます。
デメリットとして、男性介護士が少ないことが挙げられます。職場のチームワークは、男女スタッフがともに作り上げるものです。しかし休憩時間や、ちょっとした相談をしたいときなどは、同性の同僚のほうが気を許せるかもしれません。施設や部署によっては、「男性介護士は自分ひとり」の場合もあります。
気になる方は、応募の前に男性介護士の人数を確認してみましょう。
異性介助をする場面が多いことも、気になることの1つです。「同性介助」が徹底されている施設では、異性を介助することはありません。しかし、同性介助が導入されていない施設も多いのが現状です。特に入浴や排せつの介助を行うときには、声掛けをするなどの配慮が必要です。
異性による介助を拒否される場合には、女性スタッフに交代するなど利用者の方の意思や尊厳を守る必要があります。
平成30年の調査によると、男性介護士の平均年収は約349万円(調査の月給に賞与を加えて計算)です。一方、同年の全産業における男性の平均年収は、545万円でした。
同じ調査ではないため単純比較はできませんが、約200万円の差があります。他産業との比較に、「介護士の給与は、低いままなのか?」と不安を感じる人もいるかもしれません。
しかし介護士の処遇改善が少しずつ進んでいます。さらに、役職手当や資格手当を含めると、給与をアップさせることは可能です。
【参考】国税庁「平成30年分 民間給与実態統計調査結果について」
ここでは、介護士に向いている人の特徴を3つご紹介いたします。
それでは詳しく説明していきます。
人と接することが好きな人は、介護士に向いています。介護は「人と人が接する仕事」だからです。利用者の方とコミュニケーションをとれることが、「介護士としての第一歩」と言えます。コミュニケーションにおいて特に重要なのは、相手の話をしっかり聴くこと(傾聴)です。「この職員さんは話を聞いてくれる」と思ってもらえれば、利用者の方との信頼関係を築けるでしょう。
人と接することが好きな人は、介護士に向いていると言えます。
チームプレイが得意な人も、介護士に向いています。介護の仕事は、決して一人ではできないからです。介護では、スタッフ間での「報告・連絡・相談」が欠かせません。
特に利用者の方についての情報共有は、命にも関わってきます。日々変化する利用者の方の情報を、チーム全員で共有することが重要なのです。
逆にチーム内で意思疎通が取れず、各スタッフが好き勝手なケアを行えばどうなるでしょう。どんなにそれぞれのスタッフが優秀でも、効果的なケアは期待できません。
介護士にとって、チームプレイが得意であることは重要なのです。
向上心がある人も介護士に向いています。介護は、毎日同じことの繰り返しではありません。高齢者は、日々体調が変わります。そんな中で「どうやったら、もっとよい暮らしを提供できるか」を考えて行動することが求められるのです。
また介護業界には、介護福祉士やケアマネジャーなどの資格があります。資格がすべてではありません。しかし、資格は自分の知識や技術を証明する手段になり、利用者の方やご家族、スタッフからも信頼されます。
介護は努力してステップアップできる仕事です。向上心がある人に介護士は向いています。
今回は、男性介護士について解説いたしました。男性介護士は女性介護士よりも少ないため、介護の仕事を始めるのに不安を感じるかもしれません。しかし、男性だからこそできることも多くあります。そればかりかスタッフや利用者の方の信頼を得られれば、現場リーダーや管理者になることも可能です。
人と接することやチームプレイが好きな方は、介護士に向いています。給与面についても、資格手当や役職手当によってアップすることも可能です。
この記事を参考に、男性介護士としての一歩を踏み出し、ステップアップにつなげていただければ幸いです。
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