自宅で生活する利用者様を支えるデイサービス。レクリエーションや行事が多いイメージですが、他にも重要な仕事はたくさんあります。この記事ではデイサービスの具体的な仕事内容を解説いたします。デイサービスで働きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
デイサービスは、介護保険制度の中で通所介護と言われています。デイサービスの役割は2つあります。
介護保険の中で要介護認定を受けた人が1~3割の利用料金負担で利用できる施設です。要介護認定は、要支援1、2、要介護1、2、3、4、5と7段階あります。利用者様の状態に合わせた介護を提供し、家族の介護負担軽減の役割を担っています。
デイサービスは通いの施設です。施設に来所することにより、入浴や機能訓練など自宅では難しい介護を提供しています。また施設には多くの人が集まるので、孤独を解消し、大勢での食事を楽しむことができます。季節ごとのイベントでは地域の人と交流する機会もあり、利用者様の生活を豊かにしています。
デイサービスにはさまざまな職種のスタッフが利用者様の生活を支えています。
デイサービスの運営管理を担っています。常勤1人以上の配置が必要です。デイサービスの内容を企画する、働く職員の環境を整えるなど仕事は多岐に渡ります。管理者は介護職と兼務することが可能なため、運営上、現場の介護職員として働いている人も大勢います。
介護保険において「サービス提供時間を通して専従の生活相談員1人以上の配置が必要」とされており、利用する際の相談窓口を担当しています。利用者様や家族への相談、居宅のケアマネジャーとの連絡調整、デイサービス利用計画書の作成などを行っています。
生活相談員という資格はないため、社会福祉主事任用資格、社会福祉士、精神保健福祉士が任されることが多いです。実際、地域によって難しい現状があり、都道府県独自で介護支援専門員、介護福祉士、老人福祉施設の施設長経験者、介護職経験のある者などが認められています。
利用者様の状態に合わせて、食事や入浴、排泄介助などを行っています。またレクリエーションなどの企画や実施も介護職員が担っています。提供時間数に応じて、利用者様15人までの場合、常勤の介護職員1人以上の配置が必要とされています。実際、1人で介護を行うことは困難なため、複数人の介護職員が働いています。
介護職員として必要な資格はありません。そのため、未経験や無資格で仕事に就くことが可能です。しかし介護が軽度の利用者様から重度の利用者様まで幅広く利用されるため、介護の知識があれば現場で大いに役立ちます。利用者様にも安心して介護を受けてもらうために介護職員初任者研修があると良いでしょう。
専従で看護職員1人以上の配置が必要とされています。看護職員としての仕事は健康チェックや内服管理があり、その他は介護職員と同様に、食事や入浴、排泄介助などを行っています。看護職員の配置基準は緩和され、定員数が10人以下の施設では配置の必要がなくなりました。
おいしい食事は生活を豊かにします。しかし高齢によって噛む力や飲み込みが弱くなり、食べることに問題を抱える利用者様が多く、管理栄養士のサポートはかかせません。食事をただ作るだけでなく、食べることから利用者様の体調管理を目指しており、今後、利用者様の健康を支えていく上で欠かせない存在となります。
リハビリ専門職として、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3つの国家資格がありますが、デイサービスの機能訓練指導員はリハビリ専門職以外に、看護師や准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が認められています。個別機能訓練加算も創設されました。個々の利用者様に対して個別機能訓練計画書を作成し、生活に根ざした機能訓練を実施している施設も多いです。
入所施設とは異なり、提供時間が限られているため、スタッフが連携しながらサービスを支えています。
送迎時間を事前に伝え、自宅まで迎えに行きます。迎える人数が多い場合、介護職員だけで人員が足りないため、留守番の職員を残して一斉に出かけていきます。リフト付き送迎車を運転する場合があります。そのため、求人では普通免許を必須とするところが多いです。
介護が必要な利用者様の入浴や排泄、食事介助を行います。介護が重度な利用者様の場合、自宅での入浴が困難です。入浴はデイサービスで済ませている利用者様も多いため、皮膚トラブルに注意し、清潔が保てるよう介護を心がけましょう。
集団体操の他、個別の状況に合わせた訓練など機能訓練指導員を中心に実施されます。身体を動かすレクリエーションでは遊びの中に機能訓練の要素を取り入れている場合があります。
小さな子どもがいない家庭では季節の行事が少なくなり、単調な日を過ごすことになりがちです。デイサービスでは身体を動かし、頭を使った言葉遊びや物を作る喜びなどの企画を計画します。レクリエーションインストラクターやレクリエーション介護士という資格があり、より専門性を高めるための研修もあります。
レクリエーションについては、「介護におけるレクリエーションの意味とは?おすすめのレクネタもいくつか紹介」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
介護保険の中でいろいろな役割を担っているデイサービス。やりがいは大きく、働く原動力となっています。
在宅介護に休みはありません。家庭内で介護し続ける家族には大きな負担です。デイサービスを利用することで利用者様は同じ年代の仲間と出会い、社会とのつながりを築くことができます。一方で家族は利用者様が出かけている間は介護の負担を軽減できます。両方がデイサービスを利用して感謝の言葉をかけてくれることに、働く職員としてやりがいを感じます。
ある日突然、介護が必要になることがあります。デイサービスは地域の人から頼られる存在です。もっと身近な存在として介護が必要になる前に、わからないことがあったらデイサービスで聞いてみようと思ってもらえる施設づくりに努めています。
利用者様は要介護者である前に人生の先輩です。介護の仕事は生活に密接しているので、利用者様の人となりに触れる機会があります。年配の方の経験や考え方から学ぶことは多くあり、自分の人生の糧にできます。また感謝の言葉を直接聞くことができる立場なので、やりがいと誇りを感じる機会も多いでしょう。
施設によって異なる点もありますが、以下が1日のスケジュールの例です。
時間 | 業務 | 内容 |
8:00~8:30 | 朝礼
受け入れ準備 |
・当日の休みの確認を行います。家族の都合により急な利用希望を受けることもあるため、可能であれば臨時で利用できるように調整します。
・受け入れ前の準備を行います。 (浴室やトイレのチェック、お茶の用意) |
8:30~9:00 | 送迎 | ・各家庭へお迎えに出かけます。玄関先では体調の確認を行い、車へ誘導します。 |
9:00 | 健康チェック | ・デイサービスへ到着し、手洗いやうがいを行います。
・看護職員が血圧や熱を測り、体調確認を行います。 ・ご家族からの連絡ノートも併せて確認します。 |
9:30~11:00 | 入浴開始
個別のレクリエーションや機能訓練を実施 排泄介助(随時) |
・体調確認後、水分補給を行い、順番に入浴を開始します。
・一度に大勢の利用者様は入れないため、入浴担当とホールでのレクリエーション担当にわかれて業務にあたります。 ・主に個別のレクリエーションを行います。 (塗り絵や折り紙、切り絵など) ・排泄介助は随時行います。 |
11:00 | 体操 | ・機能訓練指導員を中心として集団体操を行います。身体を動かした後は、口腔体操も一緒に行い、唾液の分泌を促します。 |
11:45~12:00頃 | 食事の提供
口腔ケア 食後の休憩 |
・食事前の手洗いを行います。
・利用者様の状態に合わせて介助を行います。 ・看護師が内服の確認を行い、1人ずつ名前を確認して服薬介助を行います。 ・状態に合わせた口腔ケアを実施します。 ・昼食後の休憩が必要な利用者様は部屋で休む時間を設けます。 |
12:15~13:15 | 昼休憩 | ・利用者様と同じ食事を食べます。
(個別に注文が可能) |
13;15 | 排泄介助
機能訓練 ペットボトルボーリング |
・休憩が終わった人からトイレ介助を行う。
・レクリエーションを交えながら機能訓練を実施します。 ・ペットボトルボーリングを行い、楽しむ。 |
15:00 | おやつ提供
排泄介助 個別機能訓練実施 記録 |
・食べる前に手洗いを行います。
・手作りおやつや季節感のあるものを提供し、四季を感じてもらう。 ・排泄介助は随時行います。 ・連絡帳へデイサービスでのできごとを記入します。返却忘れがないようにカバンへ入れましょう。 ・歩行練習や可動域練習など個別の機能訓練が必要な利用者様へ実施します。 |
16:00 | デイサービス終了
送迎 |
・1日のデイサービスが終わり、来所持と同様に自宅へ車で送迎します。 |
16:30~17:00 | 片付け、振り返り
退勤
|
・送迎に行かず、残った職員で掃除など環境整備を行います。
・1日のデイサービス全体の振り返り、申し送りを行います。 |
デイサービスは日中にサービスを提供しているため、結婚、出産、子育て中の職員がたくさん活躍しています。同じ介護職員でも正規職員として働いている人もいれば、自分の働ける時間でパート職員として働いている人もいて、働き方はさまざまです。また働きながら専門性を高め、スキルアップを目指すことも可能です。
体力を使う場面も多くありますが、利用者様とそのご家族の生活を豊かにし、笑顔にできる仕事なので大きなやりがいを感じることができます。
仕事内容を理解して、自分の生活に合った働き方をみつけてください。
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