介護職はたくさんの求人を見つけることができます。だからといって、準備のないまま転職してしまうと、仕事に就いてから後悔することになりかねません。
本記事では、介護職の転職で失敗しないためにあらかじめチェックしておくべきポイントをご紹介いたします。
転職でよくある失敗事例を解説します。
働き方は施設によって異なるため、自分がどのような働き方がしたいのか明確にしておきましょう。よく考えず「経験者優遇」の求人広告につられて転職すると、「残業が多い職場だった」、「入所施設に配属されたため、変則勤務で身体がつらい」など、働き方に不満を感じてしまうでしょう。
転職先の施設の方針や理念が、自分の理想と異なることがあります。例えば、理念では利用者第一と掲げているにもかかわらず、実際は経営が第一で、利用者様は増えるのに、慢性的な人手不足で満足なサービスを提供できないなど。転職先の候補の施設はまず調べることが大切です。
何となくの転職では自分でやりたいことが見つけられず、こんなはずではなかったと後悔することがあります。後悔しないためには、自分が何をやりたいかを明確にしてから転職活動を始めましょう。
転職活動を成功させるためには事前の準備が欠かせません。具体的な内容は以下のことが挙げられます。
転職時の面接で必ず聞かれることです。転職を成功させるためには、面接官を納得させる転職理由を答えられるようにしましょう。転職理由の例は以下の通りです。
「専門学校卒業後、デイサービスの介護職員として働いてきました。デイサービスは比較的介護度の低い利用者様が中心です。デイサービスではレクリエーションの企画、運営などを担当し、多くの人に楽しんでもらえるよう努めました。デイサービスでの経験を活かしたい、またさらなる介護技術の向上を目指して特別養護老人ホームで働きたいと思い、応募しました」
「介護の仕事をやりたい一心で特別養護老人ホームの介護職員として働いてきました。そして3年の実務経験を経て介護福祉士を取得することができました。介護福祉士の勉強をしている中で特別養護老人ホームは従来型のタイプとユニット型のタイプがあることを知りました。今まで従来型の特養でしか働いたことがなかったため、ユニットケアを学びたいと思い、応募しました。」
今までの介護経験を織り交ぜ、なぜ新しい職場で働きたいと思っているのかを相手に伝えましょう。
多くの福祉施設でキャリアパス制度が導入され、知識や技術の向上を目指しています。介護職は未経験や資格がなくても仕事に就くことは可能です。一方で、働いていく中で経験によって求められるものは異なります。
働き始めて1年程度は基礎知識や介護技術の習得です。資格としては初任者研修修了が好ましいでしょう。続いて1~3年の間にさらなる知識や介護技術の習得が求められます。資格としては実務者研修修了が好ましいとされています。
国家資格である介護福祉士を受験する場合、介護現場で3年以上の実務経験と実務者研修修了が受験資格を得るために義務づけられています。実務者研修終了後、介護福祉士の取得を目指しましょう。
その他、所定の国家資格を取得後、5年以上の実務経験を得て介護支援専門員の受験資格が得られます。働き始めてすぐは目の前のことしか考えられなくても、3年後、5年後のキャリアプランを念頭に資格取得を目指していくことが大切です。
転職する際は、自分がどのように働きたいのかを明確にし、条件に合う職場を探しましょう。転職してから、こんなはずではなかったと後悔しないためにしっかり確認するポイントがあります。
例えば、複数の事業所がある場合、異動も考えられます。家が近いから職場を選んだのに、数年後に異動辞令があるかもしれません。
女性の場合、結婚や妊娠、子育てによって働き方が大きく変わることがあります。結婚では新居の場所によっては、仕事を続けたくても通うことが困難な状況になることも考えられます。妊娠や子育てでは、子どもの預け先の問題、保育園に入園できても早朝や深夜まで預かってくれる保育園がたくさんあるわけではありません。
入所施設の介護職員の場合、夜勤を含めた変則勤務で働くケースが多いです。しかしシフトの調整が可能な職場なら、子育て中でも入所施設の介護職員として働くことは可能です。
安心して働き続けるためには、今だけでなく、将来的なことを踏まえて、働き方や働く条件を考える必要があります。
転職を成功へ導くためのポイントは5つです。
「百聞は一見に如かず」というように、まずは働きたいと思った事業所は見学しましょう。求人情報だけでは伝わりきらない、利用者様の状況や介護職員の働き方なども知ることができます。
見学の際、フロアに職員が誰もいないような事業所は人手不足なのかもしれません。利用者様に対しても同じです。個々の利用者様に合わせた介護を行えているかなど、見学の際は利用者の生活の様子をチェックしておくとよいでしょう。
介護サービスは「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」と種類があります。自分がやりたい介護サービスが転職希望の事業所で運営しているのかを事前に確認しましょう。
居宅サービスに携わりたいなら、自分の希望に合うサービスを提供している事業所を探しましょう。まずは自分がどのような事業所で介護職として働きたいのかを考えることが大切です。
デイサービスや訪問介護など事業所によって働き方が異なるため、勤務体制を必ず確認しましょう。入所施設の場合、夜勤も含めた変則勤務が一般的です。
しかしデイサービスだから日勤帯の仕事しかないと決めつけてはいけません。介護保険外サービスとして宿泊サービスを行っている場合、夜勤が必要になります。土日祝日も営業している事業所であれば、カレンダー通りの休みとはなりません。
求人情報にも記載があるかもしれませんが、思い込みで判断せず、転職する前に確認しましょう。
多くの事業所で介護のキャリアパス制度が導入されているため、資格取得のサポート制度は転職時に確認しましょう。会社によって資格取得後に合格お祝い金などがもらえることもあります。また資格取得にはテキスト代や試験料など費用がかかります。かかった費用の一部を合格後に補助する事業所もあります。
実際に私が働いている事業所では、資格取得後に資格ごとの合格お祝い金をもらうことができます。その他、介護支援専門員の場合、資格を維持しているために5年ごとの資格更新があります。介護支援専門員として職務についている職員に関して、資格更新の研修費用を事業所が負担してくれます。
介護支援専門員の場合、資格更新のための研修費用は都道府県によって異なりますが、約30,000円から40,000円程度かかります。自分のための資格ですが、費用は高額です。多くの事業所で資格取得に力を入れているため、確認するとよいでしょう。
インターネットの転職サイトに登録して転職先を探す方法が一最も一般的です。働きながらハローワークに出向いて求人を探すことは時間的になかなか難しいでしょう。
転職サイトはさまざまありますが、職種専門の転職サイトもあります。もちろん介護職専門の転職サイトも多数ありますので、いくつか登録し、比較してみるとよいでしょう。ハローワークや一般求人広告に掲載されている情報以外にサイト独自の求人を持っているので、複数登録しておけば、それだけ情報を多くキャッチできます。
中には専門のコーディネーターがつき、転職が決まるまでサポートを受けることができる転職サイトもあります。担当コーディネーターは働きたい条件を考慮した上で、条件に合った求人や条件に近い求人を紹介してくれます。また、履歴書の書き方や採用面接のアドバイスを受けることができます。転職にあたって事前に確認したい勤務体制や有休休暇など確認したいことをコーディネーターが情報収集をしてくれるサービスもあります。
転職活動では迷いや心配事が尽きません。その点、担当コーディネーターがいれば、転職活動のアドバイスを受けられ、効率よく情報を集めてもらうことができるので、仕事を続けながらも条件に合った職場を探すことが可能です。
転職を考えるきっかけには「今の仕事に大なり小なり不満がある」、「キャリアアップを目指している」など理由があるはずです。その理由を追求して自分なりの転職理由を明確にしましょう。何度も転職していると「我慢ができない」、「わがまま」「自分の思い通りにならないとすぐに辞めてしまう」など悪い印象を与えてしまいます。
また現職場に不満があったとしても、面接ではこれを転職理由にしてはいけません。すぐに不満を言うネガティブな人物にみられるのでマイナスです。何が不満のきっかけなのかを考え、ポジティブな理由に変換できれば面接官を納得させられるでしょう。例えば、任された仕事に不満があるなら、「〇〇の仕事の経験を活かし、●●の仕事をやってみたい」、人手不足に不満があるなら「チームワークを大切に介護サービスを提供したいと考えている」、という感じに解釈すればよいのです。
転職先は、自分が納得いくまでさまざまな媒体を使って調べることで自分に合った事業所を見つけることができるでしょう。
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