介護職はブラックなイメージが先行していますが、多くの方は自分らしく働けるホワイト企業に就職したい方は多いはずです。しかし、ホワイト・優良企業の特徴が分からず、就職先選びで苦戦している方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、介護職のホワイト・優良企業の特徴について紹介します。また、ブラックとホワイトを見分ける方法についても解説します。
最初に、介護業界がブラック企業というイメージが先行してしまう要因について紹介します。
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、男女別の平均給与は、男性は33万4,250円、女性は30万8,880円となっています。平均給与が30万円を超えているのは、介護業界が他の業界と比較して給与が少ないということが社会問題として意識されるようになり、国の政策等で年々上昇傾向なっているという背景があります。
国の政策として行われている、介護職員特定処遇改善加算を利用してない介護施設の場合は、処遇改善手当がないために平均給与が低くなるということが多くなります。
また、福利厚生が他の業界と比較すると手薄になっている介護施設もあります。福利厚生には、法定福利厚生と法定外福利厚生があります。
・法定福利厚生:法律で定められている社会保険
・法定外福利厚生:介護施設を運営している会社や法人が独自で運営しているもの
(例:通勤手当、資格手当、夜勤手当、資格取得に関する助成制度、特別休暇制度等)
法定外福利厚生に該当する手当や助成制度が運営している会社や法人によってさまざまな取り組み状況になりますが、ほかの業界と比べると手薄になっている介護施設は少なくありません。
【参考】厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p163)」
介護業界はデイサービスのような日中活動を行う事業所や訪問介護事業所だけでなく、入所施設で24時間365日利用者の方の生活を支えるために介護職員が動いているということがあります。
また、カレンダー通りの休みにはならず、土日・祝日・GW・お盆・お正月などの休日に関わらず勤務をすることを求められる場合が少なくありません。
さらに、介護業界は慢性的な人手不足に悩んでいる状況が続いているので、希望する日に休みが取れないということも少なくないでしょう。人手不足な介護施設ほど、休みが取りづらくなるため、ブラック企業と感じてしまう状況になっていまいます。
介護業界では勤務時間中に利用者の方との直接的な対応に追われることが多く、関係者との連絡調整や記録を作成するなどの時間がつくり難いという場合が少なくありません。
勤務時間が利用者の方との直接的な対応で終わってしまい、介護施設がサービス残業を黙認している状況というのは、労働者に対価を支払わないということになるため、法律違反の状態です。
残業費が支払われたとしても、勤務時間内に終わることができない状況が常態化しているのはブラック企業といえるでしょう。
介護業界は慢性的な人手不足に悩んでいる状況が続いているため、勤務調整をする場合に一筋縄ではいかないということが少なくありません。
また、介護業界では、感染症対策を行なっていても介護職員や家族が感染症のために仕事を休まざるを得ないなどという状況がよく起こります。
そのため、限られた人員で勤務調整をすることになり、日勤が少なく、早出や夜勤が多くなるなどの勤務形態に偏りが出ることがあります。
さらに、勤務調整する期間が1ヶ月毎ではなく、2週間単位のように短い場合もあり、子どもの学校行事や家族行事で休みを希望したいのに直前にならないと確定できないという問題が出ることが介護業界ではよくある事象になっています。
限られた人数で勤務をするという状況が続くと、職場環境として疲弊してしまうことになります。また、離職と入職が頻繁になってしまうと、業務の引き継ぎや教えるという業務が繰り返し続いてしまうことになるため、安定した介護実践をしたくてもできないということにつながります。疲弊した職場環境が介護事故を引き起こすリスクの1つにもなります。
介護施設の運営・環境を調整する管理職が、介護実践現場に入らないといけないという状況になると、管理職と現場職の人間関係が悪くなるというリスクも高くなります。
介護施設の運営・環境調整をすることが後手となってしまうため、ブラック企業のような状態になるリスクが高くなります。
次に、介護業界でホワイト企業・優良企業と考えることができる要因について紹介していきます。
介護業界は対人関係の仕事を日々続けていくことになるため、介護職に従事している人の心身への負担は積み重なり、大きくなります。ホワイト・優良企業では、介護職に従事している人の心身の健康を守り、離職を防ぐためにワークライフバランスを意識した取り組みがされています。
ワークライフバランスを意識した取り組みとは、以下のような内容になります。
介護職員特定処遇改善加算等により給与額が高い状態にあること、法定外福利厚生が充実しているということがホワイト・優良企業の判断基準になります。
法定外福利厚生が充実していると考えることができる内容例について以下で紹介します。
社会福祉法人や医療法人が運営する介護施設や医療や福祉に関する企業では、医療品の割引販売を行っている場合があります。
介護職員の職業病の1つである腰痛に対する通院・治療に対するサポートや腰痛防止のためのベルトやコルセットを支給する介護施設があります。
介護施設内の感染を防ぐためにインフルエンザの予防接種の代金や機会を介護施設が担う場合があります。
介護職としてのキャリアアップに対する取り組みをサポートしてもらえるということもホワイト・優良企業かどうかを考える時には大切です。
ホワイト・優良企業では、昇給や昇進の制度の明確化や、介護福祉士やケアマネージャーなどの資格取得・研修受講などの機会や費用負担のサポートをしています。
人間関係にストレスがないこと、管理職と現場職の関係が良好であることがホワイト・優良企業の判断材料になります。
利用者の方や家族との人間関係を構築すること、介護職員や他職種の職員と連携して業務にあたる介護職には対人関係に関するストレスが付きものです。ホワイト・優良企業とされる介護施設では、人間関係のストレス緩和に向けた取り組みを以下の内容で行っています。
など
介護職の仕事を探す際に、ホワイト企業・優良企業かブラック企業かを見分ける方法を紹介します。
給与や昇給のルール、働き方に関する規定である就業規則・給与規定や労働契約書がどのように定められているかを確認しましょう。給料や昇給のルールが明確化されていること、内容が介護職として働くにあたって満足できる内容かどうかを確認することが大切になります。
疑問に感じることがあれば問い合わせしてみましょう、的確な返事をもらえるかどうかもホワイト企業・優良企業かどうかを判断する基準の1つになります。
ホワイト企業・優良企業には厚生労働省認定の証であるユースエール認定やくるみんマークの表示がある場合があります。取得している施設・事業所は働きやすい環境だと客観的に証明されているということになります。
ユースエール認定・くるみんマークについては以下の内容になります。
認定要件
認定要件
【参考】厚生労働省「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!!!」
ホワイト企業・優良企業では、キャリアアップや昇進・昇給に関する取り組みが就職活動をする段階で情報公開されています。明確化されていることで、長期的なキャリアアップに向けたイメージを持つことで職員のモチベーションを高める効果につなげることができます。また、短期間での離職を防ぐための取り組みとしても考えることができます。
施設が清潔で雰囲気が明るいこと、職員同士、利用者の方との人間関係が良いということをホワイト・優良企業であるかどうかを考える際の判断材料にしましょう。
施設の内部に清潔感がない場合は、清掃するための人員を割けないほど人手不足であると判断することも必要です。
職員同士や利用者の方との人間関係が良いということは介護実践の専門性が高いと考えても良い判断基準になります。
施設が清潔で雰囲気が明るいこと、職員同士、利用者との人間関係が良い職場環境で働くことが長く働き続けることができる可能性にもつながってきます。
ブラック企業で介護職として働き続けることは心身の負担が大きいです。就職活動の段階でホワイト・優良企業かどうかを見抜けることが、働き続けること、介護職としてのキャリアアップを考えることができるようになります。
「介護職で働いて良かった」と感じることができる介護施設・事業所や企業と出会えることを願っています。
(c) 2025 LIKE Staffing, Inc.