デイサービスや介護施設などでは、高齢者向けのレクリエーションが行われます。高齢者のレクリエーションを考えるのも介護士の仕事の1つですが、どんなレクリエーションを実施するべきか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
本記事では、高齢者におすすめのレクリエーションをジャンル別にご紹介します。高齢者の安全面に配慮するように、実施時の注意点も解説しますのでぜひご覧ください。
デイサービスや介護施設で行われるレクリエーションは、高齢者にとってさまざまな効果が期待できます。重要性を理解しておけば、意義のあるレクリエーションを立案できるでしょう。高齢者にとってレクリエーションにはどのような効果があり、重要なのかをご紹介します。
レクリエーションは、孤独感や寂しさを和らげ、楽しみ・活動のキッカケとしての役割があります。レクリエーションを通して、生活にメリハリが生まれ、リハビリ・ストレス解消・他社との交流・脳の働きを促進する効果が期待できます。
高齢者は、身体機能や認知機能の低下に伴ううえ、意欲の低下が起こりやすく、活動量が低下する傾向です。レクリエーションに参加すると、楽しさやストレス解消はもちろん、身体機能・認知機能の維持および向上につながります。
レクリエーションに参加すると、周囲の方とコミュニケーションを図るきっかけとなり、他者との交流を深められます。活動することで心身の刺激につながり、リフレッシュ効果・意欲の増進・身体機能や認知機能の低下予防などのメリットがあります。QOL(生活の質)の向上も期待できるでしょう。
デイサービスや介護施設には、レクリエーションが欠かせません。レクリエーションには、さまざまな種類があり、そのなかから高齢者におすすめのレクリエーションを種類別にご紹介します。
パタカラ体操は、口と舌の筋肉を使って「パ」・「タ」・「カ」・「ラ」を発音するレクリエーションです。口と舌を大きく動かすことで、嚥下(えんげ)機能の低下を防ぐとともに、誤嚥のリスクを軽減します。
「パ」・「タ」・「カ」・「ラ」を使う言葉や早口言葉などをみんなで出し合い、一緒に発音するとより楽しめるでしょう。
手を使ったじゃんけんは指先の運動になります。「勝ってください」や「負けてください」などの指示に合わせて手を出してもらうと、より刺激が加わり、判断力や認知機能の低下予防につながるでしょう。
口の動きだけでもじゃんけんはできます。すぼめる・舌を出す・大きく開けるなどの動作で、グー・チョキ・パーを表現します。嚥下体操と同じ動きなため、誤嚥予防にもなるでしょう。
やり方に変化を加えることで脳トレにもなり、誰でも知っているじゃんけんをより楽しくできます。
グーパー運動は片手をグー、もう一方をパーにし、かけ声に合わせてグーとパーを入れ替えます。慣れてきたらグーの手を胸に、パーの手を前に出し、交互に入れ替えるなどの動きを増やしていきましょう。
手の運動はもちろん、脳トレにもなり、認知機能のアプローチにつながります。さらにスピードをあげたり、声に合わせて足を交互に出す動きを加えたりすることで難易度も上がり、盛り上がるでしょう。
ペットボトルなどで作ったピンを、ボールを転がして倒していくボーリングゲームです。座ったままでもできるため、高齢者のADL(日常生活動作)に合わせて楽しめます。倒したピンによって点数を変えると、ポイントの計算が必要になるため脳トレにつながるでしょう。
障害物を追加したり、ボールの形を工夫したりすると、さらに楽しむことができます。
大きな的を作成して床に置き、椅子に座った位置からお手玉を転がして点数を競うレクリエーションです。力加減を考えて転がす必要があるため、集中力を培えるでしょう。お手玉を使うことで、懐かしさを感じられ、回想療法にもつながります。
魚にクリップを付け、釣り竿(釣り糸)の先に付けた磁石で釣り上げます。時間内に釣った魚の数を競うレクリエーションです。魚を釣る際に竿の糸が揺れるため、集中力と根気が必要になります。残り時間が少なくなった時に合図を出すと緊張感が増します。複数人で行えば、より一層盛り上がるでしょう。
紙の輪を魚の口につけ、釣り竿の先をS字フックにすると難易度が上がりより楽しめます。
一般的なルールのしりとりでもよいですが、文字数制限やテーマを決めると難易度が上がり、職員も楽しめます。ホワイトボードを使用すると、声が聞こえにくい方でも参加できるため、ぜひ活用してください。また、テーマに沿って考えることで、より脳の活性化につながるでしょう。
間違い探しは、難易度が幅広く、職員でも楽しめるレクリエーションです。イラストを準備し、どこが間違っているのか当てていきます。集中力や観察力が必要となるため、脳に刺激を与えてくれるでしょう。
脳トレドリルには、ことわざや言葉の穴埋め・計算ゲーム・漢字・クロスワードなどが豊富に掲載してあります。脳トレドリルは市販のものから、ネットでダウンロードできるものまであるため、その人に合った問題を用意可能です。問題を解くことで、認知機能の維持・向上につながるでしょう。
椅子を2列で向かい合わせて座ってもらい、新聞紙で作った棒で、柔らかいボールをゴール目指して転がしていくチーム戦のレクリエーションです。一方の列が右のゴールに、反対の列が左のゴールを目指し、得点を競います。
奥に座っている人は攻め、ゴール側の人は守りとチームで協力することで、交流を深めながら楽しめるでしょう。
円になって椅子に座り、風船をポンポンと隣の人につないでいきます。協力して行うので集団で楽しめ、音楽に合わせて行うとさらに盛り上がるでしょう。2列の向かい合わせで椅子に座って行えば、チーム戦にもなり交流を深められます。
風船を上にあげる動作は腕の筋肉に刺激を与え、筋力低下の予防につながります。
円を作り音楽をかけながら制限時間内に、かごや箱などの的に玉を投げ入れていきます。みんなと協力しながら運動会のような懐かしさを楽しめるでしょう。的を点数の書いたかごや箱に替えることで、得点を競うことができ、より盛り上がります。
高齢者が安心して楽しくレクリエーションを行うためには、注意する点があります
レクリエーション実施時は、転倒やけがなどの事故が起きないよう、安全に配慮することが重要です。実施前に話し合いを行い、起こりうるアクシデントを想定し、対策を考えておきましょう。
盛り上がる運動系のレクリエーションでは、予期しない行動をとる場合があるため、注意が必要です。多めに職員を配置し、転倒しやすい方や動きが大きく接触の危険性のある方は近くについて見守りを行い、十分に注意して実施しましょう。
高齢者は認知機能やADLもさまざまで、障害度も違います。利用者の方の身体能力や状態を把握したうえで、レクリエーションを実施しましょう。
チーム戦ではADLのバランスを考慮したメンバー作りや工夫を行い、ひとり一人に合わせたサポートが必要です。
全員が楽しくレクリエーションに参加するためには、コミュニケーションをとることが必要です。不安な表情を浮かべている方や孤立しそうな方がいたら、安心して参加できるように声をかけましょう。
全体に気を配りながら個別にコミュニケーションをとり、参加しやすい環境づくりが求められます。
職員がただ見守るだけでは、利用者の方に不安や威圧感を与えてしまう可能性があります。職員も一緒に楽しむことで、利用者の方は安心してレクリエーションに参加することができます。雰囲気づくりに気を付け、一緒に楽しみましょう。
レクリエーションの内容や輪に入るのが難しく、苦手意識を持つ利用者の方もいます。声がけは大事ですが、参加を強制するのはやめましょう。
利用者の方には参加を選択する権利があるため、意見を尊重するのは大切なことです。参加されない場合は、孤立させないように職員の配慮が必要です。
レクリエーションの内容が簡単すぎたり、上から目線で対応したりは禁物です。バカにされていると不快感を与えてしまい、せっかくのレクリエーションも楽しめません。意欲の低下や自尊心を傷つけてしまう場合があるため、配慮が必要です。
レクリエーションを行う際も、言葉遣いに気を付け、敬意を持つことを忘れないようにしましょう。
今回は、高齢者におすすめのレクリエーションや実施時の注意点をご紹介しました。レクリエーションには楽しみや交流を深めるのはもちろん、身体機能や認知機能の維持・向上に大きな役割を果たします。生きがいにもつながり、QOLの向上が見込めるため、レクリエーションの効果は大きいといえます。
高齢者が安心してレクリエーションに参加できるようにするためには、先ほどお伝えした注意点を理解し、また職員一人ひとりの配慮が大切です。全員が安全に楽しく参加できる、レクリエーション企画の参考にしてください。
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