介護職は高齢者に寄り添う仕事です。利用者の方の死に直面することは少なくありません。しかし、他人の死に慣れているベテランの介護職でないと精神的な不安を感じる方が多いはずです。
今回は、介護職が直面する「利用者の死」の喪失感や不安、悲しみに対する対処法について紹介いたします。
介護職として利用者の方の死に対して関わる内容を紹介いたします。
看取り介護は病気の症状の回復が見込めず、余命の期間がない利用者の方に無理な延命治療をせずに介護施設や自宅などでケアをしながら自然に息を引き取るまで介護を行います。
利用者本人と家族の意思を尊重しながら、身体的・精神的な苦痛を削減するケアを行なっていきます。
近年は自宅や介護施設で最期を迎えることを希望する方が増えており、看取り介護のニーズは高くなっています。看取り介護で優先されるのは息を引き取るまでを見守るケアが中心になりますので、治療が優先されるターミナルケアとは異なることを知っておきましょう。
看取り介護は以下の内容のケアを中心に行います。
日常的な身体介護に限らず、苦痛を和らげる支援も行います
利用者の方が感じる不安や恐怖心に対する支援、コミュニケーションを行います
利用者の方の状態を観察・記録し、介護士だけでなく、医師、看護師、管理栄養士などと情報を共有して支援を行います
家族が抱いている不安を支援し、介護職として担う看取り介護の内容についての相談、確認を行っていきます
【参考】看取りの定義とは?看取り介護の種類・ターミナルとの違い (daiwalease.co.jp)
エンゼルケアは利用者の方が逝去された後に行う死後処置のことです。遺体の衛生面を維持して送り出すために行います。エンゼルケアのなかで特別な処置が必要な医療行為に関しては看護師や医師が行いますが、ケアの内容によっては、介護職が行うこともあります。
エンゼルケアの内容は以下の内容になります。
【参考】エンゼルケアとは?|葬儀の知識|葬儀・お葬式なら【公益社】|葬儀の知識|葬儀・お葬式なら【公益社】 (koekisha.co.jp)
これまで利用者の方のケアを担当した介護職として、遺族に対する配慮や関わりを行うことが求められます。
利用者の方の家庭環境や遺族からの要望にもよりますが、介護職が葬儀会社へ連絡して葬儀の段取りや準備に関する動きを行うことがあります。
施設を利用されていた利用者の方の場合は、持参されてきた荷物の整理、施設側が持っている写真から遺影で使用する写真を提供する場合もあります。
介護職が葬儀に参列するかどうかは、施設や事業所の方針によって対応が変わりますので、遺族の意向に合わせて動くことが求められます。
利用者の方の死が与える介護職への影響について紹介していきます。
利用者の方が亡くなるということは、介護職として利用者の方への支援が終結するとともに、築いてきた信頼関係などが突然にして無くなることになります。
関わりを続けていた方が突然いなくなってしまうことの不安や悲しみといったネガティブな感情を介護職として抱えることになります。
利用者の方の最期に直面することで、悲しさ、不安、無力感といったネガティブな感情を介護職として感じることになります。
ネガティブな感情を抱えたまま仕事を続けると、無気力感や介護職として働くことが辛い心情が長期間続くことによる燃え尽き症候群になる場合があります。
また、うつ状態によって心身の影響が日常生活にも影響し、感情をコントロールできなくなることがあります。
利用者の方の死への介護職としての対処法について解説していきます
利用者の方の死に対する感情を抑えるのではなく、感情を出すことによって不安な気持ちを発散すること、気持ちの切り替えや感情の整理につなげられます。
利用者の方の死に対する感情を自分のなかだけで処理をしようとせず、同僚や上司に抱いている気持ちを打ち明けることで、気持ちの切り替えや感情の整理につなげられます。
同僚や上司が利用者の方の死に対する感情をどのように乗り越えてきたのかを知ることで、自分自身にも活かせる場合があります。
介護職や利用者の方に関わる支援者同士で感情を共有することで、不安感や悲しみの感情を軽減できます。
利用者の方の死に対する感情から立ち直るまでに時間がかかる場合があります。感情を抑えようとしても仕事の質に影響が出て、感情のコントロールが難しくなる場合があります。自分の気持ちを整理することを焦らないことも大切です。
また、時間の経過と共に利用者の方の死に対する感情から少しずつ立ち直る場合も少なくありません。
利用者の方の死から与えられた喪失感が介護職として働くなかで和らいでいくということもありますので、自分自身の感情を否定せずに様子を見ることも大切になります。ただし、睡眠不足や食欲不振や無気力感の長期化により日常生活に支障が出る状況が続く時は、心療内科やメンタルクリニックを受診、カウンセリングによる感情の回復に向けた取り組みをしましょう。
看取り介護やエンゼルケアに対する知識を身につけることで、利用者の方の死に対して介護職として慎重に対応できることにつながります。
突然の対応で気持ちが動揺することを防ぐためにも、看取り介護やエンゼルケアの知識を身につけておくことが大切です。
ここでは、普段から意識しておきたい燃え尽き症候群を防ぐための対処法を解説します。
利用者の方の死に対する感情から睡眠や食欲などにも影響が出る場合が考えられます。日常生活のバランスを崩してしまうと、心身の健康状態にも影響を与えますので、食事や睡眠時間を確保していきましょう。
利用者の方の死に対する感情を介護職として受けるか、個人として受けるかで仕事とプライベートの区別にも影響してきます。個人の感情に影響が強くでることで、仕事とプライベートの区別が曖昧になってしまいます。
プライベートの時間を大切にしながら、自分自身の感情を職場から持ち帰らない意識を持つようにしましょう。
介護職として、看取りケアやエンゼルケアを通じて利用者の方の死に直面するのがどうしても辛いと感じる場合は、職場の上司や管理職に相談して別の仕事の担当に替えてもらえるかどうかを相談してみましょう。
別の仕事の担当に替えてもらえたとしても、職場で利用者の方の死がある状況には変わりはありません。
看取りケアやエンゼルケアが原則としてない介護現場、デイサービスのような通所型施設へ転職することも利用者の方の死による燃え尽き症候群を防ぐ一つの方法になるでしょう。
看取りケアやエンゼルケアなどを通じて、介護職として関わりがあった利用者の方の死を受け入れることは、不安や悲しみなどのネガティブな感情を受け入れないといけないので介護職として負担を担うことになります。
燃え尽き症候群やうつ状態にならないように、ひとりで抱え込まず、自分自身の生活を大切にする意識を持つことが大切です。
時間が経つことで不安や悲しみなどのネガティブな感情が和らぐこともあります。
利用者の方の死に直面するのがどうしても辛いと感じる場合は、無理に抱え込みすぎずに、看取りケアやエンゼルケアが原則としてない通所型施設への転職を検討することも選択肢として持つことを検討してみましょう。
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