介護職は離職率の高い職業です。そのため、転職回数が多くなり転職活動に影響しないか心配している方は多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、介護職は転職回数が多くても問題なく転職活動できるのか解説します。転職回数の多い人が転職を成功させるためのコツ、転職が多いことを活かしたアピール方法なども紹介します。
転職回数が多くなると、次の職場への影響を心配する方もいます。離職率が高いといわれている介護職では、転職回数の多さがどう影響するのか見ていきましょう。
転職回数が多くなると、面接で不利になる恐れがあります。転職回数が多いと思われるのは、20代で3〜4回以上、30代で4〜5回以上です。
採用側は「できるだけ長い期間働いてもらいたい」と考え、書類選考や面接では転職回数、短期間の転職についての質問を重視します。転職回数が多いと「採用してもすぐに辞めてしまうのでは」と受け取られ不利になってしまうでしょう。
介護職では、転職回数が多くても必ず不利になるわけではありません。現在、介護職は離職率が高く、人材不足の状況です。そのため、人材採用する際に転職回数はあまり重視されないことも多い傾向です。
忍耐力・コミュニケーション能力・マナーや接遇など、介護職で求められる基準に適しているかが重要になります。
介護業界では人材不足が続いています。2023年時点で総人口に対し高齢者数が29.1%を占めており、少子高齢化はますます進行している状況です。そのため、介護施設を利用する高齢者は増加しており、多くの事業所で人材が足りていないのが現状です。
さらに、離職率が多く慢性的な人材不足の影響もあり、転職回数が多いことは「あたりまえ」と理解されるケースもあります。
「きつい・汚い・危険」な職業の頭文字からなる「3K」といわれる介護職ですが、それ以外にも離職率が高まる原因となる背景があります。
3K以上に「5K」や「7K」などといわれることもあり、あまりイメージは良くありません。離職につながる背景をそれぞれ見ていきましょう。
介護職は体力的にきついと感じる場面が多くあります。入浴や排泄などの介助では力を要し、ベッド上では中腰の状態で介助する場面も多いため、身体的な負担が大きい仕事です。
勤務形態は夜勤を含め不規則で、人材不足により長時間勤務になることもあり、生活リズムが乱れてしまいます。このような仕事のきつさから、離職する人が多いのです。
介護職は重労働できついのに対し、給料が安いという印象を持つ人も少なくありません。一般的に見ると給料が低い傾向です。資格取得や経験年数によって昇級しますが、事業所によっては昇級が少なかったり、見込めなかったりする場合もあります。
給料が安いことを理由に、離職するケースも少なくありません。
介護職はシフト制で、勤務が成り立っています。人手不足の場合、人員配置がぎりぎりでシフトが組まれている事業所も多いでしょう。そのため、急な休みや連休などは取りにくいものです。
年間休日は平均並みですが、人材不足の職場ではプライベートに合わせて休暇の希望を取りにくい状態のため、プライベートを充実できずに離職を決断する人もいるでしょう。
「高齢者に寄り添いたい」という思いで、介護職へ転職する方もいます。しかし、実際に働き始めると事前にイメージしていた仕事内容や、描いていた想像と異なり、”思っていた仕事と違う”と感じることもあるでしょう。
日々業務に追われ、ゆったりとした時間の確保や思い描いていたケアの提供ができないことから、離職につながるケースもあります
働くうえで、人間関係に悩むことは多くあるでしょう。介護職の従業員は年齢層が幅広く、医師・看護師・リハビリ職員・事務員など、多職種との連携が必要になります。利用者の方の家族と関わる機会も多いでしょう。
介護職はコミュニケーションを円滑に行うことが大切です。しかし、意見の食い違いやチームに影響するミスなど、何らかの原因で人間関係が悪化することは珍しくありません。
対人関係が重要な職業だからこそ、人間関係が悪いと自分の居場所が狭くなり離職につながってしまいます。
転職回数が多くなると、悪い印象を与えてしまうのではないかと考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、転職回数が多いからこその経験を活かし、ポジティブな印象を与えることで、採用で有利に働くこともあります。面接では、働く意欲や熱意、長く務めてくれるのかを見られます。
介護職の採用で、何が求められているのかを理解しておけば、面接の際に役立つでしょう。そこで、転職回数が多くても求められる人材のポイントを5つ紹介します。
あいさつや礼儀などの接遇は、働くうえで基本といえます。利用者の方が安心して、心地よく過ごせるためにも、最低限必要な姿勢ともいえるでしょう。
あいさつ・礼儀・常識を持っていれば、より良い環境づくりができ、働きやすい職場が出来上がります。節度を持った対応ができる職員は、常に求められる人材なのです。
介護職では、複数の利用者の方を援助するため、多職種と、常にコミュニケーションを取る必要があります。さらに、利用者の方は身体介護を必要とする高齢者が多く、信頼関係を築くことで、安心できる環境が作れるため、コミュニケーション能力は非常に重要です。
介護業界では、マネジメント不足が課題ともいわれています。施設長・チームリーダー・エリアマネージャーなど、マネジメント業務を担っている人材も不足しています。
利用者の方の個々を捉え対応するには、チームケアを推進するべく、マネジメント能力が求められるでしょう。
介護にはさまざまなサービスがあり、それぞれにケアの方法や考え方が異なります。多くのサービスを経験している場合は、それぞれの特徴やメリットを生かしたケアにつなげられるでしょう。事業所内で凝り固まった考え方に疑問を持つこともできるかもしれません。多くの介護サービスを経験していることは大きな魅力となります。
キャリアアップなどを目標としている職員は、向上心が高く、努力できる人材として評価されます。転職回数が多くても向上心があれば、多くの経験を活かして積極的に働いてもらえると期待されるでしょう。マネジメントできる人材の不足もあるため、将来性に期待してもらえます。
転職回数を増やさないためには、次の転職を成功させることが大切です。成功したとしても、すぐに離職をしては意味がありません。そこで、転職回数をこれ以上増やさないためのコツを5つ紹介します。
離職しないために、まずは転職の軸をはっきりさせることが重要です。目的が曖昧なまま転職した場合、条件が合わず離職につながる可能性が高まります。
どのようなスタイルで仕事をしたいかや、給料面、業務時間などを見直し、転職の軸をはっきりさせておきましょう。
介護職には、さまざまなサービスがあり、働き方や保険のルールも違います。転職先のサービスを理解しておかなければ「自分に合わない」と感じ離職につながる可能性が高まるでしょう。
働く事業所の特徴やサービスを理解すれば、自分に合った仕事内容なのかを判断できます。思い描いていた内容と違っていた場合には、回避もできるため、転職先のサービス内容は十分に理解しておきましょう。
働く理由や目標を持つことは長く働くうえで大切です。ポジティブに働けたり仕事のやりがいになったりと、仕事を続けるモチベーションになります。ただ仕事をするだけの日々ではなく、目標に向かって働くことを心がけることが大切です。
また、そのような姿勢で働く人には、同じように前向きな人が集まります。ポジティブに前向きの姿勢で転職を行いましょう。
自分が思い描く理想通りの職場はありません。理想を求めてしまうと「ここではない」と次の職場探しが始まり、転職を繰り返してしまうでしょう。
転職回数を増やさないためには、「理想通りの職場はない」ことを理解しなければなりません。理想の職場を自分自身で作り上げる気持ちがあれば、さまざまな困難にもチャレンジしていけるでしょう。
離職には必ず原因がありますが、理由はさまざまあるでしょう。他者のせいにして保身してしまう人もいますが、自分自身が原因を作っている可能性もあります。離職を繰り返さないためには、他者のせいにせず、まずは自分を見直すことが大切です。
転職回数が多く、次の職場への影響を心配している人も多いでしょう。しかし、転職回数が多いことも、見方を変えれば好印象を与えることもあります。そこで、採用したいと思わせる転職回数が多い介護職のPR方法を紹介します。
介護職では利用者の方はもちろん、従業員や利用者の方の家族と関わる上でコミュニケーションは必要となります。介護が未経験だと、想像とのギャップで離職につながる可能性もあるため、不採用の確率は上がるでしょう。
しかし、経験が多いのであれば、培ってきたコミュニケーション能力と、介護職としてのスキルをアピールしましょう。成功事例や後輩の指導など、今までの経験を伝えていくことが大切です。
離職率の高い介護職のなかでも、上位職を目指す人は、適正によって優遇されることが多い傾向です。前向きな姿勢やチャレンジ精神などの意欲を前面に出し、熱意をアピールしましょう。優遇されることで、上位職に就けるチャンスを掴めるかもしれません。
介護職は、転職することでキャリアアップにつながることも多くあります。資格取得のためやキャリアを積みたいなど、自分を成長させたいとアピールすれば好印象を与えるでしょう。
今回は、介護職は転職回数が多くても転職できるのか、そして転職を成功させるためのコツについてご紹介しました。
転職が多いと次の就職先への影響が気になりますが、介護職の場合はそれほど影響がないと考えても良いでしょう。ただし、転職回数を無駄に増やさないようにする努力は必要です。
転職が多いことをポジティブに捉え、経験や熱意を伝え、介護職で求められる人材と思われるようにアピールしていきましょう。
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