転職活動では履歴書とともに職務経歴書の提出を求められます。職務経歴書は履歴書とは異なり決まった書式がないため、書き方に困る方も多いようです。
本記事では、職務経歴書の書き方に悩んでいる方に向けて、基本的内容や採用担当者が重視するポイントを詳しくご紹介いたします。
一般的に職務経歴書とは、これまでどんな会社でどのような仕事に就いていたのか、現在までの経験や実績、役職、取得資格などをまとめたものです。介護職の場合、経験者と一言でいってもサービス種別によって業務内容が異なります。サービス種別がわかると、採用側は求めている人材かがすぐにわかるため、具体的に伝えましょう。
履歴書には基本情報しか記載しませんが、職務経歴書では経験と実績をより詳細に伝えることができます。転職の場合、採用側は即戦力になってくれる、もしくはしっかりと活躍してくれそうな人材を探しています。介護施設でどのようなサービスに関わってきたのか、施設の規模や役職の有無など、自分の強みのアピールにつながります。
職務経歴書は自己PRのツールです。面接時に志望動機を聞かれても、緊張してしまい、思っていることの半分しか答えられないことが多々あります。職務経歴書を作成するときには、志望施設の経営理念や施設の特徴を調べ、施設側のニーズと自分の経験をリンクさせると効果的です。
決まった書式はありませんが、自分の経験と実績をわかりやすく簡潔に記載しましょう。
これまでの職歴をわかりやすく簡潔にまとめます。
具体的なサービス種別や施設の規模をまとめるとよいでしょう。介護施設は通所施設から入所施設、また自宅へ訪問するサービスなどさまざまです。同じ介護職であってもこれまでの経験によって積み上げてきたスキルは異なるでしょう。
期間は正確に記載しましょう。長期のほうが職種をより深く理解しているとみなされ、有利と言えます。雇用保険に加入していると短期間であっても働いていた実績は残ります。記載されている以外の職歴が発覚してしまうと、よい印象は持たれません。短期間で退職していても必ず記載します。
雇用形態は正しく記載しましょう。正規雇用や非正規雇用、派遣など働き方は人によってさまざまです。採用担当者は長く勤めて欲しいと望んでいるので、仕事への責任感を加味しています。
どのような介護施設で何の仕事をしていたのかを記載します。勤務先名を出すことでサービスの種別や施設の規模がわかります。採用担当者は自社の求める人物像と一致しているかを念頭において面接を行っています。
これまでの経歴を記載します。「介護職として〇年勤務」では何も伝わりません。
より具体的に
・認知症フロアにて3年間の経験がある
・レクリエーション担当として1年間施設行事に携わる
・フロアリーダーを任され、業務改善に関わる
など取り組みや実績を伝えましょう。
無資格、未経験であっても介護職として働くことは可能ですが、取得した資格があれば正式名称で取得時期と合わせて記載します。多くの介護施設では介護職のキャリアパス制度を導入しています。それぞれの実務経験によって求められる役割や資格があります。福祉に関連する資格も同様に記入しましょう。
職務経歴書には決まった書式はありませんが、「編年式」と「キャリア式」の2つのまとめ方があります。それぞれの特徴を理解し、自分の強みがアピールできるようにしましょう。
時系列でまとめる方法です。履歴書と職務経歴書を合わせて確認できるので、キャリア経過がわかりやすいのが特徴です。働いていた期間ごとに記入するので経験が少ない人や転職の回数が少ない人に向いています。
職務経験を職歴や職務内容ごとにまとめる方法です。経験を最大限にアピールできるのが特徴です。転職の回数が多い人やさまざまな職務に従事し経験豊富な人に向いています。
履歴書とともに提出することが一般的であり、A4サイズ1~2枚程度にまとめましょう。職務内容は経験をそのまま羅列するのではなく、要約して書きます。また読みやすく、内容が伝わるように書くためには、
など体裁にも注意を払いましょう。
漠然とした職務内容では即戦力になり得るのかの判断が難しいため、職務経歴書には数字や具体的な内容を記載しましょう。
例えば、異動によって複数の業務の経験があれば具体的に書きます。「介護職として15年の経験がある」ではなく、「異動により、介護職として特別養護老人ホーム7年、デイサービス5年、訪問介護事業所3年の経験がある」とあれば、より詳細なキャリアを伝えることができます。
その他、アピールにつながるような職歴は詳細に書きましょう。事故防止、身体拘束、業務改善、行事やレクリエーション、研修など、通常の介護業務以外に任されていた職務内容もアピールポイントです。介護職ばかりでなく、異業種から転職した場合も、しっかり経験を記載するべきです。異業種の経験があるからこそ、別の視点で介護現場を考えることができるという強みになるからです。
即戦力になれる人材かを見極めるために、具体的なキャリアや人物像に着目しています。
同じ介護職であってもサービス種別によって業務内容が異なります。
例えば、特別養護老人ホームでは、24時間の介護を必要とする利用者が入所している施設のため、幅広い介護サービスを提供しています。勤務形態は、早出から遅出、夜勤も含めた変則勤務です。
デイサービスでは、通常の介護以外に送迎業務が加わります。
訪問介護では、個人宅へ訪問して介護を提供します。家庭では福祉用具が豊富に準備されているわけではないため、工夫してそれぞれの家庭でできる介護を提供します。
業務内容を理解しているか否かは戦力になる上で大きく左右されるため、年数とともに経験は漏れなく記載しましょう。
サービス種別以外に実際に経験のある具体的な業務を記載することは自分の強みになります。特に介護現場の主任や副主任といったリーダー業務を任されていた、施設内研修の担当者、行事やレクリエーションの担当者など積極的に携わっていたことをアピールしましょう。
職歴や取得した資格は正確に記載します。異業種からの転職であっても同様です。営業職、販売職など介護職以外の経験で培った経験を介護職として生かせる部分は多々あります。
また初任者研修修了、実務者研修修了、国家資格である介護福祉士の取得、介護支援専門員、レクリエーションインストラクター、住環境コーディネーターなど介護に関連する資格はたくさんあります。資格を取得していると向上心があると見られ、有利になることもあるでしょう。資格がないと就くことができない職種もあるため、時系列で記載しましょう。
自己アピールは難しいと感じる人がいますが、福祉に対する思いや協力し合って介護業務を行っていることを正直に伝えれば、特に問題はありません。一方で自己アピールが強すぎて「何でも1人でやっている」「自分に一任されていた」など自己中心的な発言ばかりでは、逆効果になってしまうかもしれません。いくらよい答えを用意していても普段の言動は伝わるため、発言には気をつけましょう。
実際に働いて欲しいと思っている現場と職務内容を照らし合わせて戦力になるか否かを判断しています。そのため、経験のないことは正直に伝えましょう。できないことを自分が経験したかのように伝えても採用担当者はすぐに見抜きます。経験を盛って話すようなことはやめましょう。
職務経歴書には自己PRも記載します。自己PRは経験を生かして何ができるのかを記載するとよいでしょう。
自己PRは、自分の強みや今後の仕事に対する思いや熱意を伝える項目です。否定的で消極的な表現では信頼を得ることができません。仮に以前働いていた職場が劣悪な職場環境だったとしても、批判してはいけません。常に向上心を持って前向きな表現を心がけましょう。
採用担当者は即戦力を期待しているため、経験を生かしてどのような活躍ができるのかを具体的な事例を交えてアピールすることが大切です。自分の長所を羅列するだけでは受ける企業が求めている人物像と必ずしも一致しないことがあります。経営理念や施設の特徴を事前に調べ、求められる経験やスキルに絞ってアピールしましょう。
サービス種別によって求められるスキルが異なります。ニーズを理解して自己アピールに努めましょう。
【例:施設の介護職の場合】
現在まで介護職として、デイサービスにて3年の経験があります。デイサービスでは、平均介護度は2~3程度のため、利用者の方が生活において不便にしていることをお手伝いしてまいりました。
未経験から始めた介護の仕事でしたが、多くの人に支えられ、初任者研修や実務者研修を修了し、さらに介護福祉士を取得することができました。介護福祉士の取得をきっかけに新たな分野に挑戦したいと思い、施設の介護職を志望しました。
資格を取得する上で施設には介護度の高い利用者の方が多く入所されていると学びました。取得した技術を生かし、介護が必要な利用者の方の生活を支えていきたいと考えています。
職務経歴書は、自分の長所や強みをアピールするための書類です。また採用担当者は即戦力になれる人材を探しています。なぜ志望したのか、どのような経験を今までしてきたのか、採用後はどのような働き方ができるのかを自分の中で整理して、自己アピールにつなげましょう。
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