介護職は高齢者を支える仕事であるため、体力が必要です。若いころであれば問題なく業務をこなせますが、いずれは体力が落ちてくるので年齢を重ねても介護職を続けられるのか不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、体力が衰える前にできる対策、長く働くコツについて紹介いたします。記事前半では、介護職は体力が必要である理由を解説。また、長く働くコツでは、体力の消耗の少ない施設へ転職することも視野に入れて解説いたします。
一般的には、体力が低下してくるのは30代後半といわれています。生活習慣などにもよりますが、特に40代になると筋肉量や骨密度が減少してくる傾向にあります。
令和元年に介護労働安定センターが行った調査によれば、介護職員の平均年齢は48.8歳です。多くの介護職員が、体力に不安を感じている年代であるといえるでしょう。
一方、65歳以上の介護職員が全体の約3割を占めることも事実です。つまり働き方などを工夫することで、長く介護職を続けることが可能なのです。
【参考】介護労働安定センター 令和元年度「介護労働実態調査」の結果(P.10)
介護職は体力的な不安を抱えやすい仕事です。介護労働安定センターは、介護職員を対象に、「どんなことに悩みや不安を抱えているか」について調査を実施しました。その結果、約3割の介護職が「体力に不安がある」と答えています。
また「人手が足りない」「有給休暇が取りにくい」などの不安も上位を占めている現状です。つまり多くの介護職は体力に不安を抱えながら、人員不足により十分に有給休暇を取得できない環境で働いているといえるのです。
【参考】介護労働安定センター 令和元年度「介護労働実態調査」の結果(P.5)
ここでは、介護職に体力が必要である理由を4つ紹介いたします。
具体的には、
の4つです。
それでは、順番に解説していきます。
介護職は入浴介助や排泄介助などの身体介助や力仕事が多いため、体力を消耗しやすい傾向にあります。
体力を必要とする仕事には、以下のような業務があります。
利用者の方の中には、自分よりも体格の大きな方もおられます。本来なら2人で介助すべきところでも、夜勤時などスタッフ事情によりひとりで行うこともあるのが現状です。
介護職は介助や力仕事が多いので、体力を必要とする職種であるといえます。
介護業界は、深刻な人手不足が問題になっています。さらに新型コロナウイルスの影響もあり、残業や休日出勤を求められることも珍しくありません。
自宅で休養したり、レジャーに出掛けてリフレッシュしたりする機会が少なくなっているとの声も聞かれます。介護職は、このような状況でも利用者の方の生活を支えなければなりません。介護職には体力が求められるのです。
夜勤業務には、体力的な負担だけでなく生活リズムの乱れも伴います。業務が終わってから日中に寝ようとしても、思うように休めない時もあるでしょう。良質な睡眠がとれなければ、体力の回復は期待できません。
また夜勤では少人数のスタッフで、多くの利用者の方をケアする必要があります。中には、ひとりで夜勤をしなければならない施設もあるのです。
夜勤業務では、少数のスタッフで多くの利用者の方をケアする体力が求められます。
体力と精神は、密接に関連しています。精神的な疲れは、体力にも影響するといえるでしょう。
介護職は、精神的にもストレスを感じることが多くあります。例えば、事故を起こしてはならないプレッシャーや職場の人間関係などです。介護の仕事では精神的なストレスを感じる場面も多く、体力面と精神面の両方でタフさを必要とします。
ここでは、介護職が長く働くコツについて5つ紹介いたします。
具体的には、
の5つです。
それでは順番に解説していきます。
介護職として長く働くには、正しい介護技術を身につけることが重要です。介護技術を無視した介助をすると力任せになり、体力を消耗してしまいます。そればかりか腰や背中、関節などに負担が掛かり、腰痛や関節痛の原因になることも。
特に移乗介助やオムツ交換などでは、自分に合った介護技術が必要です。先輩スタッフや同僚に介助方法を見てもらい、アドバイスをもらうのもよいでしょう。
介護職には体力づくりが欠かせません。体力づくりの基本は「運動」「食事」「休息」です。体力づくりの運動には、有酸素運動が適しているとされています。ランニングやウォーキング、水泳などです。また、バランスのとれた食事を摂ることで体力をつけられます。エネルギーとなる炭水化物やタンパク質を摂取するとよいでしょう。
そして十分な休息も必要です。介護職の方の中には、腰痛などを抱えている人も多いので、ストレッチやマッサージなどのケアも実施しましょう。
介護職として長く働くため、体力づくりやケアは重要です。
介護福祉士やケアマネジャー、社会福祉士などの資格を取得して、体力をあまり必要としない職種に就く方法もあります。
例えば、以下のような職種です。
施設形態によっては、上記の職種でも現場に入ることもあるでしょう。しかし、デスクワークの時間も割り当てられるため、求められる体力は少なくて済みます。特に在宅の利用者の方を支える居宅ケアマネジャーは、現場業務はほとんどありません。
資格を取得し、デスクワークの多い職種に就くのも有効です。
年間休日の多い施設を選ぶことも、長く介護職を続けるのに有効です。いくら体力を必要とする仕事でも、休日が多ければ体力を回復させられます。反対に休日に出勤を求められる施設では体力が続かず、退職を検討することになってしまうことも。
年間に何日休めるかは、施設によって異なります。年間休日の多い施設に就職すれば、それだけ体を休められるのです。
最近では、人材を集めるために、年間休日や有給取得率を公表している施設も少なくありません。就職の際には、年間休日や有給取得率を公表している施設を検討してみてはいかがでしょうか。
体力の消耗が少ない施設へ転職する方法もあります。体力が必要な介護職の業務として、以下が挙げられます。
上記の条件が少ない施設であれば、比較的体力を気にせず働けるかもしれません。
以下に、その一例を挙げます。
施設 | 特徴 |
訪問介護員(ホームヘルパー) | 原則として夜勤はない。身体介助は多いものの、一軒ずつ訪問するので、移動の間に体力を回復させられる。 |
通所介護(デイサービス) | どちらかというと利用者の方の自立度が高いので、身体介助が少ない傾向にある。送迎やレクリエーションなど体力が必要な業務もある。 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 原則として、利用者の方は自立していることが条件なので、身体介助は少ない傾向にある。夜勤はある。 |
ただし、施設によって利用者の方の介護度や業務の内容は異なります。事前に施設へ質問したり、見学したりすることをお勧めします。
今回は、介護職と体力の関係性について解説いたしました。
介護職は体力を必要とする仕事です。介護職の約3割が、「体力に不安を感じる」と回答しています。介護職が体力を必要とする理由はさまざまです。特にオムツ交換や入浴介助などの身体介助は、体力を必要とします。夜勤や残業、休日出勤する場合もあるでしょう。また緊張する場面も多いため、精神的にもタフさが求められます。
介護職として長く勤務するためには、正しい介護技術を身につけたり、体力づくりに励んだりすることが有効です。資格を取得し、相談業務に就く方法もあります。
しかし最も手っ取り早いのは、自分に合った働き方ができる施設へ転職することです。「夜勤がない」「身体介助が少ない」「利用者の方の自立度が高い」など、自分が希望する条件に合う施設を探します。その上で自分に合う施設かどうかを確かめるため、面談や見学を申し込みましょう。
今回の記事を参考にして、体力を気にせず働ける方法を見つけられれば幸いです。
(c) 2024 LIKE Staffing, Inc.