現在、大きな盛り上がりを見せているAI技術。さまざまな業界でAIの導入が進んでいますが、介護業界でAIが導入されたら人間の需要はどうなるのか気になった方は多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、介護業界でのAI活用事例を挙げつつ、介護業界の今後について紹介いたします。また、AI導入による需要について、人間の仕事がなくなることはないことを挙げて将来性について解説いたします。
ここでは、そもそもAIとはどういったものなのかと介護とAIの関係性について紹介いたします。
AIとは「Artificial Intelligence」の略であり、日本語で「人工知能」と訳されます。つまりAIは人間のような知能を持つ人工的システムのことです。データからパターンや規則を見つけて、知識を蓄積することに優れています。
AIは私たちの身近なところでも活用されています。例えば自動車の自動運転システムがその一例です。他の車両や道路標識などを検知し、状況に応じた行動を選択します。AIは急速に発展しており、介護業界にも大きな影響を与えようとしているのです。
介護とAIの相性は、非常によいといえます。なぜなら介護業界は深刻な人手不足であり、AIを活用することで、介護職の負担を軽減できると期待されているからです。
具体的には、記録の作成が挙げられます。手書きで行っていた記録や文書作成を、デジタル化し効率化している施設も増えてきました。また利用者の方の行動・排泄パターンをAIに蓄積することで、転倒リスクや失禁を減少させることも可能です。利用者の方とコミュニケーションをとれるロボットなども登場しています。
ここでは介護業界の現状と課題について3つ紹介いたします。具体的には、
それでは、順番に解説していきます。
高齢者は増加傾向で、介護ニーズはますます増加するとみられています。しかし介護職員の数が追いつかず、介護業界は慢性的な人手不足の状態です。
厚生労働省によると、2025年に必要な介護職員数253万人に対し、215万人しか供給できないと報告されています。つまり2025年には、約38万人の介護職員が不足すると予測されているのです。
【参考】厚生労働省 2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について
日本の平均寿命は、上昇を続けています。厚生労働省によると、2022年の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳でした。
一般的には、高齢になればなるほど要介護の認定率は上昇するとされています。65~69歳の時点で、要介護の認定率は2.8%です。しかし85~89歳では48.1%、90歳以上では72.7%まで上昇します。つまり高齢化が進む日本では、介護ニーズも高くなっていくのです。
要介護者の増加により、介護保険料も増加し続けています。介護保険制度が創立された2000年度の介護費用は約3.6兆円でした。2023年度の当初予算は約14兆円となり、約4倍に増加しています。また国民が支払う介護保険料についても、介護保険制度がスタートした2000年の月額2,075円から、約3倍の月額6,216円に増加しています。
ここでは介護にAIを活用するメリットとデメリットについて紹介いたします。
AI導入の最大のメリットは、スタッフの負担を軽減できることです。具体的には、介護業務と書類作成の効率化が期待できます。例えばAIを搭載したロボットなどの見守り装置を設置することで、転倒やベッドからの落下などを検知できます。特に夜間は少数のスタッフで見守りを行うので、大きな負担軽減になるのです。
またケアプランの作成についても、AIにより大幅に作業時間を短縮することも難しくありません。AIを活用した事例については、次章で紹介いたします。
AIを活用する際の注意点について紹介いたします。ひとつめは、導入や維持にコストが必要なことです。小規模な施設や事業所にとっては、大きな負担となることがあります。
次に、AIはあくまで補助的なものであることです。AIは急速なスピードで発展しているものの、精度は完全ではありません。まだまだ人間の確認を必要とします。
最後に、AIを使いこなすためには時間と研修が必要なことです。AIを活用するためには、パソコンやタブレット端末を使用するケースも多くあります。スタッフの中には、電子機器について苦手意識を持っている人も多いです。そのため、全スタッフがAIを活用できるまでには、相応の時間と研修が必要になります。
ここでは、介護現場でのAI導入事例について3つを紹介いたします。具体的には、
それでは、順番に解説していきます。
AIを導入することで、送迎の効率化に成功している事例を紹介いたします。利用者の方によっては、車いす対応車での送迎が必要だったり、時間指定があったりすることも珍しくありません。特に大型デイサービスでは、送迎ルートを作成するのが大変です。
そこでAIを導入し送迎ルートを自動作成している事業所もあります。利用者の方の状態や希望、交通状況を考慮して送迎ルートを提案してくれるのです。
入居者の行動パターンを解析することで、転倒やベッドからの転落などの事故防止が期待できます。センサーやカメラで入居者の行動をモニタリング・分析を行い、危険な行動があるとスタッフに知らせてくれるのです。
特に人員配置が薄くなりがちな夜間の見守りでは、大きな負担軽減が期待できます。
介護保険サービスを提供する際、事業所は介護計画を作成しなければなりません。利用者の方一人ひとりの状態に応じて作成する必要があるため、ある程度の時間が必要です。
AIによる計画作成支援システムは、過去の膨大なデータから計画を自動作成してくれます。もちろんスタッフによる修正や追加は必要なケースもありますが、大幅な時間短縮が期待できるのです。
ここでは介護業界の将来性について3つ紹介いたします。具体的には、
それでは、順番に解説していきます。
日本は世界でも類を見ない超高齢化社会になる見込みです。年齢を重ねれば重ねるほど、介護を必要とする人も増加します。増加する介護ニーズに応えるためにも、介護職は社会になくてはならない存在なのです。
安定したニーズと社会貢献度の高い職業を求める人にとって、介護職は最適な選択肢のひとつといえます。
介護業界では、国家資格である介護福祉士などの資格に挑戦することが可能です。資格取得の他にも、現場リーダーや管理職への昇進も目指せます。つまり介護業界では、資格取得によるスキルアップに加えて、キャリアアップすることも可能なのです。
また介護福祉士の他にも、ケアマネジャーや社会福祉士など、より専門性を高める資格にチャレンジする選択肢もあります。
政府は介護職の処遇改善を政策として掲げており、賃金アップに取り組んでいます。具体的には、2022年2月から介護職員の収入を約3%(月額9,000円相当)引き上げるための支援加算が実施されているのです。
また2024年度の改定では、更なる賃金の改善や職場環境の見直すための取り組みが期待されています。
介護業界におけるAIの活用について解説いたしました。AIの活用は、人手不足の状態にある介護業界にとって非常に相性がよいといえます。
AIは、記録や介護計画などの文章作成や利用者の方の見守りなど、多くの作業について介護職の負担を軽減してくれています。今後も介護ニーズは高まると予測されており、AIは介護職にとって強い味方となってくれるでしょう。
しかしAIは急速に成長しているものの、まだまだ完全なものではなく、人間の確認を必要とします。今後ますます、介護職が活躍する場は広がるとみられています。
介護業界では、資格取得やキャリアアップを目指すことも可能です。ジョブトル介護では、資格やキャリアに応じて多くの求人情報を掲載しております。興味をお持ちの方は、ぜひご活用ください。
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