介護にはアセスメントと呼ばれるものが存在しますが、どのようなものなのかわからない方は多いのではないでしょうか。そこで当記事では、介護におけるアセスメントの詳細について紹介いたします。また、アセスメントシートに記入するときのコツや書き方についても解説いたします。
アセスメントには、「評価」「査定」という意味があります。介護におけるアセスメントとは、利用者の方の心身状態や生活環境、価値観などの情報を集めて分析し、どのような支援が必要かを明確にする作業のことです。
具体的には利用者の方や家族と面談し、普段の暮らしや困っていることなどについて聞き取ります。自宅を訪問して住環境を確認したり、医療機関から情報収集したりすることもアセスメントには欠かせません。
アセスメントは、個々の利用者の方に最適なケアの方針を決定するための重要な作業です。主にはケアマネジャーが行いますが、サービス導入時などには事業所のスタッフも実施する機会があります。
介護サービスは、アセスメントに基づいて実施されます。そのためアセスメントを正確に行うことが適切な支援に繋がるといえるのです。介護保険サービスでは、自立支援が大原則です。利用者の方の「できること」「できないこと」を把握し、自立に向けた支援を行う必要があります。
もちろん最初から完璧なアセスメントを求める必要はありません。初対面では信頼関係ができていないため、全てを聞き出すのは難しいこともあるからです。ケアを提供する中で、新しい課題が見つかることもよくあります。まずは計画を立てて見直しながら、よりよいケアを実施していくことが大切なのです。
ここでは、アセスメントを実施する際のポイント4つを紹介いたします。
具体的には、
それでは、詳しく解説していきます。
最低限のマナーを守り相手によい印象を与えると、スムーズにアセスメントを行うことが可能です。反対に悪い印象を持たれるとアセスメントだけでなく、これからの支援にも影響が発生してしまいます。以下の点については、特に注意しましょう。
過度な緊張は相手に伝わります。笑顔を心がけて、自然に接するのが基本です。
スムーズにアセスメントを行うために、事前の情報収集は重要です。ゼロから全てを聞き出すには時間も必要ですし、利用者の方の負担も大きくなってしまいます。
地域包括支援センターや主治医、リハビリ職などからの情報がある場合には、有効に活用しましょう。その際には「最低でも、この部分は聞いておこう」などの目途をつけておくと、効率よく聞き取ることが可能です。
ただし先入観にとらわれ過ぎるのは避けましょう。高齢者の状態は変化しやすいので、事前情報と現在の状態が大きく異なることも珍しくありません。あくまでも利用者の方の「今の状態」についてアセスメントすることが重要です。
利用者の方のニーズを正確に把握するためには、具体的に質問することが大切です。時には、「はい」「いいえ」で答えられる質問を避けて、答えやすいように工夫することもあります。例えば、
など、数字で表せるようにしておくと他のスタッフへ伝えやすくなります。「誰が見てもイメージしやすいアセスメント」を心掛けましょう。
アセスメントは介護職だけでなく、看護師やリハビリ職など、多職種で協力して行うことが重要です。またアセスメントを実施しケアを提供した後にも、定期的に他の職種へ意見を求めます。それぞれの専門性を活かすことで、より多角的な視点から利用者の方のニーズを把握できるのです。
ここでは、アセスメントシートについて2つを紹介いたします。具体的には、
それでは、詳しく解説していきます。
アセスメントシートとは、アセスメントを実施して得られた情報をまとめるためのツールです。利用者の方の心身状態や生活環境などに関する情報を整理でき、多職種と情報共有しやすいメリットもあります。
またアセスメントは定期的に行うため、適切なケアを実施できているかどうかも確認することも可能です。アセスメントシートは、利用者の方の状態を把握するために不可欠といえます。
アセスメントシートの項目は、大きく「基本情報に関する項目」と「課題分析に関する項目」に分けられます。「基本情報に関する項目」で本人の状況を確認し、「課題分析に関する項目」で健康状態や能力について聞き取るイメージです。
またアセスメントシートにはさまざまな様式があり、事業所は各自の特性に応じて採用しています。ここでは、厚生労働省が参考として示しているアセスメントシートを紹介いたします。
①基本情報に関する項目
②課題分析に関する項目
厚生労働省のマニュアルによれば、アセスメントの際には、利用者の方が今どのような状況にあり、何故サービスを必要としているのか、自立支援のためにはどうすればいいのかを確認することを促しています。
【参考】厚生労働省 令和4年3月 介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について(P.46.47)
ここでは、アセスメントシートの書き方とコツについて2つを紹介いたします。具体的には、
それでは、順番に解説していきます。
アセスメントシートを書く際には、利用者の方の言葉や思いを中心に作成します。アセスメントで聞き取った本人以外の情報を中心に置いてしまっては、適切なケアを実施できないからです。
利用者の方を中心に置いたアセスメントを作成するには、利用者自身の話した内容や考えをそのまま記入するのもひとつの方法です。また発語が難しい場合には、これまでの生活歴やご家族の考えを反映させる方法もあります。
「本人のための支援」であることを意識して、アセスメントシートを作成しましょう。
アセスメントシートは、利用者の方の情報を多職種間で共有するための書類です。そのため利用者の方と面識がないスタッフでも、利用者像を具体的にイメージできる内容にする必要があります。アセスメントシートを書く際のポイントは以下の通りです。
アセスメントを実施した人は、ついつい情報を省略してしまいがちです。初めて情報に触れる人の目線に立って作成することが、アセスメントを書く際のコツといえます。
今回は、アセスメントや実施する際のポイントやコツについて解説いたしました。アセスメントとは、利用者の方の心身状態や生活環境などの情報を集め分析し、必要とする支援を明確にする作業のことです。アセスメントを基にサービス内容が決定するため、非常に重要な作業といえます。
アセスメントは利用者の方と初対面で実施することも多く、信頼関係を築くためにマナーを心掛けることが重要です。また看護師やリハビリ職などの多職種と協力して実施することで、より多角的な視点からニーズを把握できます。
適切なアセスメントを行うために使用するのが、アセスメントシートです。情報を整理・共有できるメリットがあります。事業所によって様式は異なりますが、大きく基本情報に関する項目と課題分析に関する項目があります。アセスメントシートを記入する際には、利用者の方を中心に置き、面識のない人が読んでも具体的な利用者像をイメージできるように意識しましょう。
この記事を参考に、アセスメントへの理解を深めていただければ幸いです。
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