近年は50代の介護士も活躍するようになりましたが、問題はいつまで働き続けられるかです。体力に余裕があってもいつ限界が来るのか知りたい方、すでに限界に近づいていて悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
当記事では、介護士に体力は必要なのかを紹介します。限界を感じたときの対処法と体力が限界でも働き方を変えて負担を少なくしていくことが可能であることも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ここでは、介護士に体力が必要な理由を2つ紹介します。
介護士の仕事において、最も体力を必要とするのは身体介護です。身体介護とは直接利用者の方に触れて行うサポートであり、具体的には、以下のような介助を指します。
車椅子からベッドへの移乗や、立ち上がりのサポートには、力仕事の要素が多く含まれます。これらの介助を安全かつスムーズに行うためには、相応の力が必要です。
また、長時間の勤務や夜勤が伴うこともあり、体力の維持が求められます。介護士にとって体力は、介護の質を左右する重要な要因の一つであり、適切な体力管理が求められているのです。
介護労働安定センターの調査では、約3割の介護士が体力に不安を感じていると回答しています。人手が足りないことや、有給休暇や休憩が取りにくいとの回答も目立っていました。つまり、体力を要求される仕事であることに加え、十分な休息が得られないことが、さらに課題を深刻にしているのです。
また、介護業務は精神的なストレスも大きく、体力の消耗に直結していることも指摘されています。介護士が、ケアの質を保ちキャリアを築くためには、体力的な課題に対処する方法を見つけ、実践することが求められているのです。
【参考】労働安定センター介護労働実態調査 介護労働の現状(P.12)
公益財団介護労働安定センターの令和4年度の調査「介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」によると、介護士の平均年齢は50歳であることが分かっています。65歳以上の介護士が全体の約14%を占めていることからも、介護の仕事は年齢に関わらず活躍できるといえるでしょう。
50代60代の介護士は、若い世代に比べ体力的に劣る部分もあるかもしれません。しかし、体力を維持するために必要な技術や知識を得ていくことで、体力の限界を感じることなく働き続けることも可能です。
年齢を重ねても介護士として活躍できることを示せれば、これから介護業界に入ろうと考えている人々にとっても大きな励みになります。
【参考】公益財団法人介護労働安定センター令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(P.84)
ここでは、介護士が体力的な限界を感じた際の対処法を7つご紹介します。
介護の現場では、排泄介助や移動・移乗など、さまざまな動作が求められます。これらの動作を安全かつ効率的に行うためには、ボディメカニクスを意識することが重要です。
ボディメカニクスとは、力学に基づいた動作方法です。以下の点に注意することで、腰や膝への負担を軽減します。
介護職員向けにボディメカニクスの研修も行われているので、積極的に参加されることをおすすめします。
忙しい業務の中では、手間を省いて力任せに介助してしまうこともあるかもしれません。しかし、少し工夫することにより、体力的な負担を軽減することが可能です。
具体的には、
これらの器具を状況に合わせて適切に使用することで、大幅に負担を軽減することが可能です。
ボディメカニクスや福祉用具を活用しても、身体介護には一定の体力が必要です。筋トレは筋力を強化し、介護時の負担を軽減できます。特に背中や腕、足の筋肉を鍛えることで移乗介助などをスムーズに行うことが可能です。また、ストレッチをすることで筋肉の柔軟性を高めて、けがのリスクを減少させられます。
具体的には、以下のような運動です。
大腿四頭筋やハムストリングスを鍛えることで、立ち上がりや持ち上げの動作をサポートします。
胸や肩、上腕の筋肉を強化して、介護時の押し引き動作をサポートします。
体幹を鍛えることで、腰痛の予防と体の安定性向上に寄与します。
腰痛予防に効果的です。
体を動かすことによって、ストレスの解消も期待できます。最近では、YouTubeなどでも筋トレやストレッチについての解説動画が多く配信されています。自分の好みに合うものを探してみてはいかがでしょうか。
介護福祉士やケアマネジャーの資格を取得することで、仕事の選択肢が広がり、体力的負担が少ない働き方を選ぶことが可能になります。
例えば、介護福祉士の資格を取得し、管理者や相談員になれば、現場以外の業務を担当する割合が多くなります。ケアマネジャーであれば、ケアプランの作成やモニタリングなどのデスクワークが求められます。
以上のような資格を取得することで、現場以外の仕事をする時間が多くなるため、結果的に体力的な負担を軽減することが可能です。これにより、長期的に健康を維持しつつ介護職を続けられます。
長時間労働や連続勤務は、体力的にも精神的にも大きな負担になります。そのため、勤務体制を見直し、自身の体調や生活リズムに合わせた調整を行うことが重要です。
どうしても体力的に厳しい場合は、有給を定期的に取得してみましょう。シフトの問題もあるので長期間の取得は難しいかもしれません。しかし、1ヶ月間だけでも、週に1日の有給を取得できれば、体力を大きく回復することが可能です。
大切なのは、健康な状態で長期間働くことです。言い出しにくいかもしれませんが、自分や利用者の方のためにも、提案してみましょう。
部署を変更する際は、上司へ希望を伝えます。このプロセスで最も大切なことは、自身の健康状態や体力の限界を正直に伝えることです。可能であれば、過去の健康記録や医師の意見を引用することで、自分の主張に説得力を持たせられます。
また、要望を明確に伝えることも重要です。例えば、身体介護が少ない部署への異動を希望する場合、その理由とともに、どのように貢献できるかを示すとよいでしょう。
勤務日数の調整や部署変更を提案しても、希望を実現するのは難しいこともあります。そんな時は、希望の働き方ができる職場へ転職するのも有効です。
例えば、夜勤回数の多さがネックになっている場合、より少ない夜勤シフトで勤務できる施設を探しましょう。全く夜勤のないデイサービスや訪問介護のような事業所へ転職するのも一つの方法です。
介護士として長期的に働くには、体力的な負担が比較的少ない職場を選ぶことも重要です。以下に、介護士の体力的な負担が少ない職場を紹介します。
日帰りで通う利用者の方へ、さまざまなサポートやリハビリを提供します。日中のみの勤務であるため、生活リズムが乱れることがありません。一対一でのケアよりも、グループでの活動が中心となるため、一人ひとりの介護士への負担も分散されます。
ヘルパーが利用者の方の自宅を訪れ、日常生活の支援を行います。比較的、自分のペースで仕事を進めることが可能です。買い物や清掃など生活援助と呼ばれる業務もあるため、体力的な負担は比較的軽減されます。
比較的、自立度の高い利用者の方が多いため、体力的な負担は少ない傾向にあります。医師の定期的な訪問や看護師によるサポートが整っているため、介護士は安心して業務を行えます。
自立した利用者の方が対象であり、全体的に介護の必要度が低めのため、介護士の体力的な負担は少ないです。介護よりも、日常生活のサポートが多い傾向にあります。
知識や技術が豊富であっても、介護士の仕事には一定の体力が求められます。自分の健康を守りながら質の高いケアを提供するためには、自身に適した働き方を選ぶことが重要です。
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