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    【介護施設の感染症対策】入居者と介護職員を守るために必要なこと

    コラム 2020/09/01

    新型コロナウイルスの影響から感染症対策に注目が集まっていますが、高齢者が共同生活を行う介護施設では、常日頃からさまざまな感染症に対する予防策が必須となっています。

    今回は、介護施設で特に注意するべき感染症について解説いたします。感染経路や基本的な感染予防対策、また感染症が発生した際の対応についても紹介しているので、介護施設に勤務している方はぜひ参考にしてください。

    介護施設で注意すべき感染症の種類は?

    介護施設は抵抗力の弱い高齢者が集団生活する場所です。そのため、普段から以下のような感染症に注意する必要があります。

    インフルエンザ、感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症)、疥癬(かいせん)、結核

    これらは誰でも媒介者となり得る可能性が高い感染症です。入居者だけでなく職員の感染も多いことから、集団感染につながりやすいことも懸念されます。

    メチシリン耐性黄色ブオウ球菌感染症(MRSA感染症)、緑膿菌感染症

    抵抗力の弱い人に発生する感染症です。高齢者の多い介護施設では特に注意しなくてはいけません。

    肝炎(B型肝炎、C型肝炎)

    血液や体液を介して感染する感染症です。そのため、集団感染に発展する可能性はさほど高くありません。

    【参考】厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」

    感染成立の3要因と感染症によって異なる感染経路

    感染は「病原体」「感染経路」および「宿主」の3つの要因から成立します。そのため、感染予防は以下の3つのポイントに重点をおいて対策をとる必要があります。

    • 病原体(感染源)の排除
    • 感染経路の遮断
    • 宿主抵抗力の向上

    病原体(感染源)の排除

    病原体(感染源)とは、感染症の原因となる微生物を含む物質を指します。介護の現場では以下のものが病原体となる可能性が高く、手袋を着用し素手で触らないことが必要です。また、手袋を脱いだ後はもちろん、常日頃から手指消毒を心がけることが大切です。

    • 排泄物、嘔吐物、創傷皮膚、粘膜など
    • 血液、体液、分泌物
    • 使用した注射針やガーゼといった器具

    病原体ごとに異なる感染経路

    介護施設での感染を予防するためには、感染症ごとに異なる感染経路を正しく把握しておかなくてはいけません。感染経路には「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」および「血液媒介感染」などがあります。それぞれの感染経路における特徴と、対象となる感染症を確認しておきましょう。

     

    接触感染(経口感染含む)

    病原体が付着した手指や器具にふれたり、食品を口にすることが要因となる感染経路です。調理や食事介助の際には特に注意する必要があります。ノロウイルスや腸管出血性大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウや球菌(MARS)などが対象となります。

    飛沫感染

    近距離での会話、咳やくしゃみなどの飛沫粒子によって感染します。1m以内に落下し、空中を浮遊し続けることはないのが特徴です。インフルエンザウイルスやムンプスウイルス、風疹ウイルスなどが対象で、感染拡大時にはマスクの着用が推奨されます。

    空気感染

    咳やくしゃみなどの飛沫粒子によって感染します。空中に浮遊し、空気の流れによって飛散するのが飛沫感染とは異なる点です。結核菌、麻しんウイルス、水痘ウイルスなどが対象になります。

    血液媒介感染

    病原体に汚染された血液や体液、分泌物が注射針などを介し、体内に入ることにより感染します。集団感染に発展する可能性は低く、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの原因となります。

    【参考】厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」

    介護施設で感染経路を遮断するためには?

    前述したように、感染は病原体が感染経路をたどり、宿主にたどり着くことで成立します。感染症を予防するためには、病原体を「持ち込まない」「持ち出さない」「広げない」ことを意識し、感染経路を遮断する必要があります。

    病原体を持ち込まない

    施設に出入りする職員だけでなく、面会者や短期の利用者の方は病原体を持ち込む媒介者になり得ます。そのため、感染が確認された施設では外部者の入室が制限される場合もあります。

    病原体を持ち出さない

    医師や看護師、介護やリハビリのスタッフは、外部へ病原体を持ち出してしまう可能性があります。特に、感染症に罹患している入居者の方と接触する際は注意が必要です。

    病原体を広げない

    介護施設内で発生した感染症は、風呂場やトイレ、食堂といった共有スペースを利用することによって広がる可能性があります。普段からこれらの衛生管理に努めることはもちろん、感染症発生時には利用者の方が集中しないよう配慮する工夫が必要です。

    宿主の抵抗力を向上させるには

    感染成立の3つめの要因が宿主の抵抗力の低下です。宿主の抵抗力を向上させるためには、日頃から十分な栄養と睡眠をとることがポイント。また、あらかじめワクチンを接種し免疫を得ておくことも大切です。

    特に、インフルエンザや肺炎球菌感染症などは、高齢者が予防接種をうける必要性が高い疾病として定められています。入居者や通所利用者だけでなく、職員も必要なワクチンは接種しておくように心がけましょう。

    介護現場における感染症予防の具体的な対策例は?

    感染対策の基本はスタンダード・プリコーションと呼ばれる標準予防策と感染経路別予防策です。1985年に米国CDC(国立疾病予防センター)が、病院感染対策のガイドラインとしてユニバーサル・プリコーションを提唱しました。その後、1996年にこれを拡大し整理したものが、標準予防策(スタンダード・プリコーション)です。

    標準予防策の基本的な考え方は、「すべての患者の血液、体液、分泌物、排泄物、嘔吐物、創傷皮膚、粘膜等は感染する危険性があるものとして取り扱わなければならない」というものです。具体的な内容としては、手洗いをはじめ、手袋の着用やマスク・ゴーグルの使用、ケアに使用した器具の洗浄・消毒などがあげられます。

    また、標準予防策に追加されているもうひとつの予防策が「感染経路別予防策」です。感染が疑われる症状がある場合、接触感染、飛沫感染、空気感染、血液媒介感染といったそれぞれの感染経路に合わせ、以下のように具体的な予防策をとる必要があります。

    接触感染予防策

    手洗いを励行し、ケア時には手袋を着用します。汚染物との接触が予想される場合はガウンを着用しましょう。個室管理、または同病者との集団隔離によって感染拡大を予防する場合もあります。

    飛沫感染予防策

    職員はマスクを着用し、感染が疑われる入居者の方にも原則としてマスクを着用してもらいます。原則として個室管理、または同病者との集団隔離が必要です。隔離管理ができない場合には、ベッドの間隔を2m以上あけたり、仕切りなどで対応します。

    空気感染予防策

    入院による治療が必要となり、病院に移送するまでの間は原則個室管理とします。結核で排菌している患者と接する場合、職員は高性能マスクの着用が必要です。

    血液媒介感染予防策

    入居者の血液に触れるリスクがある場合は、手袋やガウンを着用してケアする必要があります。吐血や出血などの対応に加え、褥瘡ケア時にも感染予防は必要です。

    介護現場でもし感染症が発生したら

    感染症の発生や感染拡大を防止するためには、施設内に感染対策委員会を設置する必要があります。施設の指針やマニュアルを作成するほか、定期的にそれらを見直す機会を設けたり、研修を行うことが目的です。その上で入居者の感染症や食中毒が発生した場合、または疑われる場合には、介護職員は以下のように対応します。

    感染対策担当者と情報を共有する

    職員が入居者の感染症や食中毒を疑った場合、看護職員と連携した上で感染対策担当者と速やかに状況を共有します。感染対策マニュアルに従った対応が速やかに行われるよう、日頃から訓練をしておく必要があります。

    入居者と職員の健康状態をまとめる

    感染が疑われる入居者の発熱や嘔吐、下痢といった症状を細かくまとめます。発生した日時やフロア、居室ごとにどのような症状の入居者が何人いるのか記録しておきましょう。入居者だけでなく、職員の症状の有無について記録することも大切なポイントです。

    感染拡大を防止する

    感染拡大を防止するため、手洗いを励行し嘔吐物や排泄物に対して適切な処理を徹底します。医師の指示を仰ぎながら、施設内の消毒や感染した入居者の隔離等を行います。

    正しい知識を身につけて利用者の方と職員を守るための感染予防を!

    介護施設で感染症を予防するためには、施設全体が感染予防に対する共有意識を持つ必要があります。正しい知識を身につけることで、利用者の方だけでなく職員自身の健康が守られ、施設内での集団感染を防ぐことができます。

    一部の感染症が流行する時期だけでなく、常日頃から感染症に対する予防意識を持ち、感染症発生時にも速やかに対処できるよう備えておくことが大切です。

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